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書き出し
救急医療と法医学における臨床検査の有用性に関する検討 : 臨床との連携に向けて（要約）
概要
病院へ救急搬送された患者が死亡した後、司法解 剖や調査法解剖となる症例がしばしばみられる。死 亡確認から解剖まで半日から数日経過することもあ り、解剖時に採取した検体は死後変化の影響を受け るため、その解釈に苦慮する事が多い。特に逸脱酵 素系は変動が大きく、溶血による影響もあるため、 診断に有用な項目は限られる。そのため、救急搬送 時の検査データは、当時の様子を知り得ることがで きる重要な情報である。
交通事故の場合、事故当時の情報が重要で、飲 酒•薬物摂取の有無、体調不良による事故の可能性 を考えなくてはならない。アナフィラキシーショツ クや水中毒では、救急搬送時のデータでなければ診 断は不可能である。
当 教 室 は 、 救 急 搬 送 時 • 解 剖 時 デ ー タ 、 救 急 搬送 時の診断、死因との関係性を様々な観点から広く検 討することができる。これらを精査することで、救 急医療と法医鑑定に有用な検査項目を見いだすことを目的とした。
また、臨床検査は救急搬送時だけでなく、患者が 死亡した後にも重要な役割を果たしていることを臨 床検査技師に周知するための研修会を実施し、臨床 と法医学との連携が深まることを期待する。
