リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Human iPS cell-derived cartilaginous tissue spatially and functionally replaces nucleus pulposus」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Human iPS cell-derived cartilaginous tissue spatially and functionally replaces nucleus pulposus

Kamatani, Takashi 大阪大学

2022.08.31

概要

〔目的(Purpose))
 椎間板は脊柱を構成する組織の一つで、椎体と椎体の間に存在することにより、脊柱に加わる衝撃を緩衝する機能と、脊柱に可動性を提供する機能がある。椎間板は中心部に存在する髄核とその周囲を取り囲む線維輪で構成されており、髄核には発生学的に脊索に由来する脊索様髄核細胞と軟骨細胞に彤態的に類似する軟骨様髄核細胞の2つのpopulationが占める。加齢や荷重ストレスにより椎間板変性を来たし、椎間板変性は髄核変性が先行すると言われている。椎間板変性は自然治癒せず、それに対する治療薬も存在しないため再生治療が期待されている。髄核と軟骨はII型コラーゲンやアグリカンなどの細胞外基質の組成が類似していること、ヒトiPS細胞由来軟骨様組織(hiPS-Cart)の移植で動物モデルの関節軟骨修復が可能であったことから、hiPS-Cartが髄核の機能を置換できると仮説を立てた。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 細胞外基質の組成が類拟する髄核と軟骨での遺伝子発現プロファイルを比較するために、ヒトと同じ霊長類であるカニクイザルの髄核と関節軟骨のシングルセルRNAシーケンス(scRNA-sea)解析を行った。その結果、髄核細胞と関節軟骨細胞の遺伝子発現プロファイルが一部の細胞群で共通しており,その細胞群では関節軟骨表層で発現するPRG4や脊索様髄核に特異的なTBXT·KRT19の発現を認めない一方、II型ロラーゲンやアグリカンを発現しており、軟骨様髄核細胞と軟骨細胞(中間層・深層)に相当すると考えられた。さらに、hiPS-Cartに対してscRNA-sedを行った結果、hiPS-Cartは遺伝子発現プロファイル上、軟骨様髄核細胞/軟骨細胞に相当していた。これらの結果を踏まえて、hiPS-Cartが髄核の機能を置換できるかについて動物モデルで検証した。
 8週齢雄ヌードラットの尾椎椎間板(Co6/7)に対して、皮膺切開し(Sham群)、髄核摘出を行い(Nuc群)、そこにhiPS-Cartを移植した。hiPS-Cartを移植した群に対して移植後1週にMRIでhiPS-Cartの有無を評価し、hiPS-Cart保持群(Retained群}とhiPS-Cart脱転群(Dislodged群)に分類した。Sham群、Nuc群、Retained群、Dislodged群、さらにRetained群とDislodged群を合わせたCombined群に対して移植後6週および6ヶ月で評価を行った。移植後6週および6ヶ月ともに、Combined群の椎間板高はNuc群よりも維持されていた。また、Nuc群やDislodged群では骨性終板の不整・破壞像を認めた一方、Retained群では滑らかな終板構造が保たれていた。終板破壊の定量評価(移植後6週:尾椎骨端の体積変化量、移植後6ヶ月:骨性終板欠損の面積)では、Combined群はNuc群に対して終板破壊が少なかった。組織学的評価では移植後6週、6ヶ月ともに、Nuc群やDislodged群で線維輪の層状構造および骨端•成長軟骨の破壞が認められた一方、Retained群ではそれらの構造が保たれており、髄核腔に存在する組織はSairanin Oに染色され、かつHuman Vimentin免疫染色で染色されたことから、hiPS-Cartであることが示された。移植後6ヶ月における椎間板の動的粘弾性評価(貯蔵弾性率・損失弾性率)では.Retained群はSham群に近い力学特性を示した。以上の結果から、hiPS-Cartは椎間板内で6ヶ月間生存し、髄核の機能を置換し、隣接組織の破壊を抑制したと考えられる。
 移植後6週のhiPS-Cartを摘出し、scRNA-sea解析を行ったところ、移植前のhiPS-Cartと出較して遺伝子発現プロファイルの変化を認めた。移植前および移植後のhiPS-Cartのいずれにおいても脊索様髄核に特異的なKRT19, TBXTの発現はなく、軟骨様髄核細胞の範疇を超えない変化であった。移植後のhiPS-Cart内には遺伝子発現が変化した2つの細胞群が認められ,一方の細胞群ではmitophagyに関連するBNIP3Lが亢進しており,血管新生に関連するVEGFが抑制されていた。他方の細胞群では低酸素環境で活性化されるHIF-laが亢進していた。この結果から、移植後のhiPS-Cart内では椎間板内の低酸素環境に適応しようとする2種類の細胞群が存在していたと考えられる。

〔総括(Conclusion)〕
 hiPS-Cartの遺侫子発現プロファイルは軟骨様髄核細胞および軟骨細胞のそれらと類似していた。hiPS-Cartを髄核摘出部に移植することで、髄核を空間的および機能的に置換した。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る