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Comparison of the effects of weekly and biweekly intravenous CERA administration on erythropoiesis: A randomized controlled trial

川井 有紀 横浜市立大学

2022.09.30

概要

1. 序論 腎性貧血は血液透析患者の主な合併症であり,予後不良因子の一つである.1980年代に導入された赤血球造血刺激因子製剤(Erythropoiesis Stimulating ♙gent, ES♙)は,血液透析患者の予後と QOL の改善に貢献した.エポエチンベータペゴルは 2011 年に長時間作用型 ES♙ として日本で発売された.2 週に 1 回の投与は 4 週に 1 回の投与と比較して,少ない投与量で安定的に貧血を管理できることが国内外で報告されている(Levin et al., 2007; Sulowicz et al., 2007; 下村ら, 2013).さらに,4 週に 1 回の投与と比較して 2 週に 1回の投与の方が鉄吸収と利用にとって有利である可能性は示唆されているが(Morikami et al., 2014),その最適な投与間隔については十分に検討されていない.我々は以前に血液透析患者に対して 4 週に 1 回の頻度でエポエチンベータペゴルを投与したとき,投与後 1 週間でフェリチン値および鉄吸収の負の制御因子であるヘプシジン値が最低レベルに達することを報告しており(Kakimoto-Shino et al., 2014),そのことから週 1 回のエポエチンベータペゴルの投与が既存の投与間隔と比較して赤血球生成における鉄利用および効率的な Hb の合成に有利である可能性を考えた.本研究では,血液透析患者を対象に,週 1 回と 2
週に 1 回のエポエチンベータペゴルの投与が造血効率および鉄代謝と赤血球生成パラメーターに与える影響をランダム化比較試験で評価することを目的とした.

2. 実験材料と方法 本研究は,公立大学法人横浜市立大学臨床研究審査委員会の承認を得て
(承認番号 CRB18-001),Japan Registry of Clinical Trials に登録した(認定番号 jRCTs031180030).横浜市内の 2 つの透析クリニックにて 12 週間以上の血液透析歴と ES♙の投与歴を有する外来通院患者を対象とした.主要評価項目は,12 週間の評価期間中に Hb値を目標範囲内に維持するために必要なエポエチンベータペゴルの総投与量とした.副次評価項目は,評価期間中の平均 Hb 値,エポエチンベータペゴル投与 0 週から 2 週目までの鉄代謝および赤血球生成パラメーターの変化とした.さらに,主要評価項目および副次評価項目について,評価期間中の鉄補充療法の有無で群分けして事後解析を行った.

3. 結果 120名の患者を週1回(QW群)(n=60)または2週に1回(Q2W群)(n=60)のエポエチンベータペゴル投与群に無作為化割り付けした.解析対象は,12週間の評価期間を終了した107名(QW群 n=54, Q2W群 n=53)とした.評価期間中のエポエチンベータペゴルの総投与量は,QW群とQ2W群の間で有意差を認めなかった(QW群 vs. Q2群,median 175.0
[interquartile range (IQR) 93.8-337.5]μg/12週 vs. 300.0[IQR 125.0-375.0]μg/12 週, P = 0.18).また,評価期間中の平均Hb値は,QW群とQ2W群で有意差を認めなかった.エポエチンベータペゴル投与2週間後の鉄代謝パラメーターの変化について,QW群とQ2W群でヘプシジン値,フェリチン値,TS♙Tの変化に差はなかった.さらに,エポエチンベータペゴル投与後の各群内における鉄代謝パラメーターについて,QW群内では投与後2週間にわたってヘプシジン値,フェリチン値,TS♙Tに有意な変化は認めなかった.一方,Q2W群内では,エポエチンベータペゴル投与1週間後にヘプシジン値,フェリチン値,TS♙Tの有意な低下を認めた.
事後解析では,解析対象者107名を評価期間中の鉄補充療法の有無で群分けした結果,鉄補充群が40名,非鉄補充群が67名であった.鉄補充群では,QW群はQ2W群と比較してエポエチンベータペゴルの総投与量が少ない傾向にあった(187.5[IQR 75.0-381.3]μg/12週 vs. 362.5[IQR 150.0-500.0]μg/12週,P = 0.051)が,非鉄補充群で差は認めなかった.エポエチンベータペゴル投与2週間後のヘプシジンの変化について,鉄補充群では,Q2W群と比較してQW群で有意に小さかったが,非鉄補充群についてはQ2W群とQW群で差は認められなかった.また,エポエチンベータペゴル投与2週間後に新規Hbの産生指標である Ret-Hbの変化は,鉄補充群でQ2W群と比較してQW群で有意に大きかったが,非鉄補充群では両群間に差は認めなかった.さらに,エポエチンベータペゴル投与2週間後の鉄代謝パラメーターの変化について,鉄補充群では,QW群でヘプシジン値および血清鉄が有意に減少していたが,Q2W群では差は認められなかった.

