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大学・研究所にある論文を検索できる 「Robustness of Clonogenic Assays as a Biomarker for Cancer Cell Radiosensitivity.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Robustness of Clonogenic Assays as a Biomarker for Cancer Cell Radiosensitivity.

松井, 利晃 マツイ, トシアキ Matsui, Toshiaki 群馬大学

2021.03.23

概要

【背景と目的】
プレシジョンメディシンは症例固有の遺伝子変異情報に基づいたがん治療戦略の最適化を指す。プレシジョンメ ディシンは近年ビッグデータを用いたオミクス研究の進展により分子標的治療の領域で急速に発展している。数 千種のがん細胞株の網羅的なオミクス情報および薬剤感受性情報がCancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)などの 大規模データベースとして公開され、同領域の研究発展に寄与している。放射線治療の領域においてプレシジョ ンメディシンはいまだ発展途上であるが、がんの放射線感受性に関連する遺伝子変異プロファイルが徐々に明ら かにされつつあることから、近未来の診療において重要な役割を担うと予測される。放射線治療領域においては 分子標的治療領域のような大規模な感受性データベースが存在しないことから、既発表論文中の放射線感受性デ ータの統合的解析が喫緊の課題である。がん細胞の放射線感受性評価における標準手法はコロニー形成法である。しかし、コロニー形成法の試験間精度は不明であることから、異なる研究のコロニー形成法・放射線感受性デー タを統合的に解析することの科学的妥当性は不明である。これを解明するために、本研究は、既発表論文におけ るコロニー形成法によるがん細胞の放射線感受性の試験間精度を明らかにすることを目的とした。

【材料と方法】
CCLEに登録されたcommon cancerの細胞株256株を調査対象とし、同株のコロニー形成法による放射線感受性を報告した査読有り英文学術論文を同定した。具体的には、医科学論文検索エンジンPubMedにおいて検索キーワード"細胞株名 AND (X-rays[MeSH] OR gamma rays[MeSH] OR radiation[MeSH])"を使用し、ヒットした論文のうち PDFが入手可能であった論文の全内容を査読し適否を判断した。該当する論文を20報以上有する細胞株を本研究の評価対象とした。評価対象の全論文からコロニー形成法による放射線感受異性評価において重要と考えられる実験条件(細胞播種方法、放射線の種類 [X線またはγ線]、線量率)および高頻度に使用される生存エンドポイ ント(SF2、SF4、SF6、SF8、D10、D50、mean inactivation dose [MID])のデータを抽出した(SFXはX Gy照射時の 細胞生残率を、DXは細胞生残率X%を与える線量を指す)。各細胞株について各生存エンドポイントの論文間でのばらつきを変動係数(coefficient of variation: CV)で評価した。各細胞株について実験条件の違いが各生存エンドポイントに与える影響を単変量解析(Mann–Whitney U検定またはSpearman’s rank correlation検定)ならびに多変量解析(multiple linear regression)で評価した。多重検定をBonferroni法またはBenjamini-Hochberg法で補正した。

【結果】
PubMed検索の結果、9690報がヒットした。このうちPDF入手可能な英語論文6722報の全内容精査の結果、コロニー形成法を用いた放射線感受性データを有し、かつ論文数が20報以上存在する細胞株は8細胞株(合計620論文)であった。SF2、SF4、SF6、SF8、D10、D50およびMIDのCVはそれぞれ0.24 ± 0.04、0.54 ± 0.14、0.87 ± 0.17、0.99 ± 0.27、0.25 ± 0.03、0.33 ± 0.05、0.29 ± 0.04であった。全8細胞株においてSF2とD10のCVは0.3未満だった。実験条件の違いが生存エンドポイントに与える影響に関して、単変量解析ならびに多重検定補正なし多変量解析の結果、2.8%(9/320条件)において統計学的有意差が認められたが、Bonferroni法またはBenjamini-Hochberg法による補正後は全ての実験条件において有意差なしと判定された。

【結論】
米国Food and Drug Administrationは任意の試験がバイオマーカーとして許容される試験間精度基準としてCV<0.3を推奨している。本研究結果を同基準に照らすと、コロニー形成法のSF2およびD10は細胞播種方法・放射線の種類・線量率が異なる状況においてもがん細胞の放射線感受性バイオマーカーとして許容される試験間精度を有することが示唆された。このことから既発表コロニー形成法データを統合的に解析することは科学的に妥当であることが示唆された。本研究結果はがんの放射線感受性に関連する遺伝子変異プロファイルの探索研究の促進を介してプレシジョンメディシンの発展に貢献すると期待される。

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