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書き出し

Molecular mechanisms underlying the promotion of wound repair by coenzyme Q10: PI3K/Akt signal activation via alterations to cell membrane domains

倉敷 達之 鳥取大学

2022.03.04

概要

令和 4 年 2 月

倉敷達之


学位論文審査要旨






武 史

副主査





達 也











主論文
Molecular mechanisms underlying the promotion of wound repair by coenzyme Q10:
PI3K/Akt signal activation via alterations to cell membrane domains
(コエンザイムQ10による傷修復促進の分子機構:細胞膜ドメインの変化を介した
PI3K/Aktシグナルの活性化)
(著者:倉敷達之、堀越洋輔、紙崎孝基、砂口天兵、原和志、森本昌樹、北川良憲、
中曽一裕、大槻明広、松浦達也)
令和4年

Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition

doi:10.3164/jcbn.21-141

参考論文
1. Oncogenic role of TYRO3 receptor tyrosine kinase in the progression of
pancreatic cancer
(膵癌の進行におけるTYRO3受容体チロシンキナーゼの発癌性の役割)
(著者:森本昌樹、堀越洋輔、中曽一裕、倉敷達之、北川良憲、花木武彦、
坂本照尚、本城総一郎、梅北善久、藤原義之、松浦達也)
令和2年

Cancer Letters

470巻

149頁~160頁

1













Molecular mechanisms underlying the promotion of wound repair by coenzyme Q10:
PI3K/Akt signal activation via alterations to cell membrane domains
(コエンザイムQ10による傷修復促進の分子機構:細胞膜ドメインの変化を介した
PI3K/Aktシグナルの活性化)

日本を含む先進国では高齢者が増加しており、褥瘡などの慢性創傷を持つ寝たきりの人
をいかにケアするかが重要な社会問題となっている。コエンザイムQ10(CoQ10)は、ミト
コンドリア電子伝達系の構成成分として存在し、その生理機能としてATP産生における作
用や抗酸化作用が知られている。近年、CoQ10によって傷修復が促進されることが報告さ
れている。しかし、CoQ10の傷修復促進作用の分子機構はまだ十分に解明されていない。
本研究では、細胞の創傷治癒モデルを用いて、CoQ10が傷修復を促進する分子機構につい
て検討した。




CoQ10が傷修復時の細胞移動を促進するかどうかを調べるため、ヒトケラチノサイトで

あるHaCaT細胞を用いて創傷治癒アッセイを行った。ゴルジ体の傷面への局在化を指標と
して、傷修復過程で起こる細胞移動に必要な細胞の極性化に対するCoQ10の作用を検討し
た。また、傷修復促進効果に関わるCoQ10の分子構造領域について、ベンゾキノン誘導
体、ポリイソプレニル化合物、CoQ同族体(CoQ0、CoQ1、CoQ4、CoQ10)を用いて検討し
た。PI3K/Aktシグナル経路は、傷修復時の細胞極性化と細胞移動の制御に関与する。そこ
で、CoQ10によるPI3K/Aktシグナル経路の活性化についてAkt S473のリン酸化を指標に検
討した。脂溶性のCoQ10は細胞膜に対する何らかの作用が予想される。Akt-PHドメインに
GFPを融合させたキメラタンパク質(GFP-Akt PH)およびGFP-カベオリン-1(Cav-1)を発
現させたイヌ腎尿細管上皮細胞(MDCK細胞)を用いて、細胞膜(膜ドメイン)に対する
CoQ10の作用を免疫組織学的および生化学的に検討した。




CoQ10はHaCaT細胞において用量依存的に傷修復を促進した。また同時に、傷修復過程に

おける細胞の極性化を促進した。傷修復促進効果に関わるCoQ10の分子構造領域を検討し
2

た結果、ベンゾキノン誘導体、ポリイソプレニル化合物、CoQ同族体のいずれにも傷修復
促進作用が確認されたが、CoQ10が最も強い作用を示した。PI3K/Aktシグナルの活性化
は、細胞移動の制御に必要である。そこで、CoQ10を処理した細胞におけるAkt S473のリ
ン酸化変化を検討した結果、CoQ10は創傷後のリン酸化Akt S473を増加させることが明ら
かになった。CoQ10による傷修復促進効果は、PI3K阻害剤によって抑制された。一方、
GFP-Akt PHを発現させたMDCK細胞にCoQ10を処理したところ、Aktはバソラテラルドメイン
から細胞膜アピカルドメインへとその局在が変化した。また、CoQ10はGFP-Cav-1の細胞膜
アピカルドメインへの局在を増加させた。この現象はCoQ10による膜画分中Cav-1量の増加
によっても確認された。さらに、Cav-1のノックダウンは、HaCaT細胞におけるCoQ10によ
る傷修復促進効果とPI3K/Aktシグナル経路の活性化を阻害した。




本研究から、CoQ10は傷修復過程における上皮細胞の極性化を促進し、傷修復を速める

ことが明らかになった。CoQ同族体、ベンゾキノン誘導体、ポリイソプレニル化合物との
比較から、CoQ10の強力な傷修復促進作用にはCoQ10のベンゾキノン構造を含む全ての立体
構造が必要であることが示唆された。また、CoQ10は傷修復過程で起こるPI3K/Aktシグナ
ル経路の活性化を促し、傷修復を促進すると考えられた。このCoQ10によるP3K/Aktシグナ
ルの活性化は、Cav-1の発現抑制により抑制された。CoQ10がCav-1の細胞膜への移行を促
進すること、また、Cav-1は細胞内情報伝達の制御に関わる受容体の局在や活性制御に関
わるカベオラ構造の形成に働くことから、CoQ10はカベオラ構造の形成を介してPI3K/Akt
シグナルの活性化を誘導していることが推察された。




CoQ10は、HaCaT細胞において、Cav-1/PI3K/Aktシグナル経路を介して傷修復を促進する

ことが示された。

3

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