4. 考察 本研究は血液透析患者におけるエポエチンベータペゴルの週1回投与の有効性を検討した初めてのランダム化比較試験であった.既報でエポエチンベータペゴルの4週に1回 投与と比較して2週に1回の投与は,より少ないエポエチンベータペゴルの投与量で目標と するHb値を維持できると報告されてきた.本研究ではさらに投与間隔が短い週1回のエポエチンベータペゴルの投与を実施したが,総投与量の有意な減少を示すことは出来なかった.我々の予想に反して総投与量が減少しなかった背景として,エポエチンベータペゴル投与 後のヘプシジンの変化がQW群とQ2W群で差がなく,さらにヘプシジン値,フェリチン値およびTS♙TがQW群内では変化しなかったことが挙げられる.

一方,事後解析では,鉄補充群では QW 群が Q2W 群に比べてエポエチンベータペゴルの総投与量が少なくなる傾向があり,エポエチンベータペゴルの週 1 回投与が 2 週に 1 回の投与に比べてエポエチンベータペゴル投与後に低いヘプシジン値を維持することが明らかになった.しかし,非鉄補充群では QW 群と Q2W 群の間でエポエチンベータペゴルの総投与量に差を認めなかった.鉄欠乏の血液透析患者において,鉄補充療法を併用したエポエチンベータペゴルの週 1 回への投与間隔の短縮は赤血球生成を効率的に促進する可能性が示唆された.

参考文献

Kakimoto-Shino, M., Toya, Y., Kuji, T., Fujikawa, T. & Umemura, S. (2014), Changes in hepcidin and reticulocyte hemoglobin equivalent levels in response to continuous erythropoietin receptor activator administration in hemodialysis patients: a randomized study. Ther Apher Dial, 18(5), 421-6.

Levin, N. W., Fishbane, S., Canedo, F. V., Zeig, S., Nassar, G. M., Moran, J. E., Villa, G., Beyer, U., Oguey, D. & investigators, M. s. (2007), Intravenous methoxy polyethylene glycol-epoetin beta for haemoglobin control in patients with chronic kidney disease who are on dialysis: a randomised non-inferiority trial (MAXIMA). Lancet, 370(9596), 1415-21.

Morikami, Y., Fujimori, A., Okada, S., Kumei, M., Mizobuchi, N. & Sakai, M. (2014), Comparison of 2-week versus 4-week dosing intervals of epoetin beta pegol on erythropoiesis and iron metabolism in hemodialysis patients. Ther Apher Dial, 18(5), 414-20.

下村浩祐, 望月隆弘, 渡邉喜彦, 秋山健一, 岡 雅俊, 小原まみ子, 神山理明, 島久登. (2013), 血液透析患者におけるエポエチンベータペゴルの投与間隔による用量別貧血改善効果の検討. 腎と透析, 75, 447‒51.

Sulowicz, W., Locatelli, F., Ryckelynck, J. P., Balla, J., Csiky, B., Harris, K., Ehrhard, P., Beyer, U. & Investigators, P. S. (2007), Once-monthly subcutaneous C.E.R.A. maintains stable hemoglobin control in patients with chronic kidney disease on dialysis and converted directly from epoetin one to three times weekly. Clin J Am Soc Nephrol, 2(4), 637-46.

Yamamoto, H., Nishi, S., Tomo, T., Masakane, I., Saito, K., Nangaku, M., Hattori, M., Suzuki, T., Morita, S., Ashida, A., Ito, Y., Kuragano, T., Komatsu, Y., Sakai, K., Tsubakihara, Y., Tsuruya, K., Hayashi, T., Hirakata, H., and Honda, H. (2017), 2015 Japanese Society for Dialysis Therapy: Guidelines for Renal Anemia in Chronic Kidney Disease. Ren Replace Ther, 3, 36.

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