準剛体球系ガラスの脱ガラス化メカニズムの解明
概要
令和4年度
京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
準剛体球系ガラスの脱ガラス化メカニズムの解明
Elucidating the devitrification mechanisms of quasi-hard sphere glasses
京都大学理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻ソフトマター物理学研究室 柳島大輝
研究成果概要
本研究はガラスが自発的に乱雑な状態から結晶化する現象(脱ガラス化・脱硝)のメカニ
ズム解明を目的とする。脱ガラス化は様々なガラス系において機能的劣化に直結するため、
その引き金となる物理的因子の特定や阻止に繋がるデザイン原理の検証は急務である。令和
4年は準剛体球系ガラスが結晶に隣接している場合に起こる脱ガラス化現象に着目した。独
自に開発したブラウン動力学法の計算コードによるダイナミクスの計算と LAMMPS のエネルギ
ー最適化アルゴリズム(主に steepest descent 法)をクラスタで実行した。異なる密度で複数のガ
ラス configuration を用いた独立軌道の統計的な処理が必須であり、OpenMP 並列化による計
算コードの高速化と各密度での複数の軌道の同時計算をスパコンで実現できたことは本研究
の効率的執行に大きく貢献したことを明記したい。
令和4年度10月~12月にかけての計算によりガラスの作成方法を変えることによるダイ
ナミクスの定性的に変化することが分かった。脱ガラス化の引き金となる結晶・ガラス界面の局
所構造の特徴も特定されて、先行研究で
見られたものを大きく上回る固有状態の劇
的な変化が確認できた。従来の脱ガラス化
研究では着目されていないガラス層の微
視的構造の差が結晶化ダイナミクスに影響
を及ぼすことが明らかになった。
これらの結果と考察は以下の論文で
発表する予定である。
図、準剛体球系ガラスと結晶が隣接している系。青は結晶、白はガラス。
発表論文(謝辞あり)
T. Yanagishima, J. Russo, R. P. A. D. Dullens, H. ...