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大学・研究所にある論文を検索できる 「患者―看護師関係における看護師の専心尺度の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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患者―看護師関係における看護師の専心尺度の開発

牧野 耕次 富山大学

2022.03.23

概要

〔目的〕
本研究では,患者-看護師関係における看護師の専心尺度を開発する.
第一研究では,患者-看護師関係における看護師の専心尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討する.
第二研究では,専心尺度で使用する「専心」の概念的定義に関する検討を行う.

〔方法〕
第一研究
回収率30~40%,作成尺度完成版40~50項目に適用するサンプルサイズ450~600名を想定して,関西圏にある200床以上の病院の看護部局長に依頼し,同意の得られた病院に所属する看護師1500名を目標に無記名の自記式質問紙を配布した.
分析は統計ソフトIBM SPSS 27およびAmos 27を用いた.項目分析では天井効果・床効果を確認し,Good-Poor analysis(G-P分析)とItem-Total Correlation Analysis(I-T分析)を実施した.信頼性の検討ではCronbach’s α係数を算出し,折半法を実施した.妥当性の検討では,構成概念妥当性の検討で探索的因子分析を実施し,確認的因子分析により二次元因子モデルの適合度を検討した.さらに,関連尺度であるBIG5,SRS-A,没入尺度により基準関連妥当性を検討した.

第二研究
関西圏にある200床以上の病院の看護部局長に依頼し同意の得られた看護師に半構成面接法による質的記述的研究を用いて,患者-看護師関係における看護師の専心の属性,先行要件,帰結を抽出し,概念的定義を生成した.

〔結果〕
第一研究
200床以上の5病院に勤務する461名(有効回答率30.67%,平均年齢36.67±10.32歳,平均看護師経験年数13.80±9.56年)の回答を分析した.
天井効果・床効果,I-T分析,G-P分析による項目分析で残った項目に対し,最尤法・プロマックス回転による探索的因子分析を実施した結果,患者—看護師関係における看護師の専心尺度の下位因子として【尊重】【没頭】【予見】【関心】の4因子12項目(Kaiser-Meyer-Olkinが.83,p<.001および各質問項目の共通性が.33~.77,固有値が1.00以上,累積因子負荷量53.97%)が抽出された.また,確認的因子分析の結果,二次元因子モデルが容認され構成概念妥当性が確認された.そのモデル適合度はGFI=.960, AGFI=.937,CFI=.968,RMSEA=.050(係数はすべて有意 (p<.01))であった.
尺度全体および下位因子のCronbach’s α係数は.72~.82で内的整合性が確認された.折半法については,IDの奇数群と偶数群の各項目得点において,t検定による有意な差(t(459)=-1.31,p=.19)はみとめられなかった.
基準関連妥当性の検討では,BIG5の「協調性」から【尊重】および【関心】へのパス係数が.32(p<.001),「神経症傾向」から【没頭】へのパス係数が.36(p<.001)で GFI=.987,AGFI=.942,CFI=.970,RMSEA=.064(係数はすべて有意(p<.05))であった.また,SRS-Aの「観念」から【予見】へのパス係数が.36(p<.001),【関心】へのパス係数が.33(p<.001)でGFI=.997,AGFI=.982,CFI=.999,RMSEA=.019(係数はすべて有意(p<.05))であった.さらに,没入尺度の「自己没入」から【没頭】へのパス係数が.034(p<.001)でGFI=.998,AGFI=.988,CFI=1.000,RMSEA=.000(係数はすべて有意(p<.05))であった.
第一研究の結果と第二研究との関係・発展・統合
看護の専心は看護の中心概念であるケアリングの重要な要素である.しかし,臨床看護師には使用されず,イメージできる専心の概念は不明確であった.実際,看護師の専心のプロセス(牧野・比嘉,2021)以外は看護師の専心をテーマにした研究はみられず概念分析が困難であったため,看護師の専心のプロセスの研究から第一研究で看護師の専心尺度を開発した.次に,第一研究の結果である看護師の専心尺度の4因子から,便宜的定義の生成が可能となった.専心尺度の下位因子から生成した便宜的定義が臨床看護師にも共有できるのか確認を行い,さらに発展させるために,臨床看護師の語りから患者-看護師関係における看護師の専心の概念的定義に関する検討により,以下の結果が示された.

第二研究
看護師 10 名(看護師経験年数は 3 年から 36 年で平均 17.10 年,年齢は 24 歳から 59 歳で平均 40.30 歳)を参加者として,その逐語録を分析した結果,患者-看護師関係における看護師の専心の属性として【思いを理解しようとする】【要点をとらえようとする】【そばにいる】【経験を重ね合わせる】【全体的情報収集をしようとする】の5カテゴリーが抽出された.また,先行要件として【患者の思い】【患者の背景】【先の考慮】【看護師の特性】【家族の背景】【関係における制約】の6カテゴリーが抽出された.さらに,帰結として【細やかなケア】【境界の調整】【サポート体制の強化】【結果の意味づけ】の4カテゴリーが抽出された.

〔総括〕
第一研究において,患者-看護師関係における看護師の専心尺度が作成され,実用に耐えうる尺度であることが確認された.第二研究において,専心尺度で使用する「専心」の概念的定義が「対象の主観的・客観的経験世界を共有しようとすること」と定められた.
以上の過程を経て,患者-看護師関係における看護師の専心尺度が開発された.

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