リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthetic biological studies on production of methanol from natural resource-derived carbon compounds」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Synthetic biological studies on production of methanol from natural resource-derived carbon compounds

Takeya, Tomoyuki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23251

2021.03.23

概要

メタノールは、化学原料や微生物の培養原料として用いられるほか、燃料や燃料電池としての利用も可能である。その製造は主にメタンを主成分とする天然ガスから合成ガス化を経て行われているが、バイオマスや二酸化炭素など様々な炭素資源も製造原料とできることから、メタノールを中心とした物質生産・社会体系である「メタノール・エコノミー」が、ノーベル化学賞を受賞したOlahらにより提唱されている。一方、自然界には、メタンからメタノールへの直接酸化を常温常圧条件で触媒するメタン酸化生体触媒(MOB)や、植物細胞壁成分であるペクチンのメチルエステル基を加水分解するペクチンメチルエステラーゼ(PME)などの、メタノール生成反応を触媒する酵素(メタノール生成酵素)が存在する。また細菌のメタノール代謝経路(C1代謝経路)に関わる酵素の中には、逆反応、すなわちバイオマス成分からメタノールを生成する方向の反応を触媒するものも知られている。これらの酵素によるメタノール生成反応を用いることによって、各種天然資源に由来する炭素化合物からのメタノール生産に合成生物学的な利用が可能であると考えられた。

 本論文では、メタノール生成酵素を異種発現させた菌株におけるメタノール生成活性を検出すべく、メタノール資化性酵母Komagataella phaffii(Pichia pastoris)を用いたメタノールの高感度一細胞バイオセンシング技術として「メタノールセンサー酵母」を開発し、その技術検証として本センサー酵母に異種発現させたPME活性を一細胞単位で可視化することに成功した。さらに、センサー酵母とMOB活性を有する細菌の共培養により、そのMOB活性の可視化と、メタンを用いた異種タンパク質の合成に成功した。また、細菌のC1代謝経路を構成し逆反応の触媒活性も示す酵素群を大腸菌で同時発現させることで、グルコースからメタノールを生成する「逆行C1代謝経路」を構築した。主な内容は、以下の通りである。

1. K. phaffiiを宿主としてメタノールの濃度に応じた強さで転写誘導されるAOX1またはDAS2のプロモーターの下流に蛍光タンパク質を発現する株を作製し、グルコース培地で対数増殖中期または後期まで前培養した細胞をメタノール培地に移し、細胞の蛍光強度を顕微鏡画像解析で定量化した。その結果、DAS2プロモーターを用いた株の対数増殖後期の細胞を用いる条件で、最も低い濃度のメタノール(25μM)に対して蛍光強度が増大することを見出した。

2. 1.で確立した条件の細胞集団を、蛍光強度測定のスループット性が高いフローサイトメトリーに供し、メタノール濃度に応じた細胞の蛍光強度分布を解析した結果、2.5μMのメタノールに対し細胞の蛍光強度分布が高強度側へとシフトし、相乗平均も増大した。以上の結果により、μMレベルの検出下限を有するメタノールの一細胞バイオセンシング技術を確立した。

3. 糸状菌Aspergillus niger由来のPME遺伝子の発現カセットをセンサー酵母に導入し、基質であるペクチンを添加してメタノール生成反応を行わせた結果、発現カセットのコピー数に比例してセンサー酵母の蛍光強度が増大し、その増大量が生化学的に評価したPMEの生産量および活性評価とも合致したことから、メタノール生成酵素活性の一細胞単位での活性の可視化に成功した。さらにセルソーターを用いれば活性の高い細胞をハイスループットに選抜できることを示した。

4. MOB活性を有するMycolicibacteriumsp. TY-6株(以下、TY-6株)をセンサー酵母とを、メタンをメタンを単一の炭素源とする培地において共培養した結果、メタンおよびTY-6株の菌体濃度に依存してセンサー酵母の蛍光強度が増大したことから、本共培養系によって異種タンパク質である蛍光タンパク質をメタンからワンポット合成できることを示した。

5. メタノール資化性細菌においてメタノールからフルクトース6-リン酸(F6P)への炭素固定を担う酵素である、Bacillus methanolicus S1株由来のNAD+依存型メタノール脱水素酵素(MDH)およびMycobacterium gastri MB19株由来の3-ヘキスロース-6-リン酸シンターゼと6-ホスホ-3-ヘキスロイソメラーゼの人工融合酵素(HPS-PHI)の遺伝子を大腸菌で同時発現させ、その菌体を用いて菌体反応を行った結果、F6Pおよびその前駆体となるグルコースからメタノールが生成することを示し、大腸菌における逆行C1代謝経路の構築に成功した。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る