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大学・研究所にある論文を検索できる 「生理的酸素条件下のマクロファージにおけるNRF2機能の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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生理的酸素条件下のマクロファージにおけるNRF2機能の検討

安藤 正勝 東北大学

2020.03.25

概要

NRF2 (Nuclear factor (erythroid-derived 2)-like 2; NFE2L2)は生体の酸化ストレス応答において重要な役割を担っている。NRF2 は非刺激状態では KEAP1 (Kelch-like ECH-associated protein 1) と結合することによりユビキチン化を受け、ポリユビキチン化された NRF2 はプロテアソ-ムで分解されるため、通常状態では NRF2 の機能が抑制されている。一方で、細胞が酸化ストレスや親電子性を有する化学物質に曝露されることで、NRF2の活性化が誘導され、分解を免れた NRF2 は核内へ移行し、抗酸化酵素や解毒代謝酵素などの生体防御に関わる多数の遺伝子発現を誘導する。NRF2 は上述のような抗酸化作用を発揮することに加え、強い抗炎症作用を有する。NRF2 の抗炎症作用の機序については、酸化ストレス防御に関連する遺伝子発現の上昇による細胞保護効果を介した間接的な作用、炎症性サイトカイン遺伝子の転写に直接影響を及ぼしていることなどが知られている。更に NRF2 の活性化はマクロファージの貪食能や殺菌能を改善する作用が報告されているが、殺菌能の改善についての機序に関しては明らかとなっていない。本研究は「室内気下酸素条件と生理的酸素条件で分化、培養した際にマクロファージの機能が異なる」ことを一つ目の仮説とした。更に、「生理的酸素条件ではマクロファージにおける NRF2 に対する応答に変化が生じる」ことを二つ目の仮説として検討を行った。 RNA-seq (RNA sequencing; RNA シーケンシング) の結果では、生理的酸素条件において、Lysosome, Oxidative phosphorylation, Ribosome の pathway が上昇することを確認した。また生理的酸素条件において、骨髄球系細胞特異的 Keap1 コンディショナルノックアウトマウス(Keap1F/F::LysM-Cre ; Keap1-MKO)および Nrf2 完全欠損マウス(Nrf2–/– ; Nrf2-KO)から作成した BMDM (bone marrow derived macrophage; 骨髄由来マクロファージ) サンプルを比較した結果、種々の pathway の変化が確認されたが、この中においても Lysosome pathway がNRF2の活性の上昇によって、発現が上昇することが示唆された。その中で ATP (adenosine triphosphate; アデノシン三リン酸) を分解して水素イオンをリソソーム内に取り込む働きを行う、液胞型プロトン ATPase の遺伝子に着目して検討した。室内気下酸素条件よりも生理的酸素条件において発現が上昇している遺伝子、かつ生理的酸素条件おいて Nrf2-KO BMDM よりも Keap1-MKO BMDM で上昇する遺伝子を検討したところ、Atp6v0d2, Atp6v1e1, Atp6v1h が該当した。更にその中で、既報の ChIP-seq (Chromatin Immunoprecipitation sequencing; クロマチン免疫沈降シーケンシング) の結果を用いて解析したところ、Atp6v0d2 遺伝子の近傍にNRF2 の結合ピークがあり、NRF2 が遺伝子発現に直接作用していると考えられる。生理的酸素条件では、NRF2 の活性化によって、液胞型プロトン ATPase の発現上昇により、リソソーム内の pH 調整に寄与していることが示唆された。

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