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書き出し

心房細動再発に関連する治療創の特徴と手技的要因の関連性についての研究

髙原, 宏之 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

The impact of the procedural parameters on the
lesion characteristics associated with AF
recurrence: Late-gadolinium enhancement
magnetic resonance imaging (LGE-MRI) analysis

髙原, 宏之
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8616号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482364
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博⼠関係)

学位論⽂の内容要旨

The impact of the procedural parameters on the lesion
characteristics associated with AF recurrence:
Late-gadolinium enhancement magnetic resonance imaging
(LGE-MRI) analysis
⼼房細動再発に関連する治療創の特徴と⼿技的要因の関連性についての研究

神⼾⼤学⼤学院医学研究科医科学専攻
循環器内科学
(指導教員:平⽥
髙原

健⼀教授)

宏之

1

【背景】
心房細動に対する肺静脈隔離術は確立された治療法である。肺静脈と左心房
の間を高周波カテーテルで焼灼し、肺静脈を左心房から電気的に隔離し心房細
動の再発を抑制する。その一方で、約 3 割の例では慢性期に心房細動の再発を
認め、不十分な肺静脈隔離による電気的再伝導が主な原因とされている。肺静脈
隔離により焼灼された治療創は、遅延造影 MRI(LGE-MRI)で可視化することが
でき、可視化した治療創の不連続性(ギャップ)と心房細動再発との関連が報告
されている。動物実験では、カテーテル先端と心筋の接触力(コンタクトフォー
ス:CF)、安定性ならびに方向性は、治療創の大きさと関連することが報告され
ている。しかしながら、実臨床では、解剖学的複雑性、呼吸性変動、疼痛に伴う
体動により適切にカテーテルを固定することが困難な場合があり、長時間かつ
頻回の通電を要し致死的な合併症を来すリスクが高くなる。
本研究の目的は,心房細動再発と関連する治療創の特徴を明らかにし,適切な
治療創を形成するために必要なカテーテル操作を含む手技的要因を解明するこ
とである。手技的要因が最適化することにより、必要かつ十分な治療創が形成さ
れ合併症リスクを増加させることなく心房細動の再発を減少できる可能性が期
待できる。
【方法】
2018 年 5 月から 2020 年 4 月に高周波カテーテルによる肺静脈隔離術を受け
た発作性心房細動患者計 30 例を後ろ向きに登録した。腎機能障害(推定糸球体
濾過量[eGFR]が 60mL/min/1.73m2 未満)により造影 MRI を撮像されていない患
者は除外した。肺静脈隔離は食道温度モニター下で出力 35W、通電時間 30 秒で
point by point で通電を行った。通電間距離は 4mm とした。食道付近の後壁は
出力を 25W、通電時間を 10 秒に短縮した。食道温度が 39℃以上に上昇した場合、
通電を直ちに中止した。
術後 3 カ月目撮像された LGE-MRI を再解析した。左心房の心内膜と心外膜の
境界を半手動でセグメンテーションし左心房壁を抽出した。左心房壁内の信号
強度ヒストグラムから、2SD 以上の信号強度を有する部位を治療創と定義した。
治療創は左肺静脈(LPV)と右肺静脈(RPV)を、それぞれ前壁、天蓋部、後壁、
底部の 4 つのセグメントに分割し、治療創の体積(ml)、ギャップ数(gap number:
GN)、平均ギャップ長(average gap length: AGL[mm])を測定した。AGL は合
計ギャップ長/GN で算出した。ギャップは 4mm 以上の非造影部位と定義した。
カテーテルの CF、安定性、方向性などの手技的要因は 3D マッピングシステム
(NavX システム)で算出した。NavX システムは、通電中に CF を 0.01 秒間隔で
記録している。さらに、横方向と縦方向の CF も同時に記録している。カテーテ

