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大学・研究所にある論文を検索できる 「PNA-LNA dual-PCR;肺癌での細胞検体や血漿cfDNAを用いたドライバー遺伝子変異の迅速高感度な検出系の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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PNA-LNA dual-PCR;肺癌での細胞検体や血漿cfDNAを用いたドライバー遺伝子変異の迅速高感度な検出系の開発

藤田, 一喬 筑波大学

2020.07.27

概要

目的:
 肺癌は、主に気管支鏡検査により診断がなされるが、GS-EBUS/EBUS-TBNAなどその技術の進歩により末梢病変へのアプローチが可能となった反面、採取される検体は少量となった。その一方、治療方針選択のための遺伝子変異の検査項目は多様化してきた。我々は、高感度に遺伝子変異を検出する方法を用いれば、低侵襲に十分量採取しうる細胞検体、および、血漿cell-free DNA(cfDNA)により、遺伝子変異の検出が可能になると考え、PNA-LNA dual PCR(PLDP)法を開発し、臨床検体を用いて検証した。

対象と方法:
 PLDP法は、通常の遺伝子配列の増幅を抑制するpeptide nucleic acid(PNA)および高正確性のKOD DNA polymeraseを用いて遺伝子変異を増幅させる1stPCRと、locked nucleic acid(LNA)+TaqMan probeを用いて遺伝子変異の明瞭な検出を可能とする2nd PCRの2step PCRから構成されており、今回、EGFR Ex19del、T790M、L858R、KRAS G12C、BRAF V600Eの検出を可能とした。それぞれの遺伝子変異に対し、反応を阻害せず、自然界に存在しない形で2塩基を変更した人工遺伝子を用いることで、PCRの偶発的な増幅ミスを否定し、既存のPNA-LNA PCR clamp(PLPC)法と比較することで、より正確に検出下限と特異度を検証できた。
 2016年12月16日から2019年3月11日までに435症例(475検体)の検体が登録され、非小細胞肺癌と診断され、血液検体の提出も伴っていた276症例(308検体)について最終的な解析を行った。提出検体では気管支鏡検体が261検体、胸水が27検体と多く、病期では、StageIVBが89検体、StageIVAが68検体、病理診断では、肺腺癌が212例、扁平上皮癌が62例と多くを占めていた。PLDPの結果を、同じ細胞検体をmultiplex PCR/RT-PCR後にNGSで解析するMINtS法の結果と、臨床側で組織検体を用いて提出されたcobas® EGFR Mutation Test v2およびPLPC法(Convt)の結果を比較した。

結果:
 検出下限については、Human Genomic DNA 50ng(15000copies)に人工遺伝子を1010 copiesから1/10ずつ希釈したものをそれぞれ混合して、検出下限のDNA混合量で48tubesから100%検出されるものとした。PLDP法 vs PLPC法の検出下限の人工遺伝子のコピー数は、Ex19del-AG/MNで102(0.67%)vs103(6.7%)、T790M-AG/MNで101(0.067%)vs103(6.7%)、L858R-AG/MNで102(0.67%)vs103(6.7%)、G12Cで102(0.67%)vs 103(6.7%)、V600Eで102(0.67%)vs104(66.7%)と、10~100倍、PLDP法の検出感度は優れていた。また、PLDP法でHuman Genomic DNA 50ngのみを用いて、48tubeずつ検証したが偽陽性は認めなかった。
 EGFR Ex19delおよびKRAS Ex2 mutationにはLNAで設計したタイプ以外のminorなtypeが豊富に存在することから、1stPCR(or 2nd PCR)増幅産物のSanger sequenceを併用した。細胞検体において、いずれかの検査法でEGFR遺伝子変異が検出されているのは89検体で、そのうちPLDP、MINtS、および、Convtのすべてが行われた検体は、66検体であった。PLDP vs MINtS vs Convtと比較して、Ex19delは、34例 vs 24例 vs 32例、L858Rは、30例 vs 25例 vs 30例、T790Mは16例 vs 7例 vs 5例から検出された。血漿cfDNAについては、PLDPのcfDNAと細胞検体の検出数の比から検出率を求め、『初回検査例』と、EGFR-TKIの投与歴のある『再検査例』とに分けて検証した。初回検査例では、StageIIIA以下では、EGFREx19delからの1例のみの検出であったが、StageIIIB以上では、Ex19delが60.0%、L858Rが33.3%、KRASExon2mutationが72.7%であった。再検査例では、Ex19del、L858R、T790Mの検出率は、それぞれ、38.9%、20%、66.7%であった。

考察:
 細胞検体について、PLDPは、EGFR Ex19delやL858R、T790Mの検出において、Convtと同等以上であり、MINtSよりも優れていた。EGFR-TKI治療後獲得耐性であるT790Mの検出に関しては、T790Mが正常細胞に対する遺伝子変異を含有する腫瘍細胞の割合がdriver mutationよりもさらに低くなり、より高感度の検査方法のPLDPの検出数が多かったのではないかと考えた。
 血漿cfDNAに関して、『再検査例』では、driver mutationはEGFR-TKIの投与の影響のためか検出率は高くはなかったが、T790Mに関しては7割近くの検出であった。『初回検査例』に関しては、EGFR Ex19del、KRAS Exon2 mutationに比べ、L858Rの検出率が低かったが、検出下限の検証では、他検査に明らかに劣ることはなかったため、症例数を増やしての検証が必要である。

結論:
 高感度検出法のPLDPは、分子標的薬が存在するような高頻度の遺伝子変異の検出において、低侵襲で、迅速な遺伝子変異の検出に有用である。

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