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大学・研究所にある論文を検索できる 「ZMYM4 のマウス胎児・胎盤発生における役割」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ZMYM4 のマウス胎児・胎盤発生における役割

相原 悠 東北大学

2021.03.25

概要

ZMYM4(zinc finger MYM-type protein 4)はMYM(myeloproliferative and mental retardation)-typeのzinc fingerを持つタンパク質ファミリーのひとつである。In vitroでいくつかの分子と結合することが示されているが、詳細な機能は不明である。gnomADデータベースでは、ZMYM4に機能低下バリアントを持つ頻度が有意に低く、ヒト疾患との関連が示唆されている。近年、大規模遺伝学的検査によるデータベース解析により、統合失調症や小児重症肥満症との相関や関連が報告された。しかし、ZMYM4自体の機能は現在までにほとんど解明されておらず、ZMYM4の機能や生理的役割は不明である。

 今回、B細胞欠損を呈する小児例に全エクソーム解析を行ったところ、ZMYM4に早期終止コドンを生じるde novoヘテロ接合性バリアントを同定した。このバリアントは複数の健常人データベースに登録のない稀なバリアントであった。このバリアントの病的意義を検討するため、CRISPR/Cas9を用いてマウスのZmym4においてヒトと相同なアミノ酸部位を終止コドンに置換したノックイン(knock-in; KI)マウスを作成した。ノックインされたアレルをヘテロ接合性にもつマウス(KI/WTマウス)は今回の検索では明確な表現型を示さなかった。一方で、ホモ接合体マウス(KI/KIマウス)は胎生後期に成⻑障害・皮下浮腫・出血を来たし、E14.5以降に胎生致死となっていた。
 
 KI/KIマウスの胎生致死の原因を探るために、心臓と胎盤に特に注目して検討した。心臓の組織学的検査では、KI/KI胎児に明らかな致死的異常は認めなかった。次いで胎盤の解析を行なったところ、KI/KIマウスの胎盤はE11.5以降の重量増加が停止していた。E11.5とE14.5の胎盤を組織学的に検討したところ、E11.5の時点では胎盤の三層(母体側から脱落膜・ジャンクショナルゾーン・ラビリンスゾーン)の面積に差は認めなかったが、E14.5ではKI/KIマウスのジャンクショナルゾーンの面積はWT/WTマウスに比して絶対値および胎盤全体に対する相対値で有意に低値であった。E11.5のラビリンスゾーンでは、胎児血管腔の総面積および血管一本当たりの断面積がKI/KIマウスで有意に拡張していた。ペリサイトには数的・形態学的異常を認めかった。また、KI/KIマウスのトロフォブラストの核数がWT/WTに比して有意に減少していた。

 KI/KIマウスとWT/WTマウスの胎盤におけるトランスクリプトームでは、KI/KIマウスでは血管形成に関わる遺伝子の発現量が増加しており、小胞体に関する遺伝子の発現量が低下していることがわかった。また、胎盤特異的な遺伝子では、スポンジオトロフォブラストのマーカー遺伝子がKI/KIマウスの胎盤で有意に低下していた。スポンジオトロフォブラストは小胞体に富むため、小胞体関連の遺伝子群の発現低下がスポンジオトロフォブラストを始めとするトロフォブラストの減少と関係している関係している可能性が示唆された。

 本研究はZMYM4の生理的役割、特に胎盤発生における役割の解明に寄与するものと考えられる。

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