2

ルの向きが心筋に垂直な場合、縦方向の CF は増加し、横方向の CF(Lateral CF)
は減少する。逆に心筋に平行に配置されている場合、横方向の CF は増加し、縦
方向の CF は減少する。ex vivo の実験では、横方向に接触させたカテーテルで
通電すると、同じ縦方向の CF の場合と比較して、大きな治療創が形成されると
報告されている。カテーテルの向きの指標として、%lateral CF(lateral CF /
CF)を算出した。さらに、カテーテルの安定性の指標として、% constant contact
time(% CC Time: 通電中の CF が 2g を超えている時間の割合)を算出した。肺
静脈隔離後の心房細動再発を評価するため、術後 1、3、6、12 ヶ月に心電図によ
るフォローアップを行った。心房細動再発に関連する治療創の特徴を同定し、同
治療創に関連する手技的要因について単変量ならびに多変量解析を用いて評価
した。
【結果】
治療創の体積は 6.3±2.6ml、GN は 2.5±1.8 箇所、AGL は 7.7±5.3mm であっ
た。LPV の治療創の体積は RPV よりも有意に小さかった(2.8±1.4ml vs 3.5 ±
1.4 ml , p = 0.005)。一方、GN、AGL はともに左右肺静脈間で有意な差は認め
なかった。
肺静脈隔離術後 12 ヶ月の時点で、30 例中 6 例(20%)に、心房細動の再発が
認められた。単変量解析では、AGL のみが心房細動再発と関連していた (HR:
1.20, CI:1.03 - 1.42, p = 0.019)。すべての心房細動の再発は AGL >7mm の患
者で認めらた。
また、AGL >7mm は単変量解析で CF とカテーテルの安定性と関連していたが、
方向性は関連していなかった(CF:HR:0.62, CI:0.39 - 0.97, p=0.038; 安
定性:HR:0.8, CI:0.66 - 0.98, p=0.027; 方向性:HR:1.05, CI:0.95 1.16, p=0.302)。CF と安定性を含めた多変量解析では、いずれのパラメータも
AGL >7mm と有意な関連は認めなかったが、CF と安定性には強い相関が認められ
た(相関係数:0.773、CI:0.572 - 0.886、p<0.001)。
AGL >7mm の 18 例と比較すると、AGL <7mm の 12 例では CF、安定性ともに有意
に高かった(CF: 13.9 ± 2.1 vs. 10.9 ± 2.5 g, p = 0.002; 安定性:92 ±
3 vs. 87 ± 6 %, p = 0.009)。各セグメントにおける CF、安定性、方向性につ
いて、AGL <7mm の方が CF は LPV 底部と RPV 天蓋部を除く各セグメントで有意
に高く、安定性も LPV の前壁と後壁を除く各セグメントで有意に高かった。一
方で、カテーテルの方向性は有意な差は認められなかった。

