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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthesis and Properties of Zwitterionic Compounds Utilizing an Introducing Unit of a Boranuidyl Group」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synthesis and Properties of Zwitterionic Compounds Utilizing an Introducing Unit of a Boranuidyl Group

Iwai, Kento 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23020

2021.03.23

概要

近年、イオン性置換基の置換基効果を利用した分子の機能性発現に関する研究が盛んに行われている。イオン性置換基に期待される主な置換基効果として、置換基の電荷に起因するクーロン効果や、対イオンとの配位性相互作用、およびエントロピー的に有利な双性イオン種の発生を鍵とする反応性の発現などが挙げられる。また、これらのイオン性置換基は配位子に対して導入される例が多く、主な研究対象は双性イオン型の遷移金属錯体の合成およびその触媒的利用であった。これらの背景から申請者は、有機化合物や典型元素化合物を研究対象とし、イオン性置換基の導入による新規物性や反応性の開発を目的に研究を行なうことにした。使用するイオン性置換基は、反応活性な中性種もしくはカチオン種への導入を見すえ、化学的に安定なフッ素置換トリアリールボラヌイジル基を選定した。

イオン性置換基による機能性分子の開発が注目を集めている一方で、その導入方法についてはあまり研究が行われていない。申請者は、新規なボラヌイジル基の導入ユニットとしてブロモフェニル[トリス(ペンタフルオロフェニル)]ボラート1を合成した。単結晶X線構造解析の結果、1が結晶状態においてサンドイッチ型の錯体を形成していることを明らかにした。また、1は実際に合成ユニットとして利用でき、リチウム–臭素交換反応によるアリールリチウム試薬の発生を経由した、ベンゾフェノンとの反応により、付加生成物であるp-ボラヌイジルトリフェニルメタノール2の合成が可能である。さらに、2においてもハーフサンドイッチ型の錯体の形成が確認されたことから、1の部分構造に由来する錯体の形成能が生成物においても同様に発現することが明らかになった。

続いて申請者は、ボラヌイジル基導入ユニット1を用いて双性イオン型トリアリールメチリウム塩3およびアクリジニウム塩4を合成し、その構造および分光学的特性の検証を行った。その結果、いずれの化合物も、溶媒の極性が低下するにつれ吸収帯が赤色シフトするという、双性イオン型色素に特徴的なソルバトクロミズムを示した。さらに、トリアリールメチリウム塩3は外部環境に応じた固体状態における色調の変化を、アクリジニウム塩4は固体誘起発光を示すなどの機能が発現することを明らかにした。また、アクリジニウム塩の単結晶X線構造解析を行ったところ、その集積構造がイオン性相互作用により制御されていることが示唆された。これらの結果から、ボラヌイジル基導入により、新規な光化学特性および結晶中での集積構造の制御が可能になることを明らかにした。

さらに申請者は、ボラヌイジル基を有するケイ素化学種の合成と反応性の検討を行なった。ボラヌイジル基を導入にしたクロロシラン5にN-ヘテロ環状カルベン(NHC)を作用させると置換反応が効率よく進行し、イミダゾリオシラン6が生成することを明らかにした。通常、中性のクロロシラン類とNHCとの反応では単に五配位シリカートを与えることが知られており、5の置換反応は双性イオン形成が駆動力になっていることが示唆された。また、6に対し強塩基を作用させるとイミダゾリオ基の移動反応が進行し、アニオン性NHC 7が生成することを明らかにした。単結晶X線構造解析の結果、7の対カチオンは本ボラヌイジル部位に特徴的な配位様式に加えNHCからも配位を受けた、多座配位型の錯体を形成していることが明らかになった。

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