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大学・研究所にある論文を検索できる 「日本の地域在住高齢慢性腎臓病(CKD)患者におけるたんぱく質摂取が腎機能に及ぼす影響について」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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日本の地域在住高齢慢性腎臓病(CKD)患者におけるたんぱく質摂取が腎機能に及ぼす影響について

関口, 敏彰 大阪大学

2022.03.24

概要

【目的】
研究1では、腎機能が低下した慢性腎臓病(CKD)患者に対して一般的に行われるたんぱく質摂取制限を高齢CKD患者に対しても行うべきか、というエビデンスの集積が不十分な問題を明らかにするため、日本の地域在住高齢者を対象にたんぱく質摂取量が腎機能に及ぼす影響について調べることを目的とした。
研究2では、同じく地域在住高齢者を対象に、血清尿酸(UA)と動脈硬化の関連性について性差を考慮して調べることを目的とした。

【方法と結果】
研究1と研究2は、高齢者コホート研究であるSONIC studyを基盤として実施した。
研究1では、 SONIC研究に参加する70±1歳(550人)、80±1歳(549人)、90±1歳(61人)に対し、ベースライン調査と3年後の追跡調査を行った。ベースライン調査では、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いてたんぱく質等の摂取量を算出し、血液検体からクレアチニンを測定し推算糸球体濾過量(eGFR)を算出した。
追跡調査でも同様にeGFRを算出し、ベースライン時のたんぱく質摂取量とeGFRの変化量について、多重線形回帰分析を行った。平均追跡期間は3.2年だった。統計解析の結果、たんぱく質摂取量とeGFR変化量に統計的有意な結果は得られなかったが、eGFRが60 mL/min/1.73 m2未満の対象者では、eGFR変化量と統計的有意な関連がたんぱく質(β係数: 0.98, 95%CI: 0.18-1.78)及び動物性たんぱく質摂取量(β係数: 1.07, 95%CI: 0.22-1.92)との間にみられた。また、体重1kgあたりのたんぱく質摂取量(g/kg/day)で四分位グループに分けたところ、フレイルの基準の一つである意図しない4.5kg以上の体重低下がたんぱく質摂取量が低いグループで多くみられた。
研究2では、SONIC studyのベースライン調査の結果を用いて、男性538人、女性577人を対象とする横断研究として行った。動脈硬化は総頸動脈アテローム性動脈硬化症の代替マーカーである内膜中膜複合体(IMT)とし、頸動脈超音波検査により評価した。説明変数は血清UA、従属変数は最大頸動脈内膜厚(最大 CIMT)と平均IMTとして重回帰分析を行ったところ、血清UAは女性のみIMTと有意な相関がみられた。女性のそれぞれの結果は、最大CIMT(β係数:0.08、95%CI:0.03-0.14)、平均IMT(β係数:0.02、95%CI: 0.01-0.03)だった。調整変数として投入した血清クレアチニンは、男性の最大CIMTと有意な相関関係(β係数:0.42、95%CI:0.04-0.80)がみられた。

【総括】
eGFRが60 mL/min/1.73 m2を下回る腎機能が低い対象者では、たんぱく質や動物性たんぱく質を多く摂取するほど腎機能の低下が緩やかであることから、高齢CKD患者に対するたんぱく質摂取制限はすべきではないことが示唆された。たんぱく質摂取量が少ないとフレイルに陥りやすくなることから、過剰摂取を避ける必要はあるが適切な量のたんぱく質、動物性たんぱく質の摂取を推奨する検討が必要である。
血清UAは高齢女性のIMTと統計的有意な相関を示すため、動脈硬化予防のために高尿酸血症を予防する必要がある。高齢男性で血清クレアチニンと最大CIMTに有意な相関もみられ、高齢男性の動脈硬化を予防するためにもCKDの悪化を予防する取り組みが必要である。

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