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大学・研究所にある論文を検索できる 「Laminin221 enhances therapeutic effects of hiPS-CMs derived 3-dimensional engineered cardiac tissue transplantation in a rat ischemic cardiomyopathy model」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Laminin221 enhances therapeutic effects of hiPS-CMs derived 3-dimensional engineered cardiac tissue transplantation in a rat ischemic cardiomyopathy model

佐村, 高明 大阪大学

2020.07.31

概要

〔目 的(Purpose)〕
 虚血性心筋症に対するヒトiPS細胞由来心筋細胞シート移植治療は、心筋補充療法としての再生医療であり、期待が高まっている。当科では、虚血性心筋症に対するヒトiPS細胞由来心筋細胞シート移植を、医師主導型治験としてFirst in Human試験を行った。しかし、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの移植後生着は十分でなく、ヒトiPS細胞由来心筋シー卜移植の心筋補充療法としての治療効果を十分に引き出すためには、移植後心筋組織の生着増強が必要である。
 ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの生着増強を達成するためには、移植心筋組織への血液供給の改善、免疫拒絶の抑制、心筋細胞の生存に必要な細胞外マトリックスの付加が重要である。特に心筋細胞に特異的な細胞外マトリックスであるラミニン221は、心筋細胞表面に発現しているインテグリンα7β1と結合することにより、outside-inシグナル伝達を活性化し、坑アポトーシス作用により、心筋細胞の生存に寄与することが報告されている。
 本研究では, 虚血性心筋症ラットモデルに対するラミニン付加ヒトiPS細胞由来心筋組織移植において、ラミニンの持つ抗アポトーシス活性により生着が促進し治療効果を増強させることを仮説とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 ラミニン221付加の有無による、ヒトiPS細胞由来心筋細胞(253G1)の運動機能、代謝機能、低酸素耐性、低酸素条件下におけるアポトーシス関連遺伝子発現の違いをin vitroで比較検証した。ラミニンコーティング培養皿の上で培養したiPS細胞由来心筋細胞をラミニン群、通常の培養皿で培獲したiPS細胞由来心筋細胞をコントロール群とした。運動機能は、心筋細胞の収縮・拡張速度をCell motion Imaging Systemを用いて比較した。代謝機能はミトコンドリアにおける最大呼吸速度を比較した。低酸素耐性の評価は、低酸素条件(025%、72時間)での培養後に、生存細胞数、細胞傷害性を評価した。また、低酸素条件下で培養後に抗アポトーシス関連遺伝子(BCL2, BCL2L1)の発現を比較した。その結果、運動機能ではラミニン群で有意に収縮、拡張速度が増強し(収縮速度、ラミニン群:16.4±2.0 μm/sec vsコントロール群:11.1±3.4μm/sec, p<0.001、拡張速度、ラミニン群:9.0±1.8μm/sec vsコントロール群:6.1±2.5μm/sec, p<0.002)、代謝機能ではラミニン群で有意に最大呼吸速度が増強し(ラミニン群: 221±30pmol/min vsコントロール群: 172±19pmol/min)、低酸素耐性ではラミニン群で有意に生存細胞数が増え、細胞傷害性が低減された。また、低酸素条件下において、ラミニン群で抗アポトーシス関連遺伝子であるBCL2、BCL2L1の発現が有意に増強した。
 次に、ラミニン付加ヒトiPS細胞由来心筋組織の有用性をin vivoで検証した。レシピエントにはF344/NJc1-rnu/rnu T細胞欠如免疫不全モデルラットを用いて、8週齢で左前下行枝を結紮し虚血性心筋症モデルを作成し、2週間後に移植を行った。ラミニン付加心筋組織移植群、心筋組織移植群、フィブリンシート移植群(各n=10)の3群で、移植後生着をBioluminescence imaging(移植ヒトiPS細胞由来心筋細胞株:201B7-luc7)を用いて評価し、心機能の推移を心エコー検査で移植後4週目まで評価した。また、傍梗塞部位におけるサイトカイン関連遺伝子発現と血管新生の違いも比較検討した。心筋組織の生着は、ラミニン付加心筋組織群で移植後3日目に有意に増強しており、7日目においても生着増強傾向を認めた。また、心機能はラミニン群で移植後4種目において、その他の2群と比較して有意に心機能の改善を認めた(左室駆出率: ラミニン付加心筋組織:55.1%±6.3% vs心筋組織群:48.1%±5.9% vsフィブリンシート群:34.8%±2.5%, n=10; ラミニン付加心筋組織群 vs フィブリンシート群; p<0.001, ラミニン付加心筋組織群vs心筋組織群; p=0.016, 心筋組織群vsフィブリンシート群;p<0.001)。傍梗塞部位におけるサイトカイン関連遺伝子の発現有意に増強しており、また傍梗塞部位における血管新生も有意にラミニン群で増強を認めた。

〔総 括(Conclusion)〕
 ヒトiPS細胞由来心筋組織にラミニンを付加することにより、心筋細胞の構造機能・ミトコンドリア機能・抗アポトーシス活,性は増強し、組織生着は改善され、治療効果を増強した。

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