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大学・研究所にある論文を検索できる 「A study on the impact of private rice grading system on production and market transaction in Sub-Saharan Africa : A case study of the Northern region ,Ghana」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A study on the impact of private rice grading system on production and market transaction in Sub-Saharan Africa : A case study of the Northern region ,Ghana

小倉, 達也 東京大学 DOI:10.15083/0002006886

2023.03.24

概要





















小倉

達也

経済のグローバル化は、国際貿易を通して発展途上国と先進国を統合したが、この統合に
より、発展途上国の人々は先進国から輸入される多くの新製品を消費する機会が増えてい
る。農産物も例外ではない。都市部の消費者の収入増加と相まって、輸入農産物の増加によ
り消費者は高品質な農産物を好むように嗜好の変化が生じている。米はサブサハラ諸国の
人々にとっては典型的な新しい主食であるが、このような消費者の高品質米への嗜好の変
化にも拘わらず、国産米の品質は輸入米よりも低い状態が続いている。消費者の要求品質と
生産者の追求品質のギャップは、経済厚生という点では消費者にとっても生産者にとって
も非効率を生じさせる原因であり、このギャップを解消すること、需要の増加に対応してい
かにして品質の高い米を増産してゆくかがサブサハラ諸国では喫緊の課題となっている。
第1章では、消費者の高品質米に対する嗜好が強くなっているにもかかわらず国産米の
品質が向上しないのは何故か、どのようにすれば国産米の品質を向上させることができる
のかという課題を設定し、関連論文の展望を行うとともに、本研究の位置づけを確認した。
第2章では、この研究の対象地域であるガーナ北部の紹介とそこで民間の大規模精米所
が導入した品質データに基づき買入価格を決定する米買取制度およびそのバックグラウン
ドに関する説明を行った。
この地域では、米買取制度の導入以前に、都市消費者の高品質米に対する需要拡大を受け
て、香り米品種が導入されていたため、香り米品種を採択する場合の影響について検討した。
その結果、新しく導入された香り米品種を採用した農家は採用していない農家よりも単位
面積当たりの収量は高いものの、その収量は潜在的な収量よりも低く、収入と利潤は香り米
品種を導入していない農家と有意差がないことを明らかにした。この結果は、米買取制度導
入前に国産米における品質の価格プレミアムが存在していないことを示唆しており、ガー
ナの国産米の品質が高くないことの原因のひとつを説明するものである。
第3章では、米買取制度が稲作農家の品質向上インセンティブに与える効果を検証する
ために大規模精米所の周辺農家を対象に行った農家調査の概要を説明した。農家調査では、
収穫米の品質測定を実行するとともに、経営状況を把握する情報や肥培管理などに関する
詳細な情報が収集された。また、無作為に抽出された介入群に対して研修会を実施し、大規
模精米所が導入した米買取制度と米の格付方法についての情報を提供した。

第4章では、大規模精米業者による米買取制度の導入が米商人と稲作農家の取引に及ぼ
す影響について分析し、米買取制度の導入が大規模精米業者と米商人の間の競争を引き起
こし、農家が商人に米を販売する際に品質に応じた価格プレミアムを得ることを明らかに
した。この結果は、民間の導入する米買取制度が、対象地域で品質に基づく米取引を拡大さ
せる証拠を提供するものである。
第5章では、米買取制度の導入が稲作農家の品質向上インセンティブに与える影響を無
作為化比較対照試験により分析し、介入を受けた農家は米買取制度の導入を新しい品質に
基づく米販売機会であると認識していること、制度を通して生産米を販売する可能性が高
くなることを明らかにした。また、価格プレミアムに対する影響は確認できなかったものの、
香り米品種の採用やコンバインハーベスターによる収穫、防水シートを用いた脱穀など米
の品質を高める作業を採用することで米買取制度が想定している品質グレードを高める可
能性が高まったことを明らかにした。これらの分析結果は、米買取制度の導入が対象地域の
稲作農家の国産米の品質向上に影響を及ぼしていることを示唆している。
以上の分析結果を総合すると、品質に基づく米買取制度を導入することでガーナの稲作
農家の品質向上インセンティブを高めることが可能であることが実証的に検証された。し
かしながら、農家全体の平均的傾向を見ると、赤米混入率・変色米混入率・砕米比率の 3 点
で米の品質が大きく低いことが示されている。品質向上のためには品質に基づく米買取制
度の導入に加え、どの様な技術導入を進めるべきかを検証することが残された課題である。
これらの研究成果は、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審査委員一同
は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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