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Tumor contact length of prostate cancer determined by a three-dimensional method on multiparametric magnetic resonance imaging predicts extraprostatic extension and biochemical recurrence

宮本 俊輔 広島大学

2022.03.23

概要

マルチパラメトリック MRI で 3 次元的に測定された前立腺癌の Tumor contact length
は、前立腺外進展と生化学的再発を予測する

宮本俊輔 1, 後藤景介 1, 本田有紀子 2, 寺田 大晃 2, 藤井慎介 1, 上野剛 1.3, 関野陽平 1, 北野弘
之 1, 池田健一郎 1, 稗田圭介 1, 井上省吾 1,亭島淳 1,武島幸男 4,安井弥 5,粟井 和夫 2,松原昭郎
1,6

1

広島大学大学院医系科学研究科

腎泌尿器科学

2 広島大学大学院医系科学研究科

放射線診断学

3

中津第一病院

4

広島大学大学院医系科学研究科

泌尿器科

5 広島大学大学院医系科学研究科

6 広島総合病院

病理学

分子病理学

概要
目的:前立腺切除術を受けている患者の病理学的前立腺外伸展および生化学的再発の予測
因子としての腫瘍接触長(TCL)の臨床的利益を評価すること。
方法:2014 年 4 月から 2019 年 7 月までに前立腺摘出術前に 3T マルチパラメトリック磁
気共鳴画像診断を受けた患者 91 名を対象とした。94 例の前立腺癌病巣をレトロスペクテ
ィブに解析した。3 次元方向の最大値とした最大腫瘍接触長(maxTCL)を,病理学的な前
立腺外進展および生化学的再発の予測因子として評価した。
結果 :19 病変(20.2%)が病理学的な前立腺外伸展を認めていた。AUC は、maxTCL が
Prostate Imaging Reporting and Data System(p=0.002) 、腫瘍最大径(p=0.001)、前
立腺特異抗原(p=0.020)
、Gleason score(p<0.001) 、臨床 T ステージ(p<0.001)に比
べて有意に優れた予測パラメータであることが明らかにされた。多変量解析により、
maxTCL(p=0.003)が生化学的再発を予測する独立した因子であることが明らかになった。
術前因子(PSA≧10,Gleason score≧3+4,maxTCL≧10mm)を用いて,高リスク群(す
べての因子を有する患者)
,中リスク群(3 つのうち 2 つを有する患者),低リスク群(1 つ
の因子のみまたは全くない患者)の 3 群に分類した。Kaplan-Meier 曲線により,高リスク
群は中リスク群(p=0.042)および低リスク群(p<0.001)に比べ,生化学的再発が有意に
不良であることが示された。
結論:我々の結果は、maxTCL が病理学的な前立腺外進展と生化学的再発の独立した予測
因子であることを示していた。PSA、Gleason score、maxTCL を用いたこの新しい分類は、
前立腺癌患者の術前評価に有用である可能性が示唆された。