3

【考察】
今回の研究により、(a) AGL は発作性心房細動患者の肺静脈隔離術後の心房細
動再発と関連する、(b) すべての心房細動再発例は AGL >7mm を有する、 (c) CF
が低く、カテーテルの安定性が悪いことが AGL >7mm と関連がある、 (d) CF と
カテーテルの安定性は互いに強い相関があることが示された。
AGL <7mm の患者には心房細動の再発が見られなかったことから、7mm 未満の
ギャップには電気的再伝導のないものが含まれる可能性が推察された。またよ
り簡便に連続的な治療創の作成が可能なクライオバルーンやホットバルーンに
よる肺静脈隔離においても、電気的再伝導のあったギャップの長さは 6.8mm と
電気的再伝導のなかったものよりも長いという報告があり、我々の研究結果と
合致する。このことは、治療デバイスにかかわらず、長いギャップのある治療創
は,肺静脈隔離術後に電気的再伝導を生じ、心房細動再発に至る可能性があるこ
とを示唆している。
ex-vivo 試験で、異なる CF 設定(0-20g)と異なるカテーテル方向(垂直また
は平行)で作られた治療創の幅と深さが報告されており、カテーテルの向きが平
行であれば、治療創は垂直である場合より有意に広くなっていたと報告されて
いる。しかしながら、我々の研究では、カテーテルの方向性は AGL>7mm と関連は
認められなかった。ex-vivo 試験とは異なり、実際は生体内の心筋組織に対して
100%垂直または 100%平行な角度でカテーテルを接触させることはできない。
本研究では、RPV 天蓋部の% Lateral CF は 64%と他のセグメントより低いが、
全セグメントで概ね 60-90%であり、カテーテルの接触は ex-vivo 試験のように
完全な垂直または平行ではなかった。LPV 後壁では、% Lateral CF が AGL >7mm
で有意に高かったが、GN と AGL は他のセグメントと同様であった。このことは、
生体内ではカテーテルの方向が治療創の連続性に与える影響は少なく、臨床転
帰との関連は乏しいことを示唆していると考えられた。
今回の研究では手技に関連した合併症は認めなかったが、高周波通電の CF、
出力、時間が過大になると、合併症のリスクが高くなる。近年、治療創の指標と
して CF、通電時間、出力により算出される LSI(lesion size index)という指標
が計測可能となった。最適な LSI は 5.0 程度であると報告されているが、左心
房・肺静脈の解剖学的複雑性や呼吸性変動により適切な CF が得られない場合が
ある。そのような場合、目標 LSI を達成するためには長時間の通電が必要とな
り、スチームポップ、心タンポナーデ、食道損傷のリスクが高くなる。特に、左
房後壁への通電に関しては、食道が近接するため食道関連合併症に配慮する必
要がある。その一方で、左房後壁の LSI が 4.0 未満の場合、心房細動再発率が
上昇することが報告されている。我々の研究でも、左房後壁の LSI は心房細動
再発患者では非再発患者に比べ有意に低く、先行研究と合致していた(3.6 ±

4

0.8 vs. 4.4 ± 0.9, p < 0.001)。電流や CF が不十分だとギャップが長くな
り、心房細動再発の可能性が高くなるが、食道に近い後壁に高周波通電を行う場
合は、食道合併症を避けるため、慎重なカテーテル操作や通電設定を工夫する必
要がある。
【結論】
LGE-MRI で同定された長いギャップは、肺静脈隔離術後の心房細動再発と関連
していた。CF とカテーテルの安定性は密に関連しており、低い CF とカテーテル
の不安定性は、心房細動再発に関連する大きなギャップを形成するリスクを有
していた。本研究では、カテーテル操作を最適化することにより連続的かつ永続
的な治療創を作成でき心房細動の再発をさらに抑制できる可能性を示した。

5

神 戸大学大学院医学(
系)
研究科(博士課程)

言合i
三乞 弔芹 玉距 ク>糸吉 長艮 々> 室巨旨す




3281号





受 付 番号

高原宏之

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論文題 目

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(LGE-MRI)a
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y
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s
心房細動再発に関連する治療創の特徴と手技的要因の関連性についての研究

主 査

ChiefExaminer
副 査

v
1ce・exam1ner
副 査

v
1ce・exam1ner

m咀見;又
卓直
ム了ー召心



J
:
_
_

(要旨は 1, 0 0 0字 ∼ 2, 0 0 0字程度)


背景】
心房細動に対する肺静脈隔離術は確立された治療法であるが、約 3割の例でば慢性
期に心房細動の再発を認め 、不十分な肺静脈隔離による電気的再伝導が主な原因とされて

RI (
LGE
-M
R
I
) で可視化すること
いる。肺静脈隔離により焼灼された治療創は、遅延造影 M
ができ 、可視化した治療創の不連続性(ギャップ)と心房細動再発との関連が報告されて

F)、安定性
いる。動物実験では、カテーテル先端と心筋の接触力(コンタクトフォース: C
ならびに方向性は 、治療創の大きさと関連することが報告されている 。 しかしながら、実
臨床では、解剖学的複雑性、呼吸性変動、疼痛に伴う体動により適切にカテーテルを固定
することが困難な場合があり、長時間かつ頻回の通電を要し致死的な合併症を来すリスク
が高くなる 。本研究の目的は ,心房細動再発と関連する治療創の特徴を明らかにし,適切
な治療創を形成するために必要なカテーテル操作を含む手技的要因を解明することであ
る。

