Study on QGP bulk property based on relativistic resistive magneto-hydrodynamics

概要

学位報告４

別紙４
報告番号

※

甲

第

主

号

論

文

の

要

旨

論 文 題 目 Study on QGP bulk property based on relativistic resistive
magneto-hydrodynamics
（相対論的電磁流体に基づくクォーク・グルーオンプラズマの物性研究）
氏

名 中村 幸輝

論 文 内 容 の 要 旨
我々の物質を構成している陽子や中性子は素粒子であるクォークやグルーオンから構成
されている．これらの間に働く強い相互作用の性質を解明することは原子核物理学におけ
る重要な課題である．
クォークやグルーオンは通常，陽子や中性子などのハドロンの中に閉じ込められている
が，高エネルギー領域では，漸近的自由性によってクォークやグルーオンが閉じ込めから
解放されたクォーク・グルーオンプラズマ（ＱＧＰ）相が存在する．ＱＧＰ相の究明のた
めに高エネルギー原子核衝突実験が世界規模で遂行されており，ＱＧＰの熱力学的・物性
的性質が議論されている．さらに，２つの原子核衝突の際に生成される 1015-1016 テスラに
及ぶ宇宙一とも言える高強度磁場の存在に注目が集まっている．
申請者は，ＱＧＰを相対論的流体として取り扱い，電磁場との相互作用を相対論的流体
力学に基づいて記述する模型を構築した．まず，電気伝導度を組み入れた相対論的電磁流
体力学方程式の数値計算コードを開発した．デカルト座標系に加え，高エネルギー原子核
衝突実験における時空発展の記述に適した Milne 座標系でのテスト計算を実行し数値計算
コードの検証を行った．
次にこの数値計算コードを米国ブルックヘブン国立研究所の Relativistic Heavy
Ion Collider の実験結果解析に適用した．ここで対称系である金-金衝突実験と，非対称系
である銅-金衝突実験における荷電ハドロン粒子の集団的運動に注目し，
ＱＧＰの電気伝導
度依存性について議論した．数値計算結果と実験結果を比較することで，π中間子の非対
称なフロー，
特に銅-金衝突実験における正電荷と負電荷の非対称なフローの差から実験的

学位関係

にＱＧＰの電気伝導度を明らかにできることを示した．
申請者は高エネルギー重イオン衝突実験においてＱＧＰと電磁場の相互作用を記述
する模型として相対論的電磁流体力学に基づく模型を構築した．この模型を高エネル
ギー原子核衝突実験に適用し，荷電ハドロン粒子の集団運動の解析を遂行した．この
結果から荷電π中間子の集団運動における荷電依存性から実験的にＱＧＰにおける電
気伝導度が測定可能であることを指摘した．

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