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大学・研究所にある論文を検索できる 「看護師を対象としたコーチングスキル評価尺度の信頼性・妥当性の検証および研修受講者の行動変容の評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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看護師を対象としたコーチングスキル評価尺度の信頼性・妥当性の検証および研修受講者の行動変容の評価

佐藤 明香 東北大学

2022.03.25

概要

背景:
医療従事者がコーチングを学習・習得することは有用と考えられており、コーチング教育研修が行われている。研修の効果測定にはコーチングスキル習得を他者が評価できる尺度が必要だが、信頼性・妥当性が検証された尺度は存在しない。

目的:
医療者に対するコーチング研修の客観的な評価ができるようにするために、企業のリーダーを対象としたコーチング研修の効果測定目的に開発されたコーチングスキルアセスメントプラス(CSA plus)の、看護師における信頼性・妥当性を検証すること。また、信頼性と妥当性の検証された尺度を用いて、看護師を対象としたコーチング研修の客観的な効果測定を行うこと。

参加者:
受講者1:2018年度と2019年度にO大学病院で実施した「コーチング継続研修(全3回)」の受講者で、本研究への参加に同意したもの(21名)。協力者1:受講者1が職務遂行上重要と考える関係者で、受講者1のコーチングスキルを評価するもの(依頼者数:105名)。受講者2:2018年度と2019年度にO大学病院で実施した「コーチング1日研修」の受講者で、本研究への参加に同意したもの(13名)。協力者2:受講者2が職務遂行上重要と考える関係者で、受講者2のコーチングスキルを評価するもの(依頼者数:65名)。プロコーチ:国際コーチング連盟(ICF)のマスターもしくはプロフェッショナル認定コーチで、本研究への参加に同意したもの(19名)。クライアント:プロコーチが有料でコーチングセッションを提供している個人契約のクライアントで、プロコーチのコーチングスキルを評価するもの(依頼者数120名)。

使用した評価票:
①研究用CSAplus、②主観的健康感尺度(SUBI)日本語版、③患者安全文化尺度(HSOPS)日本語版(いずれも無記名自記式質問紙)

方法:
研究1:(横断研究)協力者1・2(評価票①~③)およびクライアント(評価票①)からの回答を用い、探索的因子分析によりCSAplusの因子構造を確認し、ICFコア・コンピテンシーとの関係を検討した(構造妥当性の検証)。また、看護師におけるコーチングスキル習得の他者評価尺度としての信頼性(内的整合性、再テスト法)と構成概念妥当性(既知集団妥当性、収束的妥当性)を検証し、天井・床効果の確認を行った。プロコーチからの意見をもとに内容妥当性を検証した。

研究2:(前向きコホート研究)研究1で信頼性・妥当性を検証したCSAplusを用い、O大学病院の看護師を対象としたコーチング研修前・1か月後・半年後で協力者1・2が受講者を評価した回答を用いて、研修ごとにCSAplus合計点および各下位尺度得点を従属変数とする反復測定分散分析を行った。その後の検定にはBonferroni法を用いた。

結果:
研究1:有効回答の得られた協力者(1・2)126名、クライアント78名を解析した。CSAplusは3因子構造の尺度で、α係数は尺度全体で0.964、再テスト法による合計得点間の級内相関数は尺度全体でr=0.879であった。仮説検証による構成概念妥当性(既知集団妥当性、収束的妥当性)の検証では仮説が支持され、天井効果・床効果は認めなかった。プロコーチによる内容妥当性も確認された。

研究2:3回の調査に欠損のない協力者1(46名)・協力者2(33名)を解析した。協力者1によるCSAplus合計点および各下位尺度得点は研修前より1か月後、さらに半年後と増加し、第3因子の下位尺度得点以外はいずれも研修前と半年後で有意な向上を認めたが、効果量は小さかった。協力者2によるCSAplus合計点および各下位尺度得点は研修前より1か月後に有意に向上し、第2因子下位尺度得点を除く効果量は中程度だった。半年後にはいずれの研修前得点とも有意差を認めなかった。

結語:
CSAplusは3因子構造の尺度で、抽出した因子を【主体的な行動を継続的に支援するスキル】【安心して話してもらうスキル】【対等な関係の中で目標・課題と直面させるスキル】と命名した。また、看護師のコーチングスキルの他者評価尺度として本尺度の信頼性と妥当性が確認された。さらに、大学病院の看護師を対象としたコーチング研修において、研修効果の大きさや持続性に研修の内容と回数が影響する可能性が示唆された。このようにCSAplusは看護師を対象としたコーチング研修の効果を客観的に評価する尺度として使用可能であることが示された。

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