リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「有毒アオコ制御装置の開発と制御パラメータの最適化」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

有毒アオコ制御装置の開発と制御パラメータの最適化

朴, 虎東 信州大学

2021.03.01

概要

4版

様 式 C−19、F−19−1、Z−19 (共通)

科学研究費助成事業  研究成果報告書
令和

元 年

6 月 18 日現在

機関番号: 13601
研究種目: 基盤研究(C)(一般)
研究期間: 2016 ∼ 2018
課題番号: 16K00584
研究課題名(和文)有毒アオコ制御装置の開発と制御パラメータの最適化

研究課題名(英文)Development of toxic cyanobacteria bloom controller and optimization of control
parameters
研究代表者
朴 虎東(Park, Hodong)
信州大学・学術研究院理学系・教授

研究者番号:20262686
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)

3,700,000 円

研究成果の概要(和文):本研究で完成した「水中振動波発生装置」を水槽でアオコが発生している野外のアオ
コと底泥を実験水槽に投入して、栄養塩類の溶出実験とアオコ制御の実験を同時に行った。本実験結果からは自
然界の湖沼で「水中振動波発生装置」でアオコ制御を行う際には窒素・リンの濃度が増加して下流の水域でのア
オコ発生の原因となる可能性が示されたので、アオコ底泥の実験区に酸素発生装置を用いて、底質改善(好気化
による有機物分解促進)実験を行った。その結果、水槽内の溶存酸素が増加してリンの濃度を減少させることが
できた。本研究では「水中振動波発生装置と酸素発生装置」を用いる汎用性のあるアオコ抑制装置が完成でき
た。
研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究で開発された、「水中振動波発生装置」の学術的意義は①プロペラ形状の羽を回転することで低周波の振
動を発生することができた、②低周波の振動がアオコの成長を抑制することができた、③振動波はアオコの細胞
内のガス胞を破壊させることが明らかになった。振動波は直ちにアオコ細胞の膜を破壊せず、成長を抑制させて
アオコが急激に成長することを制御でき、特に細胞内の毒素を細胞外に溶出することも抑制できた。国内外に水
源地で発生するアオコを本研究結果より開発された「水中振動波発生装置と酸素発生装置」を併用して用いるこ
とでアオコの成長抑制と有毒アオコの除去にも役立てることが期待できる。
研究成果の概要(英文):We put the "underwater oscillation wave generator" completed in this
research into a water tank, put the cyanobacteria bloom scum and the lake sediment where the bloom
is generated to the experiment water tank, and the nutrients release experiment and the bloom
control experiment were conducted simultaneously. Our experimental results indicate that the
concentration of nitrogen and phosphorus is increased when water control is carried out with the "
underwater oscillation wave generator" in the lakes, which may cause the occurrence of water bloom
in downstream water areas. Therefore, the experiment for improving sediment quality was conducted
using an oxygen generator in the experiment area of the sediment. As a result, the dissolved oxygen
in the tank was increased and the concentration of phosphorus could be decreased. In this study, we
have completed a versatile cyanobacteria bloom control device that uses the oscillation wave
generator and dissolved oxygen generator".

研究分野: 環境毒性学
キーワード: アオコ制御装置 有毒アオコ制御 振動波発生装置 底質改善

様 式 C-19、F-19-1、Z-19、CK-19(共通)
1. 研究開始当初の背景
人類の様々な経済活動の増加に伴い、湖沼への窒素・リン等の栄養塩類の負荷が増えること
で発生する富栄養化が大きな環境問題となっている。このような湖沼の富栄養化の中で藍藻類
の大増殖現象(いわゆるアオコ)によって景観の悪化、水質低下による浄水処理費用の増加、
水道水の悪臭、有毒藻類の問題などの多くのデメリットが生じている。この様に世界中の富栄
養化している湖沼では同じような問題を抱えているにもかかわらず、良い解決策が無いのが現
状である。特に農業及び畜産排水中の窒素・リン等の栄養塩類が原因で、藍藻類の大増殖現象
が世界各地の水源地に発生し、有毒アオコが深刻な環境問題化している。人工汚染物質に比べ
天然有機化合物による水産資源の汚染・毒化機構では、その物質の物理化学的性質や無機的環
境要因だけでなく、生物の生理学的応答(摂食様式・行動)や生物間相互作用などの生物学的
要因が複雑に絡み合っている。
アオコ毒素(ミクロシスチン)は細胞内に存在することが知られており,その毒素の除去は
細胞そのものを取り除くことが最善の方法である。アオコの細胞から溶出したミクロシスチン
を除去することは可能ではあるが、費用がかかることが難点である。浄水処理の過程では殺藻
処理などで用いられる硫酸銅を散布した場合、大量のミクロシスチンが細胞外に溶け出すこと
が知られている。今までのアオコ抑制方法は、ジェットポンプといった人工的水流、湖沼の曝
気、人工的撹拌、化学的処理、溶藻菌・ファージ、超音波等の様々な方法が試みられてきたが、
藍藻類の処理時・処理後に発生するミクロシスチン溶出や、水質への影響等の問題点がある。そ
のため、アオコ発生後に処理を行なう方法ではなく、アオコ発生前にアオコの発生を抑制する
方法が有効である。
2.研究の目的
湖沼の富栄養化による藍藻類の大増殖現象(いわゆるアオコ)は景観の悪化、水質低下によ
る浄水処理費用の増加、有毒アオコの問題などの多くの弊害が報告されているが、良い解決策
が無いのが現状である。当研究室では今までの予備実験で低周波(3~10Hz)の振動がアオコ
を抑制できる可能性を見出した。本研究の初年度では、アオコ現象の原因藍藻の成長の制御実
験を行い、特に、水中振動波の機械的ストレス(周波数と圧力)がアオコの成長に及ぼす影響
を評価することで、水中振動波のアオコ制御機構を明らかにするとともに、
「小型水中振動波発
生装置」の試作を行う。次年度からは、
「野外用のアオコ制御装置」を試作し、数トン規模の人
工池にアオコを発生させて制御実験を行い、汎用性のあるアオコ抑制装置の完成を目指す。

