書き出し
磁気嵐・サブストームに伴う磁気圏高エネルギー荷電粒子変動の研究
概要
研究目的 (Research Objective):
内部磁気圏は地球の双極子型磁場が卓越する宇宙空間であり、数 eV から数十 MeVに至る様々なエネルギーを持つ荷電粒子が捕捉されている。リングカレントを担う粒子(~keV)は数日間続く地磁気擾乱(磁気嵐)や人工衛星の表面帯電の原因に、放射線帯粒子(~MeV)は人工衛星の内部帯電の原因となるため、宇宙空間を安全に利用するためには荷電粒子の変動、すなわち粒子の輸送・散乱・消失過程を理解することが不可欠である。keV 帯の電子やイオンはホイッスラーモード・コーラス波や電磁イオンサイクロトロン波(EMIC 波)を励起し、放射線帯電子の加速や散乱の原因となるなど、粒子間の相互作用も重要である。内部磁気圏の粒子変動は複雑な連鎖過程の結果であるから、それらを理解するためには太陽風から地球に至る広範な領域を一つのシステムとしてとらえる必要がある。本年度は、(1) 内部磁気圏対流の駆動源として重要な役割を担っていると考えられる Region 1 型沿磁力線電流の生成と、 (2)沿磁力線電流と電離圏電流の 3 次元的な接合に着目した。