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大学・研究所にある論文を検索できる 「Radiographic Prediction of the Occipito-C2 Angle Variation with Changes in Distance between the Mandible and Cervical Vertebrae: A Preliminary Study」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Radiographic Prediction of the Occipito-C2 Angle Variation with Changes in Distance between the Mandible and Cervical Vertebrae: A Preliminary Study

永島, 吉孝 名古屋大学

2023.10.05

概要

主論文の要旨

Radiographic Prediction of the Occipito-C2 Angle
Variation with Changes in Distance between
the Mandible and Cervical Vertebrae:
A Preliminary Study
下顎骨と頚椎の位置関係変化による後頭骨-C2角の
放射線学的変化の予測について:予備的検討

名古屋大学大学院医学系研究科
脳神経病態制御学講座

総合医学専攻

脳神経外科学分野

(指導:齋藤 竜太
永島 吉孝

教授)

【緒言】
後頭骨頸椎後方固定術(O-C)後の嚥下障害、窒息は稀ではあるが非常に重大な合併
症である。これを予防するためには適切な頭蓋頚椎アライメントでの固定を行うこと
が重要とされている。その指標として、McGregor 線と第二頚椎椎体終板の線の成す角
である、後頭骨(O)-C2 角などの指標が提唱されている。過去のいくつかの論文報告で
は、O−C 固定術を行う際には、術前のそれと比較して O-C2 角が 10°以上減少する場合
には、嚥下障害や呼吸困難のリスクが高まると報告されている。しかしながら、術中
透視画像でこれらの角度を計測する際、画質の問題や患者の骨破壊がある場合など、
術中に計測が正確に行えないことがある。そこで、より容易に認識できる下顎角と、
C2 椎体前面との位置関係をもとに適切な頭蓋頚椎アライメントを予測し、O-C2 角の
代用とできないかと考えた。
【対象および方法】
下顎と C2 の位置関係を測定するため、C2 椎体前面から下顎角に垂直な線を引いた
ときの距離を Gonion-C2 距離と定義した(Figure 1)。2020 年 1 月から 2020 年 10 月ま
での間に頚椎単純動態 X 線撮影を実施した患者の画像を対象とし、過去に頚椎固定術
を受けた患者の画像は対象外とした。これらの画像の中で、Gonion-C2 距離と O-C2 角
を測定可能であった患者の画像を解析に用いた。中間位、屈曲位、伸展位でそれぞれ
値を測定し、年齢、O-C2 角と Gonion-C2 距離がどの程度相関するかを検討した。さら
に、O−C 固定術後の嚥下障害や呼吸困難との関連が報告されている、ΔO-C2 角度の 10°
以上の減少を陽性とし、Receiver operating characteristic(ROC)曲線を作成し、area under
the curve(AUC)と ΔGonion-C2 距離のカットオフ値を決定した。カットオフ値の設定
は Youden index を 用 い た 。 こ れ ら の 統 計 学 的 解 析 に は GraphPad Prism(version 9;
GraphPad Software, Inc.)と EZR software(Jichi Medical University, Saitama, Japan)を使用
した。
【結果】
74 名 を 対 象 と し て 解 析 を 行 い 、 41 名 が 女 性 で あ っ た 。 平 均 年 齢 は 59.5 ± 16.5
(mean±SD)であった。中間位の O-C2 角と Gonion-C2 距離、および年齢に対して ShapiroWilk 検定を実施し、Spearman の順位相関係数を求めると、O-C2 角と Gonion-C2 距離
は r=0.630(P<0.001)の相関関係にあったが、年齢と O-C2 角は r = −0.302(P = 0.009)、
年齢と Gonion-C2 距離は r = −0.262(P = 0.031)とそれぞれ弱い相関関係であった。同
様に、屈曲位、伸展位の O-C2 角と Gonion-C2 距離の相関係数はそれぞれ r=0.471(P<
0.001)、r=0.625(P<0.001)であった。次に、変化量(Δ)での相関係数に関しては、中間
位-屈曲位の変化では r=0.451(P<0.001)、伸展位-中間位の変化では r=0.771(P<0.001)
であった(Figure 2)。また、ΔO-C2 角度 10°以上の予測を予測する ΔGonion-C2 距離に
ついては 中間位-屈曲位の変化では AUC 0.664、カットオフ値 9.3mm(感度:0.435、特
異度:0.882)、伸展位-中間位の変化では AUC 0.8671、カットオフ値 8.3mm(感度:0.712、

-1-

特異度:0.909)であった(Figure 3)。
【考察】
術後の嚥下障害や呼吸困難を防ぐために最も重要なことは、頸椎のアライメントを
できるだけ術前のニュートラルポジションに近い状態に保つことである。O-C2 角度
が 10°以上有意に低下している場合は、頭蓋全体が頚椎に対して強く屈曲しているこ
とを示唆する。この状態では、下顎が後方に引っ張られ、咽頭腔が狭くなり、その結
果、嚥下障害や呼吸困難が発生すると考えられている。また、O-C2 角の微妙な変化を
手術中に正確に認識することは、経験豊富な脊椎外科医であっても不可能な場合が多
い。
下顎の位置と C2 椎体前面は、どちらも画質が悪い術中透視画像であっても、ほと
んどの場合で容易に認識できる。本研究では、これらの位置関係である Gonion-C2 距
離が、O-C 固定術の固定アライメントを決める際に重要とされる O-C2 角と相関があ
ることが示された。さらに、ΔGonion-C2 距離は、重篤な合併症と関連する ΔO-C2 角
の 10°以上の低下を高い特異度で予測できたため、後頭骨固定術後の術後合併症の警
告サインとして使用することが可能であると言える。言い換えれば、術中の X 線透視
で下顎角が過度に C2 椎体に近づいた状態の際に、そのままの頭蓋頚椎アライメント
で O−C 固定を行うと、嚥下障害、窒息といった稀ではあるが非常に重大な合併症を引
き起こすリスクが高まると言える。
本研究にはいくつかの限界がある。第一に、本研究は実際の患者の術中透視画像に
基づくのではなく、O-C 固定術を受けていない患者の X 線検査に基づいて実施された
ことである。また、本研究の被験者の X 線撮影での測定は、全身麻酔下で挿管チュー
ブのために口を開けた患者の腹臥位で、X 線透視画像を用いた測定と必ずしも同じで
はない。したがって、本研究の結果は、O-C 固定術の X 線透視画像には慎重に適用す
る必要がある。第二に、本研究では、Gonion-C2 距離と O-C 固定術後の術後合併症と
の関係は直接評価されていないことを考慮に入れる必要がある。
【結語】
頚椎 X 線画像において、Gonion-C2 距離と O-C2 角度は相関関係が認められた。さ
らに ΔGonion-C2 distance は、O-C 固定術後の重篤な合併症と相関すると言われている
ΔO-C2 角度の 10°以上の低下を術者に警告し、注意を促すのに非常に有用であると思
われる。

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