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大学・研究所にある論文を検索できる 「Interactions of flower-visiting moths with plants and predators」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Interactions of flower-visiting moths with plants and predators

阪上, 洸多 神戸大学

2022.03.25

概要

第1章 序論
植物と花を訪れる動物との関係は、陸上生態系において最も重要な相利共生関係の一つである。ハナバチ類を始めとした昼行性訪花者が多くの植物の送粉を担うことが知られている。しかし、夜行性ガ類も送粉生態系において、大きな役割を果たしている。訪花性ガ類の多くは、機能的な口吻をもち、蜜を得るために花を訪れる。また、一部の植物では、送粉者としてのガ類に適応した花形質(例えば、距や花筒)を有する。植物の深い蜜源(長い距や花筒)は、口吻が短い訪花者の吸蜜を妨げる。したがって、蜜源の深さは、ガ類の訪花行動に影響する可能性がある。また、一部の植物では、花と訪花者における形質の一致が、繁殖成功に影響することが知られている。植物とガ類との相互作用には、このような両者の形質だけでなく、捕食者や盗蜜者といった第三者も影響していると考えられる。特に、花上の捕食者は、植物と訪花者の双方に負の影響を与える可能性が高い。

第2章 ガ類における訪花パターン:花筒長と口吻長の関係
花筒長と口吻長との関係は、訪花者の吸蜜効率に影響を与える。一般に、訪花者は、ロ吻長よりも深い蜜源から吸蜜できない。したがって、口吻が長い訪花者ほど、蜜源が深い植物に訪花すると考えられる。様々な分類群の昼行性訪花者において、深い蜜源の植物ほど訪花.者の口器が長いことが示されてきた。しかし、ガ類において、蜜源の深さと口吻長の関係は、スズメガ類での研究が多く、ガ類全体を調査した研究はほとんどなかった。2章では、訪花ガ類全体において、口吻長と訪問植物の花筒長との関係を調査した。兵庫県南部において,、開花植物34種の訪花ガ類を採集し、口吻長を測定した。その結果、14科246種973個体のガ類が採集された。そのうちスズメガ類は個体数では4%にすぎず、それ以外のグループが96%を占めていた。ガ類全体において、花筒長と口吻長には有意な正の関係があった。また、この関係は、スズメガ類を除いても見られた。つまり、夜行性ガ類において、口吻が長い種は、蜜源の深い花をより好んでいる可能が高い。

第3章 ミズトンボにおけるガ類による送粉
一部の開花植物は、特定の訪花者グループの体の一部に花粉を付着・運搬させることが 知られている。また、開花植物の花形態は、送粉者の形質と深い関連がある。3章では、ラン科の一種であるミズトンボにおいて、どのような昆虫が訪花し、花粉を運んでいるかを 調査した。兵庫県南部の水田の畦において、昼間および夜間に訪花者の観察を行った。調 査の結果、昼間にはセセリチョウ類および有剣類、夜間にはガ類による訪花が観察された。ガ類のうち、スズメガ類はホバリングしながら吸蜜を行っていた。また、キンウワバ類は 花に着地し羽ばたきながら吸蜜を行っていた。その他の訪花者は花に着地していた。訪花 者のうち、キンウワバ類の胸部腹面のみに花粉塊の付着が見られた。鱗翅目の胸部は鱗粉 に覆われているため、一般的には花粉塊などは付着しにくい。ミズトンボの嘴状体は前方に突き出しており、キンウワバ類の胸部腹面の表皮上に、花粉塊を付着させるよう機能していると考えられる。また、訪花者の口吻長とミズトンボの距の長さを比較したところ、キンウワバ類の口吻長が距の長さと近い値をとっていた。つまり、花粉塊の付着には花形態と口吻長の一致が重要であることが示された。

第4章 訪花ガ類への捕食圧
クモ類やカマキリ類は、しばしば花上で訪花者を捕食する。このような花上での待ち伏せ型捕食者は、昼行性訪花者に強い影響を与えることが報告されている。しかし、夜行性の訪花者に対する花上の捕食者の影響は未解明であった。4章では、花上の捕食者密度と訪花者に対する捕食者の行動を昼夜で比較し、花上の捕食者が夜行性訪花者に与える捕食圧を明らかにした。兵庫県南部および山口県中東部において、開花植物9種の花上の捕食者密度を調査した。その結果、5目7種の捕食者が花上で観察された。夜間において、昼と同程度かそれ以上の密度で捕食者が見られた。さらに、サワヒョドリの花上に滞在するカマキリ類の捕食行動を昼夜で比較したところ、訪花者に対する攻撃率は夜間で高かったが、攻撃の成功率は夜間で低かった。結果として、カマキリによる捕食率は、昼夜で有意に異ならなかった。つまり、夜間の訪花ガ類には、昼行性訪花者と同程度に高い捕食圧がかかっていることが示唆された。こうした夜間の髙い捕食圧は、訪花性ガ類の花上での被食回避機構を進化させてきた可能性がある。

第5章 総合考察
本論文では、口吻が長いガ類はより蜜源の深い植物を好んで訪花していることを示した。口吻が長い種では、多くの花から効率的に吸蜜を行うために羽ばたきを止めずに吸蜜するような訪花行動( 例えば、ホバリング) を行う。また、夜間においても花上の捕食圧が高いことから、訪花ガ類には被食防衛機構(回避行動、羽ばたき行動、スイング行動、鱗粉)が進化してきた可能性が高い。スズメガ類では、口吻長に対して蜜源が浅い植物を訪花することも被食防衛戦略の一っだと考えられる。さらに、花上の捕食者は、回避行動のようなガ類の防衛機構を介して、植物の繁殖成功にも間接的に影響している可能性がある。

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