Influence of the Gulf Stream on ascending airstreams in extratropical cyclones [an abstract of entire text]
概要
地球に存在する特殊な海流の一種である西岸境界流は海面水温の勾配が大きい海面水温前線を
作り、中緯度大気で降水量や風など社会に大きい影響を与える現象を強化している。特に冬の台
風である温帯低気圧の発達に大きい影響を与えるため、学会の注目を受けてきた。温帯低気圧の
中には大きく二つの上昇気流があり、この二つの気流は温帯低気圧に熱と水蒸気を運んで、低気
圧の発達を促進する。そしてその過程で大量の降水と強風をもたらすため、多くの研究が行われ
てきた。だが、既存の研究はこの二つの上昇気流という存在に囚われすぎる傾向があり、温帯低
気圧の内部に存在する二つの上昇気流には分類されない、比較的に小さい上昇気流の存在は無視
した。また、西岸境界流が温帯低気圧に及ぼす影響に関しては活発に研究されてきたが、温帯低
気圧の上昇気流に及ぼす影響に関する研究は非常に少なく、一つの温帯低気圧に対する事例研究
しか存在しない。私の研究は西岸境界流が温帯低気圧で発生する全ての上昇気流に及ぼす影響を
20年に渡って分析することで、西岸境界流が温帯低気圧の上昇気流に及ぼす影響と、そのメカ
ニズムを解明することを目指す。
2. Method
この研究には Atmospheric general circulation model For the Earth Simulator(AFES)という
大気大循環モデルから得られたデータを用いる。今回の研究には観測の海面水温データを利用し
た実験(CNTL)と、北大西洋の西岸境界流であるメキシコ湾流の海面水温を平滑化して、メキシコ
湾流の影響を抑えた海面水温を利用した実験(SMTHG)、北太平洋の西岸境界流である黒潮の影響を
抑えた海面水温を利用した実験(SMTHK)のデータを利用する。1981 年 12 月から 2001 年 2 月まで
のデータを利用しており、温帯低気圧は主に冬に発生するため、この研究では 12 月、1月、2 月
のデータだけを使う。温帯低気圧の上昇気流を探すため、三つの実験の風のデータを利用して空
気の塊の動きを追跡する。空気の塊の追跡には Lagrangian analysis tool (LAGRANTO)というプ
ログラムを活用する。本研究では追跡期間中に温帯低気圧の領域に一回以上入りながら、海洋大
気境界層の上に到達する気流を温帯低気圧の上昇気流と定義している。 温帯低気圧の領域の識
別は、海面気圧の極小値を使って行う。海面気圧の極小値を中心に経度5度分の長さを半径にす
る円の領域を低気圧の領域に定義することで、温帯低気圧の領域を識別している。
3. Results
二つの実験で温帯低気圧の上昇気流が海洋大気境界層にあるときの分布の差は CNTL と SMTHG の
水温の差が激しい領域に集中されており、メキシコ湾流の領域で CNTL の上昇気流の数は SMTHG よ
り 4%多く、二つの実験の間の上昇気流の差は統計的に有意で(p<0.03)、メキシコ湾流が上昇気流
の発生を増やしている。この研究は上昇気流に対するメキシコ湾流の影響に興味があるため、メ
キシコ湾流の領域にある上昇気流を選別し、メキシコ湾流の上昇気流と定義する。
メキシコ湾流は上昇気流の動きにも影響を与える。550 hPa 以上に到達したメキシコ湾流の上昇
気流は CNTL で SMTHG より 5.3%多く、250-300 hPa に到達した上昇気流の数の差が一番大きい。メ
キシコ湾流の上昇気流の水平移動も CNTL で SMTHG より長く、3000 km 以上移動した上昇気流の数
は CNTL で 23.8%多い。 ...