64Cu-ATSM and 99mTc(CO)3-DCM20 potential in the early detection of rheumatoid arthritis
概要
【背景】
関節リウマチを早期診断し治療を開始することは、予後の改善に大いに役立つ。超音波、CTや MRIのような形態診断は、長年にわたり関節リウマチの診断医用いられてきたが、早期診断は困難である。一方、SPECTやPETのような分子イメージング技術は、関節リウマチの早期に起こる機能的変化を画像化できる可能性がある。関節リウマチは慢性炎症であるため、炎症細胞のグルコース代謝を指標とした18F-FDGが用いられており、関節リウマチの診断に有用性を示している。しかしながら、18F-FDGの集積は関節リウマチに特異的ではないため、擬陽性が懸念され、より特異性の高い診断薬が望まれる。マクロファージは初期の関節リウマチ病変において重要な役割を果たしていることから、マクロファージマンノースレセプターを標的とするイメージング剤は有望である。また関節リウマチにおいては低酸素状態に陥っていると考えられ、低酸素イメージング薬剤も有望であると考えられる。
【目的】
本研究では、マクロファージマンノースレセプターイメージング剤である99mTc(CO)3-DCM20および低酸素イメージング剤であるRI標識Cu-ATSMの関節リウマチ病変の検出能を評価することを目的として、99mTc(CO)3-DCM20および67Cu-ATSMを作製し、コラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルマウスにおける体内挙動を18F-FDGと比較検討することを計画した。
【方法】
コラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルマウスの作製
Ⅱ型コラーゲンとフロイントアジュバントのエマルジョンをDBA/1マウスに尾静脈よりを投与し、 5週間後に実験に用いた。臨床における炎症スコアと対比するために、それぞれの足について、病変の重症度に応じてスコア0からスコア4に分類し、左右の前足および左右の後足の合計を各マウスにおける炎症スコアとした。
CIAモデルマウスにおける体内分布実験
上記のように作製したCIAモデルマウスおよびエマルジョンを投与していない健常マウスを用いて、 2種類の体内分布実験を行った。
実験1:99mTc(CO)3-DCM20をマウスに投与し、その3時間後に18F-FDGを投与した。さらにその1時間後における体内分布を検討
実験2:②67Cu-ATSMと18F-FDG の混液をマウスに投与し、1時間後における体内分布を検討各体内分布実験において、マウスの各臓器を摘出し、重量および放射能を測定した。
【結果】
99mTc(CO)3-DCM20および67Cu-ATSMの炎症病変集積性
99mTc(CO)3-DCM20および67Cu-ATSMのCIAモデルマウスにおける前足、後足 および膝への集積は健常マウスに比べて有意に高値であった(p <0.05)。また全てのCIAモデルマウス前足および後足病変において、健常マウスに比べて高い集積性を示した。一方、18F-FDGのCIAモデルマウスにおいては、前足では有意な高集積を認めたが、後足および膝への集積は健常マウスとの間に有意な差は認められなかった。また一部のCIAモデルマウス前足および後足病変において、健常マススよりも集積が低かった。
99mTc(CO)3-DCM20および67Cu-ATSMの炎症病変集積性と炎症スコアの比較
99mTc(CO)3-DCM20および67Cu-ATSMのCIAモデルマウスにおける足への集積は炎症スコアと相関関係を示し、特に67Cu-ATSMは高い相関関係を示した(r=0.851)。また99mTc(CO)3-DCM20は、炎症スコアが低い病変に対しても高い集積性を示した。
【結語】
以上の結果より、99mTc(CO)3-DCM20および64Cu-ATSMは、早期における炎症に伴う機能変化を検出可能であると考えられ、関節リウマチの早期診断に有用であると考えられる。