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大学・研究所にある論文を検索できる 「細胞品質管理に向けた画像解析再現性向上のための研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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細胞品質管理に向けた画像解析再現性向上のための研究

白井, 和英 Shirai, Kazuhide 名古屋大学

2020.04.02

概要

ヒト細胞は、創薬スクリーニングにおける細胞アッセイや再生医療等製品における重要なマテリアルであり、工業的な大量生産とその品質管理に近年急速に期待が高まりつつある。しかしながら、細胞は高いヘテロ性を持って常に変化する生モノであり、培養時におけるその挙動と制御パラメータについては未だ不明点が多いため、長く複雑な培養工程を通じて品質をコントロールすることは現在もまだ技術的に難しい。このような品質管理の難しい製造プロセスでは、近年Quality by Designという品質管理のアプローチに注目が集まっており、プロセス全体としての同等性を証明するためのインプロセス計測への重要性が高まっている。多くの工業製品のプロセスモニタリング技術として実績の高いイメージング技術は、培養中の細胞を非侵襲的かつ効率的に監視•計測できるモダリティの一つであり、細胞製造工程における品質管理技術としても現在最も注目を集めている。

これまで我々の研究グループでは、顕微鏡画像によって記録された細胞の経時的な形態変化を画像処理技術によって計測し、得られた高次元のパラメータを人工知能(Artificial Intelligence : AI)関連技術である機械学習へと供する細胞品質解析技術をもって、複数種類のヒト細胞における品質管理技術としての可能性を示して来ている。近年では、2次元的な平面培養の細胞画像に加え、3次元的に培養された細胞凝集塊(スフェロイド)の画像解析についても技術開発を行い、様々な光学系•培養状態から得られる画像を用いて も、細胞製造の品質管理が可能であることが示唆されている。

このような細胞製造における品質管理技術を目的とした画像解析では、連続的かつ自動の品質管理を実現し、施設間の品質管理技術の同等性•安定性を保証するため、『解析再現性』の実現が極めて重要となる。しかし、画像解析が工業応用されている他の分野の評価対象と比較して、そもそも培養細胞は多様性が極めて高く再現性の制御が難しい対象である。このため、細胞解析研究事例の多くは、工業的な品質管理の観点からは考えられないほど限定的なデータに対し、恣意的な解析を適応しているケースが多く、解析再現性や解析技術のロバスト性についての議論が行われることは極めて少ない現状があった。しかし一方で、近年は様々な細胞評価計測機器の技術発展が進み、以前は研究者の手動でのみ行われてきた細胞評価が、次々に機械化•自動化されつつあり、膨大な細胞データ(特に細胞画像)が得られるようになりつつある。さらに画像解析アルゴリズムの分野では、AI関連技術である深層学習などの画像解析に高い性能を発揮する技術などが急速に発展しつつあり、解析技術としてもより高度かつ客観的な解析を実現できる技術プラットホームが整備されつつある。

本論文では、上記課題の解決に向け、細胞の工業生産を実現するための細胞品質管理技術構築の観点から、最新の画像処理•解析技術と細胞品質管理のコンセプトを融合した「画像解析再現性向上」のための解析ストラテジーの構築と新規画像解析技術の開発を行うことを目的とした。本研究では、細胞画像解析におけるワークフローを詳細に分析•検証することで画像解析において解析再現性の低下に影響する工程を明確化し、特に影響の高い「細胞領域認識」と「細胞画像のクオリティチェック」の2工程における解析再現性向上を実現する技術開発を行った。

本論文は、全4章で構成した。

第1章では、昨今の情報科学分野における画像解析技術の進展と、その技術の応用先である細胞画像解析の現状、および、細胞製造工程における画像を用いた品質管理技術の可能性と課題を整理した。

第2章では、画像解析ワークフローにおける『画像中の細胞領域認識』のステップにおける解析再現性向上を実現する新規スコア化手法の開発を行った。現在の細胞画像解析研究事例の多くでは、画像中の「細胞(細胞領域)」を認識するステップの妥当性は作業者 の感性に依存しており、多くの解析再現性を低下させている大きな要因の一つであった。そこで本研究では「細胞認識の定量的かつ網羅的な評価」の重要性およびその後の解析に与える影響の大きさを、実際の細胞画像(6種類のスフェロイド画像データセット)に対して比較評価し、解析再現性を最大化するための「細胞領域認識処理」のスコア(Recognition Fitness Deviation : RFD)の開発を行った。

第3章では、近年高度化する細胞画像撮影の機械化•自動化技術と細胞品質管理との融 合性を高めるため、膨大に取得される『細胞画像のクオリティチェック』のステップにおける解析再現性向上のため、画像の異常検出を実現する深層学習モデルの開発検証を行った。具体的には深層学習モデルの一つであるGenerative Adversarial Networks (GANs)を用いて、従来であればマニュアル作業によって1つ1つ確認の必用になる作業を自動化す る可能性について複数の細胞画像データセットについて検証した。

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