緒言
前立腺がん(PCa)は、男性に最も多い固形がんであり、先進国におけるがん関連死亡原因
の第 2 位である 1。血清前立腺特異抗原(PSA)検査や前立腺生検から得られる所見に、経
直腸的超音波検査(TRUS)
、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像(MRI)などの各種画
像検査を組み合わせることによって、臨床病期や治療方針が決定される。
PCa の臨床病期評価において、マルチパラメトリック磁気共鳴画像(mpMRI)による所見
は、前立腺外進展(EPE)の評価を通じて、手術、放射線療法、積極的サーベイランスなど
の治療判断に寄与する上で非常に重要である。PCa における mpMRI の診断的有用性に関
する 45 件の研究のメタアナリシスでは、mpMRI による EPE の予測は感度 57%、特異度
91%であった。MRI の解釈は経験に依存し、読影者によって差があるため、EPE 予測にお
ける mpMRI の有用性には依然として議論の余地があるのが現状である。
はじめに TRUS で測定した TCL が、前立腺表面に接触している PCa の長さと定義され、
病理学的な前立腺外進展(pEPE)の良い予測因子であることが示唆された。いくつかの異
なる研究では、Axial MRI 画像から得られた MRI で測定した TCL は、病理学的 TCL と相
関し、pEPE の良い予測マーカーになる可能性があることが示されている。
本研究では、mpMRI の軸位、冠位、矢状面の TCL を測定する 3 次元方向法で求めた TCL
を評価し、これら 3 つの長さの最大値(maxTCL)が pEPE の予測に最も適した方法であ
ることを明らかにした。また、maxTCL は生化学的再発(BCR)と有意に関連し、多変量
解析では BCR の独立した予測因子であることを見出した。最後に、臨床 T 期(cT-stage)
の代わりに PSA 値、グリソンスコア(GS)
、maxTCL を用いた新しいリスク分類システム
が、PCa の臨床転帰を評価する上でより有用であることが示唆された。
方法
患者選択
2014 年 4 月から 2019 年 7 月に広島大学病院でロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺切除術
(RALP)を受けた患者 551 名のうち、術前に 3T mpMRI で検査した 91 名が前立腺被膜
接触を有する臨床的有意前立腺癌(csPCa)であった。CsPCa は、腫瘍体積が 0.5cc 以上、
GS が 3+4 以上であるものと定義した。合計で 119 の csPCa 病巣が検出された。EPE の状
態が適切な 94 個の csPCa 病巣を、TCL と pEPE の関係の解析に含めた。91 名の PCa 患
者を対象に、TCL と BCR の関係を検討した。14 名(片側 4 名、両側 10 名)が神経温存手
術を受け、29 名がリンパ節郭清を受けた。これらの患者の臨床的特徴および詳細を表 1 に
示す。cT 期は MRI 画像により評価した。この研究は広島大学倫理委員会の承認を得てい
る。(承認番号:E-451)
画像プロトコル
前立腺生検前 3 ヶ月以内に 32 チャンネルフェーズドアレイコイルを搭載した Ingenia 3.0T

MRI システム(Philips Healthcare, Best, Netherlands)を用いて撮影を実施した。すべて
の MRI 検査は、欧州泌尿器科放射線学会のガイドラインの勧告に従って実施され、画像は
以下の条件で取得された。T2 強調画像(T2WI)は、軸方向/矢状方向/冠状方向のスライス
に設定し、
スライス厚は 1.0mm-3.0mm であった。
T1 強調画像は軸方向スライスに設定し、
スライス厚は 3.0mm であった。拡散強調画像(DWI)および見かけの拡散係数マップは、
軸方向スライス、スライス厚 3.0mm に設定した。DWI の取得時間は 2 分以内、b 値は 01000s/mm2 および 0-2000s/mm2 であった。腫瘍最大径(TMD)は、T2WI における 3 方
向の最大長として測定した。前立腺体積と腫瘍体積は、T2WI で楕円体積の式(幅×深さ×長
さ/2)を用いて測定した。TCL は、mpMRI により T2WI 上の軸方向、冠状方向、矢状方
向の前立腺被膜に接する PCa の長さを測定し(図 1)、そのうちの最大の長さを maxTCL
と定義した。
経験豊富な泌尿器科病理医 1 名が、全層病理診断の全ての審査を監督した。 GS は
International Society of Urologic Pathology 2014 の基準に従って決定された。
フォローアップ
RALP 後のモニタリングとして、術後 1 カ月目と 3 カ月目に PSA 検査、その後は 3 カ月ご
とに PSA 検査を実施した。患者の人口統計学的データ、術前の臨床所見、画像所見、病理
所見、PSA のデータは、施設の電子記録と外部の医療記録から構築した前向きに維持され
るデータベースから取得した。BCR は、日本泌尿器科学会 PCa 診療ガイドラインに基づ
き、PSA >0.2ng/mL と定義された。病理標本は、病期分類のために検査され、再確認され
た。病理学的 TCL は、各腫瘍標本のヘマトキシリン・エオジン染色切片を用いて組織学的
に測定された。追跡期間中央値は 42.3(6.8-68.2)カ月であった。
統計解析
統計解析はすべて JMP Pro 14.0.0 (SAS Institute, Cary, NC, USA)を用いて行った。カテ
ゴリカル変数の分布の比較にはフィッシャーの正確検定を使用した。二項対立のカテゴリ
ー間で連続的に分布する変数の差は、Mann-Whitney U 検定を用いて検定した。ROC 曲線
は pEPE の予測能力を比較するために使用された。ROC 曲線の比較には DeLong 検定を
用いた。maxTCL と病理学的 TCL の相関は、散布図とスピアマンの順位相関係数を用いて
評価した。maxTCL に応じた BCR-free 生存率の評価には Kaplan-Meier 法を用い、差の評
価には log-rank 検定を用いた。
臨床病理学的パラメータと予後との関連は、Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて単変量
および多変量モデルで評価した。p<0.05 の値は、各比較における統計的有意性を示すもの
とした。

