リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Spleen stiffness by 2-D shear wave elastography is the most accurate predictor of high-risk esophagogastric varices in children with biliary atresia」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Spleen stiffness by 2-D shear wave elastography is the most accurate predictor of high-risk esophagogastric varices in children with biliary atresia

Yokoyama, Shinya 横山, 晋也 名古屋大学

2020.04.02

概要

【緒言】
 胆道閉鎖症(BA)患者に対する早期の肝門部腸吻合術(HPE)は、自己肝生存率改善に寄与する。しかし、胆汁排泄改善後もしばしば肝線維化進行や食道胃静脈瘤(EGV)出血が認められる。EGV出血例では非出血例よりも予後不良である。したがってハイリスク(HR)-EGVの検出が重要である。上部消化管内視鏡検査(EGD)はEGVを診断するためのゴールドスタンダードであり、小児においても比較的安全であるが、偶発症発生率は成人より高い。成人においてALT/血小板比(APRI)、FIB-4index、超音波エラストグラフィを用いた肝硬度(LS)および脾硬度(SS)測定などの非侵襲的手法が、門脈圧亢進症(PHT)やEGVを予測するのに有用である。小児においてもtransient elastography(TE)によるSS測定は、HR-EGVの検出に有用と報告されている。近年開発された2次元せん断波エラストグラフィ(2D-SWE)では、LSおよびSS測定時にBモードにて対象臓器をリアルタイムで観察できるため、TEと比較して検査精度が高い。本研究の目標は、小児BA患者において2D-SWEでのLSおよびSS測定によるHR-EGV診断の有用性を評価することである。

【対象及び方法】
 名古屋大学医学部附属病院生命倫理委員会の承認のもと本研究を行った。被験者は2018年7月から2019年3月までに定期受診のため来院した、HPE後の自己肝生存中のBA患者で本研究に参加することに同意した者を前向きに連続的に組み入れた。2D-SWEによるLSおよびSS測定とEGDを行った。EGD時点での患者背景、および各種臨床データを記録した。小児肝疾患におけるEGV予測に有用と過去に報告があるClinical prediction rule(CPR)、King's variceal prediction score(K-VaPS)、APRIも計算した。2D-SWEは仰臥位で上肢を挙上し肝臓、脾臓の順に測定した。肝臓と脾臓の表面から1〜2cmの深さで2cm×2.5cmの長方形の関心領域(ROI)を設定し、せん断波速度のカラーマッピングが最も均一で、脈管など測定の障害がない箇所に直径1cmの円形の測定ROIを設定してshear wave speedを計測した。各臓器について5回測定し、中央値を代表値として採用した。EGDはミダゾラムによる鎮静または全身麻酔下のいずれかで実施した。食道静脈瘤のgrade、red wale markingおよび胃静脈瘤の有無を記録した。既報に準じ大きな食道静脈瘤や、サイズを問わずred wale markingあるいは噴門部胃静脈瘤を伴う食道静脈瘤をHR-EGVと定義した。ノンパラメトリック単変量解析で有意差を認めた因子に、受信者動作特性(ROC)曲線分析を使用して、ROC曲線下面積(AUROC)を算出して診断精度を評価した。感度、特異性、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)を、ROC曲線分析で定義された最適なカットオフ値から計算した。次にLS、SSの評価者内級内相関係数;ICC(1,1)を評価した。ICC(1,1)が0.9を超えるために必要な測定の繰り返し回数を、Spearman–Brownの式k=(ρ1(1‐ρ2)/ρ2(1‐ρ1)を使用して計算した。ρ1は0.9で、ρ2はICC(1,1)を代入した。すべての統計解析は、SPSS(バージョン24;米国IBM社)を用い、P<0.05を有意差ありとした。

【結果】
 34例のBA患者を解析した。患者背景と検査所見、肝線維化スコアの結果をTable 1.に示す。LSとSSは全例にて測定可能であった。すべての患者が18歳未満であった。HR-EGVは14例に認められた。2例で急性食道静脈瘤出血を認め緊急内視鏡的静脈瘤結紮術を受け、それぞれ6日および8日後に2D-SWE測定を行った。血清ビリルビン値は、2人の患者で3mg/dL以上であった。腹部超音波検査で明らかな腹水が認められた症例はなく、肝移植待機中の症例もなかった。HR-EGVの有無に関して、脾臓長径、CPR、K-VaPS、APRI、LS、SSについて有意差を認めた。HR-EGV予測に関するこれらの変数のROC曲線とAUROCをFigure1.に示す。脾臓長径、CPR、K-VaPS、APRI、LS、SSのAUROCは、それぞれ0.702、0.782、0.775、0.750、0.812、0.900であった。これらの変数のカットオフ値、感度、特異度、陽性的中率、および陰性的中率をTable 2.に示す。AUROCが最大であったSSにおいてカットオフ値4.12m/sで感度92.9%、特異度90.0%、PPV86.7%、およびNPV94.8%であった。LSおよびSSのICC(1,1)はそれぞれ0.924(95%信頼区間[CI];0.880–0.957)、0.828(95%CI;0.740–0.899)と良好な再現性を示しており、必要な測定回数は、LSで1回、SSで2回であった(Table 3.)。

【考察】
 本研究では、2D-SWEによるSS測定はすべての被験者で可能であり、BAの小児におけるHR-EGVの最も正確な予測因子であった。複数の先行研究において小児肝疾患におけるEGVの存在予測に関して、血液検査所見や脾臓長径を組み合わせたスコアリングの有用性が報告されているが、より精度の高い検査手法が求められている。TEは非侵襲的な肝線維化の評価法として開発されたが、小児肝疾患においてもLS測定がEGV検出に関して従来の非侵襲的予測因子よりも有用であったことが報告されている。ただしLSは肝臓の炎症の影響を受ける可能性がある。一方、SSは脾静脈の血管抵抗、脾臓の鬱血、血管新生、および線維化の結果として増加するため、LSよりも正確にPHTを反映すると考えられる。したがってSSはEGVの存在を予測するための最も有用な指標である。しかしながらTEによる測定の検査精度は対象臓器のサイズに影響を受けるという欠点があり、特に小児において、より若年の症例において検査精度が劣ると報告されている。TEと異なり、2D-SWEはリアルタイムのBモード画像を参照しながら測定可能であり、成人肝硬変患者におけるPHTの検出能はTEよりも優れていた。他の報告でも小児肝疾患で、2D-SWEによるLSの測定成功率は100%であり、TEを上回ったと報告されている。本研究でも全例で2D-SWEによるLS、SSは測定可能であり、再現性も良好であった。本研究にはいくつかの制約がある。第一にBAは希少疾患であるため、症例数が少なかった。第二に、既報ではBAにおける消化管出血の29%が12ヶ月未満で発生していたが本研究でそれに該当する年齢の患者は2名のみであった。第三に、検査時間が長くなることで啼泣により測定精度が低下する恐れがあることから、評価者間ICCは検討できなかった。したがって今後症例数を増やして追加検討を行うことが望ましい。

【結語】
 2D-SWEによるSS測定は、BAの小児におけるHR-EGVの最も正確な予測因子であった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る