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大学・研究所にある論文を検索できる 「ジャワメダカおよびニホンメダカを用いたマイクロプラスチックのベクター効果に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

ジャワメダカおよびニホンメダカを用いたマイクロプラスチックのベクター効果に関する研究

高井, 優生 TAKAI, Yuki タカイ, ユウキ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

A study on the vector effect of microplastics
for Java medaka (Oryzias javanicus) and
Japanese medaka (Oryzias latipes)
高井, 優生

https://hdl.handle.net/2324/6787668
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)



名 :高井 優生

論文題名 : A study on the vector effect of microplastics for Java medaka (Oryzias javanicus)
and Japanese medaka (Oryzias latipes)
(ジャワメダカおよびニホンメダカを用いたマイクロプラスチックのベクター効果
に関する研究)


分 :甲















現在、水環境でのマイクロプラスチック(MP)による汚染が進行しつつあり、MP による生物への
影響解明が喫緊の課題となっている。中でも MP の生体影響として、MP が化学物質の取り込みを促進
するベクター効果により、生物への影響が加速されることが注目されている。一方 MP のベクター効果
は、そのサイズ、濃度等が関連することが予想されるが殆ど未解明である。本研究では MP のベクター
効果による生体への影響を調べ、MP のサイズおよび濃度がそのベクター効果に与える影響を解明する
ことを目的とした。
まず最初に、ジャワメダカ(Oryzias javanicus)を試験魚として、アントラセン (ANT) 単独および、
ANT と球状ポリエチレン MP (PE-MP、200 µm) または ANT と破砕 PE-MP (211 µm) の共曝露試験を同時
に行った。その結果、ANT+破砕 PE-MP 曝露区で薬物代謝酵素である肝臓 CYP1A の発現量が有意に増
加し、遊泳速度も低下していた。破砕 PE-MP に含まれていた微細な PE-MP 粒子のベクター効果により
ANT の体内取り込みが促進されたためと考察した。
次に、微細な MP を用いた曝露実験を行った。ヒメダカ(Oryzias latipes)を試験魚として 2-µm ポリ
スチレン MP(PS-MP)と抗不安薬(ジアゼパム)の曝露試験を行った。その結果、2-µm PS-MP とジア
ゼパム (0.3 mg/L) 共曝露区においてヒメダカの群れ形成行動が抑制されたことから、2-µm PS-MP のベ
クター効果によってジアゼパムの影響が増強されたと推定した。
また、ANT 単独および、ANT と粒径 2 µm の PS-MP、または ANT と 10 µm の PS-MP を用い、ジャワ
メダカに共曝露試験を行った。その結果、曝露最終7日目で ANT+2-µm PS-MP 区および ANT+10-µm
PS-MP 区の ANT 体内濃度は、ANT 単独区の約 4.2,2.1 倍と有意に上昇し、2-µm および 10-µm PS-MP
のベクター効果が推定された。ANT および PS-MP の 1-コンパートメントモデルを用いて解析した結果、
2-µm PS-MP および 10-µm PS-MP のベクター効果定数はそれぞれ 0.366、0.029 となった。この結果より、
MP の水中濃度が同じである場合、10-µm PS-MP よりも小さな 2-µm PS-MP で ANT に対するベクター効
果が約 13 倍大きいことが明らかになった。
加えて、ジャワメダカを試験魚として ANT 単独および、ANT と 2-µm PS-MP (低、中、高濃度; 25,
50, 100 µg/L)の共曝露試験を行った。その結果、ANT 体内濃度は曝露期間全体を通して ANT 単独曝露
区と比べて ANT+中濃度 PS-MP 曝露区および ANT+高濃度 PS-MP 曝露区で高かった。曝露 10 日目の
ANT 体内濃度は ANT 単独区、ANT+低濃度 PS-MP 区、ANT+中濃度 PS-MP 区、ANT+高濃度 PS-MP 曝

露区でそれぞれ 20.6、20.5、30.4、45.1 µg/g であり、PS-MP の水中濃度が高くなるにつれて PS-MP のベ
クター効果も大きくなることが明らかになった。また、この実験での 2-µm PS-MP のベクター効果定数
は 0.161 であった。
以上の結果より、MP のベクター効果によって化学物質の体内濃度が増加して影響が加速されること
が明らかになった。また、本モデルを用いて実環境中の ANT 濃度(1.6 ng/L)で予測を行った結果、水
中の 2-µm PS-MP 濃度が 270 µg/L を超えると、ANT 体内濃度が遊泳行動に影響を及ぼす濃度にまで達
すると予想された。しかし現在の環境中で微細 MP(~3 µm)の濃度は 4.2 µg/L 程度であるので、MP の
ベクター効果が魚類に与える影響は実環境ではまだ極めて微弱であると予想された。

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