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金ナノ粒子コンジュゲート最適化による簡易・迅速遺伝子定量技術の開発 (本文)

江刺家, 惠子 慶應義塾大学

2021.03.23

概要

近年、次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer : NGS) や DNA (Deoxyribonucleic acid)マイクロアレイなどの機器や解析技術の発展により、多量の遺 伝情報を瞬時に取得することが可能となり、患者ひとりひとりの遺伝情報を知ることで、より個人にあった最適な治療が提供できる。この個別化医療の一つとして、妊婦の血液 中に胎児由来のDNA が存在することが発見され、胎児の遺伝子疾患に関する診断が可 能となったことや、また癌組織由来の血液遊離 DNA や RNA(Ribonucleic acid)をマー カーとしてのターゲットシーケンスなども盛んに行われている。個別化医療は、疾患を 理解するためのこれまでのアプローチを拡張し、患者の分子プロファイルに基づいて治 療方法や薬剤を選択できることから、医師は副作用を最小限に抑え、より効果的な治療 を確実にすることが可能となる。現在医療機関で実施されている遺伝学的検査としては、遺伝病の原因となる変異を検出するもの、各個人に合わせた医療のために行うものや、癌などに生じた体細胞変異を検出するものなどがあり、この他に病原体の検出を目的と した病原体遺伝子検査が存在する。この遺伝子検査は検査機関で実施され、大掛かりな 測定機器を必要とし、コスト面や検査時間等でも課題がある。最近では、この遺伝子検 査を疾患部位の組織採取を行わず、血液、唾液、尿などの体液を用いることで非侵襲的 に測定し診断する、リキッドバイオプシー(liquid biopsy)が注目されている。特に血中 循環腫瘍DNA(Circulating tumor DNA:ctDNA)の変異解析は、分子標的治療薬の効果 予測や薬剤耐性のモニタリングなど、臨床検査としての実用化に期待が寄せられている。しかし、現在ではこのような少量のヌクレオチドを直接検出して定量化することは困難であり、少量を迅速かつ費用効果の高い方法で配列決定し、またリアルタイム PCR(Polymerase chain reaction)のように増幅し、定量することが主な検査法となって いる。

また、医療以外の農業、食品、家畜、水産物、獣医、環境、研究などの分野においても、簡単で迅速な遺伝子検査を必要とする多くの産業がある。ここでは主に、我々の生活に密着した農業や食品分野での、農作物遺伝子組換え(Genetically modified:GM)検査に注目した。世界的に GM 技術を利用して開発された農作物の実用化が進んだことにより、安全性が確認された GM 農作物の表示が義務化されたことから、この表示を行うための信頼性と実用性の高い、GM 農作物の検知技術の開発が求められている。この検査法にも、現状では、リアルタイムPCR 法による定量技術が使われている。PCR検査法では、少量の標的遺伝子を増幅でき、標的遺伝子が異なっていても基本的に同じ検査方法で行えるという利点はあるが、検出試料や、前処理法で増幅検出率が異なることや、被検体中に 10 個から 100 個ほどの標的遺伝子が存在しないと再現性良く検出できない、前処理での PCR 阻害物質が含まれないよう精製する必要がある、酵素や蛍光色素などの不安定な検査試料を必要とするなど、PCR の効率および結果に大きな要因を与えることが多くある。PCR は便利な技術ではあるが、遺伝子検査に応用する場合、その取扱いについては慎重にならなくてはいけない。

医療や、様々な分野における遺伝子定量検知技術が不可欠になるにつれ、PCR 法に代わる、迅速、低コスト、高感度な現場での簡易な遺伝子定量ツールが求められる。このことから、世界的に多くの研究が行われているが、中でもバイオセンシングで多くの研究されている金ナノ粒子(Gold nanoparticle :AuNP)に着目し、AuNP をDNA への標識として使用した、光学的検出によるターゲット(Target)DNA の高感度定量を目的としている。

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参考文献

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