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大学・研究所にある論文を検索できる 「転写調節因子Nrf2制御系における分子メカニズム、Hinge & Latchモデルの検証」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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転写調節因子Nrf2制御系における分子メカニズム、Hinge & Latchモデルの検証

堀江 悠太 東北大学

2021.03.25

概要

Nuclear factor(erythroid-derived 2)-like2(Nrf2)は、抗酸化、解毒、代謝などの生体防御関連遺伝子の発現を調節する転写因子である。非ストレス環境下でのNrf2は、Kelch-like ECH-associated protein 1(Keap1)ホモ二量体と結合し、ユビキチン化とプロテアソーム系による分解によって転写活性を抑制されている。しかし、ストレス環境下ではNrf2のユビキチン化が抑制され、安定化したNrf2が速やかに核に移行し、核内で小Maf(Musculoaponeurotic fibrosarcoma)群因子と共に標的遺伝子の抗酸化応答配列(Antioxidant responseel ement; ARE)に結合することで標的遺伝子の発現を増加させる。すなわち、Keap1-Nrf2系は、酸化、親電子性ストレスに反応する生体防御機構として機能する。
 Nrf2は、Nrf2-ECH homology 2(Neh2)ドメインにKeap1との結合親和性が異なる2つの結合モチーフ、低親和性のDLGexモチーフ(17Met-…-Gln51)と高親和性のETGEモチーフ(74Phe-…-Pro85)を持つ。Nrf2のユビキチン化には、この2つの結合モチーフがKeap1ホモ二量体のDCドメインと結合することが必要である(2領域基質認識モデル)。Tongらは、酸化ストレスや親電子性物質などのNrf2誘導因子が、低親和性のDLGexモチーフとKeap1との結合を破綻さることでNrf2を活性化させると考え、Keap1との結合が維持されるETGEモチーフを蝶番(Hinge)に、結合が破綻しうるDLGexモチーフを閂(Latch)になぞらえた、蝶番と閂(Hinge & Latch)モデル理論を提唱した(Tong et al., 2007)。しかしながら、この理論はいくつかの仮説に基づいて考えられた仮説であり、いまだ実証されていない。本研究で、核磁気共鳴(Nuclear magnetic resonance;NMR)法に全長Keap1タンパク質および安定同位体13C/15N標識Neh2タンパク質を使用することで、DLGexモチーフ、ETGEモチーフとKeap1との結合をそれぞれ評価可能な実験手法を確立し、このHinge&Latchモデルの実証を試みた。
 検証には、3種類の親電子性Nrf2誘導剤Sulforaphane(SFN)、1-[2-cyano-3, 12-dioxooleana-1,9(11)-dien-28-oyl]imidazole(CDDO-Im)、15-deoxy-Δ12, 14-prostaglandin J2(15d-PGJ2)と、3種類のタンパク質間相互作用(Protein-protein interaction;PPI)阻害物質p62/Sequestosome-1、PRL295、NG262を使用した。親電子性Nrf2誘導剤は、Keap1の反応性システインを修飾することでNrf2のユビキチン化を抑制し、PPI阻害物質はKeap1のNeh2結合領域に結合し、Nrf2との結合を競合阻害することでNrf2のユビキチン化を抑制する。検証の結果、PPI阻害物質はDLGexモチーフとKeap1との結合をETGEモチーフよりも優先的に破綻させた。これは、Hinge & Lathモデルに関する初めての実証と言える。一方で、親電子性誘導剤はKeap1とNeh2との結合を破綻させず、Hinge & Latchモデルとは異なるユビキチン化抑制メカニズムの存在が示唆された。細胞、動物レベルでのHinge & Latchモデルの実証、他の環境ストレス因子についてのNMRでの検証、親電子性物質による別のNrf2活性化メカニズムの解明が今後の課題である。

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