書き出し
左室補助装置装着患者における拡張期左室内圧較差と左室補助装置流量の相関に関する研究
概要
[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 前川 真基
本研究は、客観的な指標が何もない定常流左室補助装置(LVAS)装着患者の LVAS 装着
術中人工心肺(CPB)離脱直後の循環管理において、経食道心エコー図の解析により測定
される拡張期左室内圧較差(IVPD)が初の客観的な指標となる可能性を検討したもので
あり、以下の結果を得ている。
1、単施設後方視的観察研究 13 症例で解析した結果、非線形回帰分析により LVAS 流量
/BSA と IVPD は正の相関関係を示した(p < 0.001)
。
2、各症例の個別解析によって、LVAS 回転数を徐々に上げていく中で、IVPD のピーク
と LVAS 流量のピークが一致する症例が8症例、IVPD のピークが LVAS 流量のピークに
先んじて認められる症例が5症例認められた。
以上、本論文は、LVAS 装着術中の急性期管理において、IVPD が LVAS 装着患者の新た
な臨床指標となる可能性を追求した。本研究は、今まで客観的な臨床指標が何もなかった
LVAS 装着術中の麻酔循環管理において、重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。