2
0
18年 5月から 2
02
0年 4月に高周波カテーテルによる肺静脈隔離術を受けた発作

方法】
0 例を後ろ向きに登録した。肺静脈隔離は食道温度モニター下で出力
性心房細動患者計 3
35W、通電時間 3
0秒で pointb
ypointで通電を行った。通電間距離は 4
mmとし た。食道付
0秒に短縮した。食道温度が 3
9
℃以上に上昇した場合、
近の後壁は出力を 25W、通電時間を 1
通電を直ちに中止した。

-MRIを再解析した。左心房の心内膜と心外膜の境界を半手
術後 3カ月目撮像された LGE
動でセグメンテーションし左心房壁を抽出した。左心房壁内の信号強度ヒストグラムから、

2SD以上の信号強度を有する部位を治療創と定義した。治療創は左肺静脈 (
LPV) と右肺静
R
PV) を、それぞれ前壁、天蓋部、後壁、底部の 4つのセグメントに分割し、治療創の
脈 (
ml
)、ギャッ プ数 (
g
a
pnum
ber:G
N
)、平均ギャップ長 (
a
v
e
r
a
g
egap l
e
n
g
t
h
: AG
L
体積 (
Lは合計ギャップ長/GNで算出した。 ギャップは 4
mm以上の非造影
[
mm
]
) を測定した。 AG
部位と定義した。

Dマッピングシステム (
N
a
v
Xシス
カテーテルの CF、安定性、方向性などの手技的要因は 3
テム)で算出した。カテーテルの向きが心筋に垂直な場合、縦方向の CFは増加し、横方向
の CF (
L
a
t
e
r
a
lC
F
) は減少する 。逆に心筋に平行に配置されている場合、横方向の CFは

Fは減少する 。カテーテルの向きの指標として、% l
a
t
e
r
a
lCF(
l
a
t
e
r
a
l
増加し、縦方向の C
F
) を算出した。さらに、カテーテルの安定性の指標として、% consta
ntc
o
n
t
a
c
tt
i
m
e
CFIC
(
%CCT
i
m
e
: 通電中の CFが 2gを超えている時間の割合)を算出した。肺静脈隔離後の心
房細動再発を評価するため、術後 l
、3、6、 1
2ヶ月に心電図によるフォローアップを行っ
た。心房細動再発に関連する治療創の特徴を同定し、同治療創に関連する手技的要因につ
いて単変量ならびに多変量解析を用いて評価した。

6
m
l、GNは 2.
5土 1
.8箇所、 AGLは 7.
7土 5.
3mmであ った。LPV

結果】
治療創の体積は 6.3土 2.
の治療創の体積は RPVよりも有意に小さかった (
2.
8土 1
.4
mlv
s3.
5土 1
.4m
l,p=0
.0
0
5
)。
一方
、 GN、AG
Lはともに左右肺静脈間で有意な差は認めなかった。
肺静脈隔離術後 1
2ヶ月の時点で、 3
0例中 6例 (
2
0
%
)に、心房細動の再発が認められた。
単変量解析では、 AG
Lのみが心房細動再発と関連していた (
HR:1
.20,CI:
1
.0
3- 1
.4
2
,p
=0
.
0
1
9
)。 すべての心房細動の再発は AGL 〉7mmの患者で認めらた。

また、 AG
L)7mmは単変量解析で CFとカテーテルの安定性と関連していたが、方向性は
関連していなかった (
C
F:H
R:0
.6
2
,C
I:0
.3
9-0
.9
7
, p=O.0
3
8
; 安定性 :HR:0
.8
,C
I:
.0
5
,C
I:0.
9
5- 1
.1
6
, p=O.
3
0
2
)。CF と安定性
0
.
6
6-0.
9
8
, p=0.
0
2
7
; 方向性 :HR:1

