リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「夏季アジアジェット上のロスビー波束の伝播及び砕波と太平洋・日本パターンとの関連性に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

夏季アジアジェット上のロスビー波束の伝播及び砕波と太平洋・日本パターンとの関連性に関する研究

竹村, 和人 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23407

2021.07.26

概要

太平洋・日本(PJ)パターンの発現は、夏季東アジア域における気温偏差及び降水特性に大きな影響を及ぼすため、その発現メカニズムと予測可能性、及び関連する大気循環場の特徴の解明は重要である。これまでの研究により、PJ パターンと夏季アジアジェットに沿うロスビー波束伝播に対応するシルクロードパターンがしばしば共存することは明らかとなったが、両者が共存する力学過程は未解明であった。このため、本研究では、シルクロードパターンに伴って生ずる日本の東海上でのロスビー波の砕波によって PJ パターンが発現する可能性に着目し、両者が共存する力学過程を明らかにするために、主に気象庁 55 年長期再解析データを用いた統計解析を行った。また、2016 年 8 月後半の砕波事例における上記の力学過程の予測可能性を、アンサンブル予報データを用いて評価した。さらに、砕波頻度の将来変化及び関連する大気循環場の特徴を調べるために、「地球温暖化対策に資する気候予測データベース」(d4PDF)と呼ばれる大規模アンサンブル気候シミュレーション結果を用いた解析を行った。

まず、再解析データから抽出した、夏季の日本付近からその東海上における計 44 個の砕波事例についてラグ合成図解析を行い、対流圏上層でシルクロードパターンに伴って生ずる日本の東海上での高気圧性砕波は、高渦位大気塊の南西方向への進入を促進し、北西太平洋亜熱帯域での積雲対流活動を活発化させて、PJ パターンの発現に重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに、日本の東海上での高気圧性偏差が高度とともに北に傾く鉛直構造を持つことが、太平洋高気圧の北側での強い暖気移流偏差と関連する対流圏中層での上昇流偏差の強化に重要な役割を果たし、砕波と PJ パターンの持続性をもたらすことも明らかにした。

次に、2016 年 8 月後半の砕波事例に着目し、気象庁 1 ヶ月アンサンブル予報データを用いて、PJ パターンの発現に関連する北西太平洋亜熱帯域における下層低気圧の予測可能性を評価した。その結果、アンサンブル平均予測場では、アジアジェットに沿う波束伝播と、砕波、及び北西太平洋亜熱帯域での積雲対流活動は解析値と比べて弱く、下層低気圧の発達が予測されていないことが分かった。さらに、簡易予報感度解析や大気大循環モデルを用いた緩和アンサンブル予報実験を実施し、砕波域及びユーラシア大陸上の波束伝播域での予測誤差の軽減が、下層低気圧の再現性の向上に重要な役割を果たしていることを明らかにした。

また、熱帯東太平洋域の海面水温が平年よりも低くなるラニーニャ発生年に、8 月の日本付近での砕波頻度が大きくなることを明らかにした。ラニーニャ発生年では、熱帯域での東西循環であるウォーカー循環の強化に伴いアジアジェットが強化・北偏し、砕波頻度を増大させることも明らかにした。加えて、d4PDF を用いた解析より、全球平均気温が 4℃上昇した場合の将来気候実験における夏季北太平洋中央部での砕波頻度は、現在気候に比べて顕著に減少することを示した。また、将来気候において、南アジア域から東南アジア域での対流圏上層の大規模発散場が弱化し、アジアジェットが南偏することに伴い北太平洋中央部付近における対流圏上層での西風の減速・分流が弱化する傾向は、砕波頻度の減少と整合的であることも示された。

このように、本研究によって、夏季アジアジェット上のロスビー波束の伝播及び砕波と PJ パターンとの関連性が明らかとなった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る