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大学・研究所にある論文を検索できる 「筋萎縮症に対する新規ミオスタチン阻害薬開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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筋萎縮症に対する新規ミオスタチン阻害薬開発

小澤, 崇之 東京大学 DOI:10.15083/0002006941

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 小澤 崇之
本研究は骨格筋萎縮作用を有する TGF-ファミリー分子であるミオスタチン
(GDF8)
、GDF11、Activin を筋萎縮症に対する治療ターゲット分子として定め、阻害薬
として FSTL3-Fc を開発し、その選択な阻害性とマウスにおける骨格筋肥大効果を検証
し、以下の結果を得ている。
1. FSTL3 と IgG1 の Fc 領域を融合した FSTL3-Fc を開発した。Fc 融合蛋白は通常二量
体を形成するため FSTL3-Fc は分子中に FSTL3 領域を 2 つ持つ(bi-FSTL3-Fc)が、本
研究では分子中に FSTL3 領域を 1 分子だけ持つ mono-FSTL3-Fc も開発した。両型に共
通して、in vitro の実験系にて治療ターゲット分子への結合と活性の阻害を示すこと、
TGF-3、BMP6 及び BMP9 に対する結合と活性の阻害を示さないことが明らかになっ
た。FSTL3-Fc が、複数の治療ターゲット分子の活性を単剤で選択的に阻害出来ることが
示された。
2. bi-FSTL3-Fc を健常マウスに腹腔内投与、静脈投与、皮下投与し、血中における濃度
の経時的な変化を解析した結果、血中半減期は 1 時間程度と推定され、マウス血中におけ
る安定性に乏しいことが示された。投与後 5 時間において主要組織を解析した結果、biFSTL3-Fc は主に肝臓に集積することが明らかになった。一方、mono-FSTL3-Fc は Fc の
みを投与した結果と同程度に安定してマウス血中に存在出来ることを見出した。
3. bi-FSTL3-Fc を健常マウスの骨格筋(脹脛)に 2 週間投与した結果、陰性対象の Fc
投与群と比較して腓腹筋(GC)及びハムストリングス(Ham)の重量の増加を認めた。
GC の組織学的解析の結果、bi-FSTL3-Fc 投与により筋線維の肥大を認めた。bi-FSTL3Fc は投与した周囲の骨格筋において筋量の増加や筋線維の肥大効果を認めた。monoFSTL3-Fc を健常マウスに 2 週間腹腔内投与した結果、Fc 投与群と比較して体重の増加、
GC、大腿四頭筋(QF)
、Ham の代表的な後肢骨格筋の重量の増加を認めた。QF の組織
学的な解析の結果、mono-FSTL3-Fc 投与により筋線維の肥大も認めた。mono-FSTL3-Fc
は健常マウスにおいて全身性作用し、広範な骨格筋の肥大に寄与すると考えられた。健常
マウスにおける 2 週間の投与により、血糖値、膵臓重量、脾臓重量は Fc 投与群と差は無
く、明確な副作用を両型ともに認めなかった。

4.

bi-FSTL3-Fc をデュシェンヌ型筋ジストロフィー症モデルである mdx マウスに 2 週

間の骨格筋(脹脛)に投与した結果、健常マウスにおける結果と同様に、局所的な骨格筋
重量の増加と筋線維の肥大を認めた。mono-FSTL3-Fc を mdx マウスに 2 週間腹腔内投与
した結果、陽性対照の ActRIIB-Fc(RAP-031)投与群と同程度の骨格筋重量の増加と QF
の筋線維の肥大を認めた。前肢の握力測定の結果、RAP-031 投与群と同程度に回復したこ
とが明らかになった。健常マウスにおける結果と同様に、mdx マウスにおいても biFSTL3-Fc は局所的な骨格筋肥大効果を示し、mono-FSTL3-Fc は広範な骨格筋に対し肥
大効果を発揮したと考えられた。mdx マウスにおける 2 週間の投与により、血糖値、膵臓
重量、脾臓重量は Fc 投与群と差は無く、明確な副作用を両型ともに認めなかった。
以上、本論文は GDF8、GDF11、Activin を筋萎縮症に対する治療ターゲット分子とし
て定め、阻害薬として FSTL3-Fc を開発し、FSTL3-Fc の選択的な阻害効果とマウスにお
ける骨格筋の肥大効果を見出した。本研究は現在までに治療薬が十分に開発されていない
筋萎縮症に対し、FSTL3-Fc が単剤で優れた阻害作用及び骨格筋肥大効果を発揮し、患者
の自立した生活を支える新規治療薬としての可能性を示唆した。これらの知見は、筋萎縮
症の新たな治療薬の開発研究に重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士(医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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