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大学・研究所にある論文を検索できる 「地域在住高齢者の動脈硬化リスクとしての血清尿酸値の関与について」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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地域在住高齢者の動脈硬化リスクとしての血清尿酸値の関与について

田中, 健太郎 大阪大学

2021.03.24

概要

【緒言】
 痛風の基礎病態である高尿酸血症は、遺伝的要因に加えて食事や肥満などの環境要因による影響が発症に大きく関与している。また、血清尿酸値(UA)の上昇は、痛風のみならず、冠動脈疾患•脳卒中•心筋梗塞などの、心血管疾患(CVD)の原因の一つと考えられており、このCVDを引き起こす動脈硬化自体の独立した危険因子であるとも言われている。しかし、これまでの研究では、UAと動脈硬化との関連については、65歳未満を対象にしたものが多く、地域在住高齢者について分析したものは少ない。また、先行研究では、性別の違いによって、関連に差があり、統一した見解が示せていないのが現状である。今後、世界的な高齢化に伴い、CVDの増加が予想される中、医療費の高騰や医療依存度の高まりが懸念されている。そのため、超高齢社会として世界から注目されている日本の高齢者集団において、UAが動脈硬化の独立した危険因子であるのかを明らかにすることは、極めて重要であると考える。そこで、本研究では、動脈硬化の代用マーカーとして広く用いられている内膜中膜複合体肥厚度(IMT)に着目し、地域在住の70±1歳、80±1歳、90±1歳の高齢者を対象とした長期縦断疫学研究(SONIC研究)において、UAと総頸動脈のアテローム性動脈硬化症との関連を明らかにした。

【研究内容】
 兵庫県の都市部と非都市部の地域から募集した男性365名、女性429名を対象に横断研究を実施した。解析ではUAを説明変数とし、最大総頸動脈内膜厚(max-IMT)と平均内中膜厚(mean-IMT)を目的変数とした。また、動脈硬化の危険因子である生活習慣や既往歴などを調整変数とし、重回帰分析を行った。すべての対象者ならびに男女別の分析結果では、女性のみにUAとIMTに有意な正の関連が認められた[max-IMT(β=0.081、95%信頼区間=0.026,0.136 ; p=0.004). mean-IMT(β=0.015、95%信頼区間=0.003,0.029 ; p=0.016)]。また、各年齢層に分けた分析では、70±1歳女性のmean-IMT(β=0.031、95%信頼区間=0.008,0.053 ; p=0.008)のみに有意な正の関連が認められた。

【まとめ】
 本研究の結果より、地域在住の高齢女性ならびに70歳前後の女性において、UAの上昇がアテローム性動脈硬化症の進行に関連する危険因子である可能性が明らかとなった。一方で、今回得られた回帰係数の値は小さく、臨床的な意義は低い可能性がある。また、男性ではUAとアテローム性動脈硬化症に有意な関連はなく、むしろUA以外の危険因子(喫煙•飲酒など)との関連が認められた。そのため、後期高齢者においては、UAがアテローム性動脈硬化症の直接的なリスクになっていない可能性があるということも、本研究から得られた重要な知見であると考える。
 後期高齢者におけるUAとアテローム性動脈硬化症との関連については、今後更なる検討も必要であると考えるが、今回得られた結果は、超高齢化する社会に向けたエビデンスの構築、医療のあり方や健康づくり施策等を検討する上でも、重要な意義があったと考える。

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