を含めた多変量解析では、いずれのパラメータも AGL〉7mmと有意な関連は認めなかったが、
CFと安定性には強い相関が認められた(相関係数: 0
.7
7
3、C
I:0
.5
7
2-0.
886、p<0.001
)


AGL)7mmの 1
8例と比較すると、 AGL<
7mmの 1
2例では CF、安定性ともに有意に高かっ
C
F
:1
3.
9 士 2.1v
s.1
0.
9土 2
.5g
, p= 0
.0
0
2
; 安定性: 92 土 3v
s.8
7 土 6%
,p
た (
=0
.
0
0
9
)。各セグメントにおける CF、安定性、方向性について、 AG
L<
7mm の方が CFは L
PV

底部と RPV天蓋部を除く各セグメントで有意に高く、安定性も LPVの前壁と後壁を除く各
セグメントで有意に高かった。一方で、カテーテルの方向性は有意な差は認められなかっ


a
) AG
L は発作性心房細動患者の肺静脈隔離術後の心房細動

考察 】今回の研究により、 (

b
) すべての心房細動再発例は AGL〉7mmを有する、
再発と関連する、 (
テーテルの安定性が悪いことが AGL〉7mmと関連がある、

(
c
)C
Fが低く、カ

(
d
) CFとカ テーテルの安定性は

互いに強い相関がある,
ことが示された。AGL<
7
m
mの患者には心房細動の再発が見られなか
ったことから、 7mm末満のギャップには電気的再伝導のないものが含まれる可能性が推察
された。またより簡便に連続的な治療創の作成が可能なクライオバルーンやホットバルー
ンによる肺静脈隔離においても、電気的再伝導のあったギャップの長さは 6
.8mmと電気的
再伝導のなかったものよりも長いという報告があり、我々の研究結果と合致する。このこ
とは、治療デバイスにかかわらず、長いギャップのある治療創は,肺静脈隔離術後に電気
的再伝導を生じ、心房細動再発に至る可能性があることを示唆している 。e
x
v
i
v
o試験で、
カテーテルの向きが平行であれば、治療創は垂直である場合より有意に広くなっていたと
報告されている。しかしながら、我々の研究では、カテーテルの方向性は AGL〉7mmと関連
は認められなかつた。本研究では、 RPV天蓋部の% L
a
t
e
r
a
lCFは 64%と他のセグメント

090%であり、カテーテルの接触は e
x
v
i
v
o試験のよ
より低いが、全セグメントで概ね 6
うに完全な垂直または平行ではなかった。LPV後壁では、% L
a
t
e
r
a
lCFが AGL〉7mmで有意
に高かったが 、GNと AGLは他のセグメントと同様であ った。このことは 、生体内ではカテ
ーテルの方向が治療創の連続性に与える影響は少なく、臨床転帰との関連は乏しいことを
示唆していると考えられた。今回の研究では手技に関連した合併症は認めなかった。左房
後壁への通電に関しては、食道が近接するため食道関連合併症に配慮する必要がある。そ
の一方で、左房後壁の LSIが 4.
0未満の場合、心房細動再発率が上昇することが報告され

S
Iは心房細動再発患者では非再発患者に比べ有意
ている 。我々の研究でも、左房後壁の L
3
.6 土 0
.
8v
s.4.4 士 0.
9
, p <0.
001
)

に低く、先行研究と合致していた (

結論 】LGE-MRI で同定された長いギャ ップは、肺静脈隔離術後の心房細動再発と関連し
ていた。 CFとカテ ーテルの安定性は密に関連しており、低い CFとカテーテルの不安定性
は、心房細動再発に関連する大きなギャップを形成するリスクを有していた。これらは従来
の研究とは異なる重要な知見を得たものとして価値ある集積であると認める。よって本研者は、博
士(医学)の学位を得る資格があると認める。

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