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大学・研究所にある論文を検索できる 「衛星リモートセンシングを用いた水稲作付圃場の広域マッピング手法の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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衛星リモートセンシングを用いた水稲作付圃場の広域マッピング手法の開発

井上 晋平 東北大学

2021.02.28

概要

【目的】
水稲作付圃場(以後、水田)は、二酸化炭素に次いで地球温暖化への寄与が大きな温室効果ガスであるメタンの主要な人為排出源の一つである。そのため、メタン収支を正確に把握し、気候変動を予測する上で、高精度な広域水田マップは重要である。広域の土地被覆を把握するには衛星リモートセンシングが適している。しかし、イネの栽培時期は雨季と重なり、光学センサーで取得されるマルチスペクトル画像では雲の影響を大きく受けるため、現在までに開発された広域水田マップは僅かである。雲の影響を受けずに観測が可能な合成開口レーダ(SAR)を用いた研究もおこなわれているが、マルチスペクトル画像を用いた場合と比較して精度が低下することが報告されており、有効な水田マッピング手法は確立されていない。本研究では、水田からのメタン排出量推定に資する高精度な広域水田マップの作成を目的に、Sentinel-1 SARとSentinel-2マルチスペクトル画像の2種類の衛星画像を用いた新しい水田マッピング手法を開発し、その有効性を検証した。

【方法】
本研究で新たに開発した水田マッピング手法(S-1 & S-2 method)は森林領域のMask処理、水田でのSentinel-1 SARの時系列変化に着目した2つのMask処理、Sentinel-2マルチスペクトル画像の植生指数(NDVIとEVI)と水指数(LSWI)を基に湛水状態の判定をおこなうMask処理の合計4つのMask処理から構成される。ここでは、S-1 & S-2 methodを用いて日本と朝鮮半島全域の水田マップを作成し、日本の検証圃場における精度評価、既存水田マップとの分布比較、国及び一級行政区スケールでの合計水田面積の統計値との比較をおこなった。

【分析結果】
S-1 & S-2 methodにより作成した水田マップでの検証圃場における分類精度は水田で79.2%、水田以外の圃場で92.4%であり、水田以外の圃場ではSentinel-1 SARのみを用いた従来の手法より35.4ポイント向上した。また、2018年の日本と朝鮮半島全域における本水田マップは、既存のリモートセンシングを基に作成されたマップと比較して、国及び一級行政区スケールでの合計水田面積の統計値を高い精度で再現した。

【結論】
本研究では、新しく開発したS-1 & S-2 methodの日本及び朝鮮半島全域での広域水田マッピングへの有効性を示し、これらの地域における2018年の高精度な水田マップを作成することができた。これらの地域はメタンの人為排出量全体に占める水田からの排出量が非常に高い地域であり、作成した水田マップはこの地域のより高精度なメタン排出量の推定を可能にし、今後の気候変動研究に貢献することが期待される。さらに、本研究で得られた成果は、高精度なグローバル水田マップの実現に向けた確実な一歩であると言える。今後は対象領域をさらに広げ、多期作や浮稲栽培等、日本や朝鮮半島の水田とは大きく特徴の異なる水田での検証をおこなうことで、グローバル水田マップの完成を目指していく。

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