結果
maxTCL は病理学的 EPE 陽性を予測する最も正確なパラメータであった。
EPE 解析の対象となった病変は 94 個であった。
19 病変(20.2%)で pEPE が陽性であった。maxTCL、axialTCL、PI-RADS、TMD など
の MRI で得られたパラメータを用いて ROC カーブを描き(図 2A)
、曲線下面積(AUC)
を比較すると、maxTCL(AUC=0.89)は PI-RADS(AUC=0.71、p=0.002)および TMD
(AUC=0.75、p=0.001)より pEPE の予測パラメータとして有意に優れていた。
曲線下面積
(AUC)
を比較すると、maxTCL
(AUC=0.89)
は PI-RADS
(AUC=0.71、
p=0.002)
および TMD(AUC=0.75、p=0.001)より pEPE の予測パラメータとして有意に優れてい
た。同様に、maxTCL、前立腺生検で得られた PSA、GS、cT-stage を用いた pEPE の予測
確率についても ROC カーブを描いたところ(図 2B)、maxTCL の AUC 値は、PSA
(AUC=0.72、p=0.020)、GS(AUC=0.62、p<0.001)、cT-stage(AUC=0.57、p<0.001)
より高い値も示された。最後に、ROC 曲線により maxTCL のカットオフ値 14.1mm が、
我々のコホートにおける pEPE の予測に最も高い感度(80%)と特異度(84%)を有して
いた(Youden index=0.64)
。maxTCL が長い患者(>14.1mm)は、maxTCL が短い患者よ
りも有意に pEPE の陽性率が高かった(45.7%対 7.0%、p<0.001)
(図 2C)
。これらの結果
は、maxTCL が pEPE 陽性を予測する最も正確なパラメータであることが示唆された。
また、maxTCL と病理学的 TCL を比較すると、両者には有意な相関が認められた(r=0.527、
p<0.001)
(図 2D)

maxTCL は前立腺切除術後の BCR と有意に関連し、BCR の独立した予測因子である。
次に、maxTCL が T 期、GS、EPE、切除断端、リンパ管浸潤、末梢神経浸潤、精嚢浸潤、
リンパ節転移などの臨床病理学的パラメータと関連しているかを調べた(表 2)
。 maxTCL
は病理 T 期(p<0.001)
、EPE(p<0.001)
、末梢神経浸潤(p=0.044)に有意に関連して
いた。
91 例中 15 例(16.5%)が試験期間中に BCR を経験した。ROC 解析で決定した maxTCL
のカットオフ値 14.1mm を用いて、TCL と BCR の関連性を検討した(図 3)
。maxTCL が
長い患者さんは、maxTCL が短い患者さんに比べ、BCR なしの生存率が有意に悪いことが
示された。年齢、PSA、前立腺体積、cT-ステージ、GS、D'Amico リスク分類、PI-RADS、
maxTCL を含む一変量解析では、PSA(ハザード比[HR]=2. 94, 95% CI: 1.06-8.76;
p=0.039), GS (HR=4.60, 95% CI: 1.27-29.43; p=0.018), and maxTCL (HR=6.80, 95% CI:
2.16-29.90; p=0.001) は BCR なしの生存と関連していることが明らかになった。多変量解
析では、maxTCL(HR=5.57、95%CI:1.72-24.83、p=0.003)が BCR を予測する独立し
た臨床リスク因子であることが明らかとなった(表 3)。これらの結果を総合すると、
maxTCL は BCR の最適な予測因子であることが示唆された。

