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大学・研究所にある論文を検索できる 「医学部卒前教育における「患者の語り」を活用した医学生の患者への共感の醸成」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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医学部卒前教育における「患者の語り」を活用した医学生の患者への共感の醸成

香川, 由美 東京大学 DOI:10.15083/0002006551

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 香川 由美
本研究は、卒前医学教育において「患者への共感」を涵養するという教育課題について、患
者講師の講演を用いた教育による医学生の患者への共感の変化、および患者への共感の変
化に関わる医学生の背景因子について、量的方法によって検討を行った。2018 年度および
2019 年度に東京大学医学部の授業で患者講師による講演を聴いた 4 年次の学生 159 名を 6
か月間追跡する観察研究により、下記の結果を得ている。
1.

参加者の患者への共感を質問紙による測定尺度 Jefferson Scale of Empathy Student
Version(JSE-S)を用いて評価した結果、2018 年度、2019 年度とも授業の前後で JSES 得点が有意に上昇した。他の教育方法を用いた先行研究との比較から、本研究の参加
者の得点の変化の大きさは他の教育方法と同程度であり、自然な変化ではなく患者講
師の講演を聴いたことによるものであった可能性が示唆された。

2.

6 か月間の追跡期間を設けて、患者への共感の改善の持続性について検討した結果、全
体データおよび 2018 年度のデータにおいてベースラインから 6 か月後にかけて有意
な得点の改善が見られ、授業後に改善した患者への共感が維持されていたことが示唆
された。その背景には、追跡期間中に実施された他の教育による影響が考えられ、医療
倫理学の講義や医療面接実習など患者中心の医療の考え方をふまえた教育を断続的に
受けていたことが、参加者の患者への共感的な態度を強化した可能性が考えられた。

3.

患者講師の講演を聴く授業が特にどのような医学生にとって有用であるか検討するた
め、授業前後および 6 か月後の JSE-S 得点の変化量を従属変数とし、参加者の背景因
子を独立変数とした 2 つの重回帰分析を行った結果、授業前後の JSE-S 得点の変化量
に患者中心性の志向の「ケア」の得点の高さが有意に関連していた。参加者の患者への
共感の改善は、ケアの側面における患者中心の志向の高さが相対的に強く関連したこ
とが示唆された。
以上、本研究は、患者講師の講演を用いた教育による医学生の患者への共感の改善を示唆

する初めての量的研究であり、追跡調査によって患者への共感が維持されていた可能性が
検討できたことには萌芽的な意義があると考えられる。また、患者への共感の改善に関連し
た参加者の背景因子の検討によって、患者中心性の志向を備えていることが大きく関連し
ていた結果が得られたことは、患者中心の医療の考え方を早期から教育することの重要性
を示唆するものであり、今後の医学教育の発展に寄与するものであると考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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