リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Mucoadhesion of Polyamphoteric Hydrogels Synthesized from Acrylic Acid and N,N-Dimethylaminopropyl Acrylamide」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Mucoadhesion of Polyamphoteric Hydrogels Synthesized from Acrylic Acid and N,N-Dimethylaminopropyl Acrylamide

西尾 文子 広島大学

2020.03.23

概要

Mucoadhesion of Polyamphoteric Hydrogels
Synthesized from Acrylic Acid and

N,N-Dimethylaminopropyl Acrylamide
(アクリル酸と N,N-ジメチルアミノプロピルアクリル
アミドから合成された両性高分子電解質ハイドロゲルの
粘膜接着)

主指導教員:津賀 一弘 教授
(医系科学研究科 先端歯科補綴学)
副指導教員:加藤 功一 教授
(医系科学研究科 生体材料学)
副指導教員:阿部 泰彦 准教授
(医系科学研究科 先端歯科補綴学)

西尾

文子

(医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻)

粘膜接着性ハイドロゲルは、外科的治療および粘膜を介した薬物送達の担体として有用である
と考えられ、長年にわたり注目を集めてきた。これまで、多様な高分子材料を用いた粘膜接着性
ハイドロゲルの作製が試みられ、それらの化学組成等の最適化について多く研究がなされてきた。
しかしながら、両性高分子電解質を用いた粘膜接着性ハイドロゲルの設計に関する研究は殆どな
い。そこで本研究では、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、及び架橋剤の共重合により
両性高分子電解質ハイドロゲルを合成し、
高い粘膜接着性を示すモノマー組成を見出すとともに
ゲル-粘膜間接着に及ぼす因子について分析することを目的とし、以下の実験を実施した。
実験 1 ではハイドロゲルの合成を行った。アニオン性のアクリル酸(AAc)
、カチオン性の

N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)を種々の割合で蒸留水に溶解し、架
橋剤として N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)
、重合開始剤として過硫酸アンモニウム
を添加した。このモノマー混合液を加熱し、ラジカル重合を生起させた。その結果、AAc:
DMAPAA = 100:0~67:33(モル比)の条件にて、後の実験に使用可能なゲルが生成した。
元素分析によりゲル中のモノマー組成は仕込み組成とほぼ一致した。
実験 2 では生成したハイドロゲルの持つ粘膜接着性を測定した。ゲルの片面にシアノアクリ
レート系接着剤を用いてアルミニウム板を接着した。同様にブタ小腸の外腔面にアルミニウム板
を接着した。ゲルと小腸内腔面を圧着させた後、引張試験機の治具にアルミ板を取り付け、ゲル
-小腸界面に引張せん断力を加え、最大応力(粘膜接着力)を求めた。その結果、DMAPAA の
含有率が増大するにつれて接着力は上昇し、AAc:DMAPAA = 92:8 の場合に最も高い接着
力を示した。DMAPAA 含有率をさらに増大させると接着力は低下した。
実験 3 では、両性高分子電解質ハイドロゲルが高い粘膜接着性を発揮する機序を考察するた
め、ポリアクリル酸(PAAc)とムチンとの分子間相互作用についてフーリエ変換赤外分光分析
により解析した。pH3、pH7 の条件下で PAAC 及びムチンの溶液を調製し、それらを混合した
後、凍結乾燥にて試料粉末を得た。測定は KBr 錠剤法にて行った。その結果、pH3 の試料にお
いて、PAAc 側鎖の非解離カルボキシル基に由来する 1710 ㎝–1 近辺の吸収強度がムチンとの混
合により増大した。この結果は PAAc とムチンの間に新たな水素結合が生起したことを示唆する。
一方、pH7 の試料において、C–H の面外変角に由来する 800 ㎝–1 近辺の吸収がムチンとの混合
によって減弱した。この結果は、PAAc とムチンとの混合物によってカルボキシル基の解離度が
低下したことを示唆し、これによって分子間水素結合の可能性が高まったものと考えられる。
実験 4 ではレオメーターを用いてゲルの貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定し、高分子ネット
ワークの構造を分析した。その結果、DMAPAA を含むゲルは、含まないものと比較して、貯蔵
弾性率がすべての周波数で高く、損失弾性率は低かった。この結果から、両性高分子電解質ハイ
ドロゲル内部には MBA にもとづく化学架橋に加え、付加的な架橋が形成されるものと考えられ
た。DMAPAA 含有量の増大につれてハイドロゲルの膨潤度が低下したことも付加的な架橋形成
を支持する結果である。
実験 5 では両性高分子電解質ハイドロゲルの動的挙動について知見を得るため、さまざまな
条件下で接着試験を行った。その結果、
両性高分子電解質ハイドロゲルの粘膜接着力は、
圧着力、

圧着時間及び引張せん断速度が増大するにつれて上昇した。これらの結果から、両性高分子電解
質ハイドロゲルは、可逆的な架橋形成に起因して動的粘弾性を示すものと考えられる。
両性高分子電解質ハイドロゲルが高い粘膜接着性を示す機序について以下に考察する。
実験 3 より、PAAc をベースとするゲルの粘膜接着には PAAc とムチンの分子間相互作用が寄
与すると考えられる。また、実験 4 より、両性高分子電解質ハイドロゲルの内部に、解離した
アミンとカルボキシル基間の静電相互作用による付加的な架橋形成が示唆された。
これらの結果
から、架橋密度の増大によりゲル表面のカルボキシル基密度が上昇し、ムチンとの相互作用点が
増すことで接着力が増大したと推察される。DMAPAA 高含有率における接着力の低下は、架橋
形成によってカルボキシル基が消費され、
粘膜表面との相互作用点が減少するためと考えられる。
一方、架橋点の増加による接着力上昇は、MBA を用いた共有結合による架橋点の増加では再現
できなかった。また、実験 5 より両性高分子電解質ハイドロゲル表面では、過渡的な架橋構造
に起因してセグメントの運動性が高く、粘膜表面との分子間相互作用の機会が増大することも接
着力増強に寄与したと考える。
以上の結果から、本論文は AAc、DMAPAA 及び MBA からなる両性高分子電解質ハイドロゲ
ルが、従来盛んに用いられてきた PAAc ハイドロゲルに比べ高い粘膜接着力を示すことが明らか
にし、広い臨床応用の可能性を示唆した。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る