PSA、GS、maxTCL によるリスク分類は、PCa の術前評価に非常に有用である可能性があ
る。
我々の分析では、maxTCL は EPE の最適な予測因子であり、BCR の独立した予測因子で
あった。そこで、D'Amico リスク分類における cT-stage の代替因子として、PSA、GS、
maxTCL を含む術後 BCR 予測のためのリスク分類モデルを提案した(図 4)
。PSA のカッ
トオフ値は、D'Amico リスク分類の低リスクカットオフ値を用いて決定した。GS のカット
オフ値は、2014 年の ISUP コンセンサス会議において再発率に最も差があったグレード群
2(GS3+4)とグレード群 3(GS4+3)の間の ISUP グレード群を用いて決定した。これら
三つのパラメータに基づき、患者は低リスク群、中リスク群、高リスク群の三群に分類され
た。PSA の上昇(>10)
、GS の上昇(>3+4)
、maxTCL の延長(>10mm)が見られた患者
を高リスク群に割り付けた。中リスク群に割り付けられた患者は、これら 3 つの因子のう
ち 2 つを持つ患者であり、因子が全くないか 1 つしかない患者は低リスク群に割り付けら
れた。91 名の患者のうち,44 名が低リスク群に,32 名が中リスク群に,15 名が高リスク
群に振り分けられた。Kaplan-Meier 曲線から、高リスク群の患者さんは、中リスク群
(p=0.042)および低リスク群(p<0.001)に比べて BCR フリーの生存率が有意に悪いこと
が明らかになった。さらに、中リスク群の患者さんは、低リスク群の患者さんに比べて、
BCR フリーの生存期間も有意に悪かった(p=0.047)。これらの結果は、PSA、GS、maxTCL
を含む新しいリスク分類が PCa の術前評価に非常に有用である可能性を示唆するものであ
った。
考察
本研究では、PCa の TCL を mpMRI で 3 次元的に測定することにより、pEPE と BCR の
予測に有用であることを示した。
PI-RADS は、mpMRI を用いた PCa の診断法として普遍的に受け入れられている。いく
つかの文献では、PI-RADS が pEPE や前立腺摘除術後の臨床予後の予測因子であると報
告されている。しかし、mpMRI の解釈は経験に依存する側面があり、読み手によって差が
あるため、pEPE の予測にはより最適なパラメータが必要である。TCL は読影者間のばら
つきが少なく、主観的な mpMRI パラメータよりも客観的な EPE 予測パラメータであると
報告されている。超音波で測定した TCL は、根治的前立腺摘除術検体 189 例における回帰
分析でがん量よりも顕微鏡的 EPE と良い相関を示した。MRI で測定された TCL も病理学
的に測定された TCL と強い相関があり、MRI の解釈に関連する従来の主観的基準よりも
pEPE の予測マーカーとして優れている可能性がある。3 次元構築モデルで評価した MRI
画像は、2 次元構築モデルよりも EPE 予測に有用であることが報告されている。最近の分
析でも、BCR の予測因子として TCL の臨床的有用性が示されている。
D'Amico 分類は、再発の予測に簡単で広く使用されており、当院でも治療方針の決定に使
用しています。しかし、cT-stage は DRE、TRUS、MRI など複数の方法で判定され、主観

的評価や検者の経験に依存するため、D'Amico 分類に必要な cT-stage の評価が異なること
がある。そこで、cT-stage に代わる因子として術前の PSA、GS、maxTCL を用いて術後
BCR を予測するリスク分類モデルを提案した。この新しい分類モデルは、各群間で有意差
を示した。この分類は、PCa 患者の術前評価において、他の分類よりも重要な役割を果た
す可能性があると考えている。
本研究にはいくつかの限界がある。第一に、追跡期間中央値が 42.3 ヶ月のレトロスペクテ
ィブな研究であるため、臨床の場で前向きに適用した場合の予後予測因子としての有用性
が不明であることである。また、本研究は単一施設で行われたものである。本研究の結果を
補強するためには、より多くの母集団を対象とした前向きかつ多施設での解析が必要であ
ろう。本研究では、TCL 測定値間の読影者間一致度は測定されなかった。しかし、これま
での研究で、読影者間の一致が良好であることが確認されており、本研究の結果を支持する
ものである。
結論として、mpMRI の客観的パラメータとして、maxTCL はシンプルで容易に測定可能
であり、T-ステージの予測において正確で、根治的前立腺摘除術後の pEPE および BCR 陽
性の独立した予測因子となる。
本研究で提案された maxTCL を用いた新しいリスク分類は、
RALP 後の BCR を予測するためのより良い知見を提供する可能性がある。客観的で正確な
mpMRI パラメータとしての TCL が、患者の治療における意思決定に影響を与え、前立腺
切除術を受ける患者の手術計画および補助療法の必要性を導くことができるかどうかを判
断するために、今後より大規模なコホートでの検証が必要であろう。

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