二枚羽根型の振動波発生装置(W-motion)を 150rpm で回転
させた水槽の表層・中層・下層の何れのところからも振動
波を測定(左の図)することができたが、表層の観測結果
が最も分かりやすいので下の図に示した。

Wmotion Surface X(black) and Y(blue)
60

350

300

50

250

Magnitude

Magnitude

40

30

20

10

200

150

100

50

0

0

1

2

3

4

5

6

Frequency

7

8

9

10

1

2

3

4

5

6

7

Frequency

「二枚羽根型の振動波発生装置を回転させた水槽の振動波測定結果」

8

9

10

50 rpm

150 rpm

250 rpm

「小型水中振動波発生装置によるアオコ成長抑制実験の結果」

3.研究の方法
平成 28 年度と平成 29 年度で完成した「水中振動波発生装置」で様々な規模の水槽を用いて
アオコ制御の条件確立を行った。平成 30 年度には、平成 29 年度に用いた 1 トン規模の水槽で
アオコが発生している千鹿頭池からの底泥を実験水槽に投入して、栄養塩類(主に窒素・リン)
の溶出実験とアオコ制御の実験を同時に行った。対照区には底泥のみ、アオコ実験区にはアオ
コと中型アオコ制御装置を、アオコ底泥の実験区には、池に発生したアオコと底泥を投入して
中型アオコ制御装置を用いて実験を行った。平成 30 年度もアオコ制御実験に並行してハイドロ
ホンアレイシステムを用いて、振動波がアオコに与える機械的ストレスを計測した。FDTD 法を
用いて、圧力分布シミュレーションを行い、効果的なアオコ制御結果を得ることができた。
対照区の栄養塩類の分析結果は、窒素・リンが数 ppm を超える濃度が検出されて、この対照区
では底泥を投入することにより溶存酸素の低下で硝酸の増加とリンの溶出が行われたと思われ
る。アオコ実験区ではアオコが中型アオコ制御装置によって制御されることが再現されたが、
水槽内の溶存酸素が低下したのでアオコの分解で実験終了時には窒素・リンの濃度が増加した。
アオコ底泥の実験区では、アオコが中型アオコ制御装置によって抑制されたが窒素・リンの濃
度は一番高い濃度を示した。本実験結果からは自然界の湖沼で「水中振動波発生装置」でアオ
コ制御を行う際には窒素・リンの濃度が増加して下流の水域でのアオコ発生の原因となる可能
性が示されたので、その後、アオコ底泥の実験区に酸素発生装置(ニッケル・チタン電極によ
る水の電気分解装置)を用いて、底質改善(好気化による有機物分解促進)実験を行った。そ
の結果、水槽内の溶存酸素が増加してリンの濃度を減少させることができた。以上の実験から、
「水中振動波発生装置と酸素発生装置」を用いる汎用性のあるアオコ抑制装置が完成できた。
4.研究成果
本研究で完成した「水中振動波発生装置」を 1 トン規模の水槽でアオコが発生している野外
からアオコと底泥を実験水槽に投入して、栄養塩類の溶出実験とアオコ制御の実験を同時に行
った。本実験結果からは自然界の湖沼で「水中振動波発生装置」でアオコ制御を行う際には窒
素・リンの濃度が増加して下流の水域でのアオコ発生の原因となる可能性が示されたので、ア
オコ底泥の実験区に酸素発生装置を用いて、底質改善(好気化による有機物分解促進)実験を
行った。その結果、水槽内の溶存酸素が増加してリンの濃度を減少させることができた。本研
究では「水中振動波発生装置と酸素発生装置」を用いる汎用性のあるアオコ抑制装置が完成で
きた。
本研究で開発された、
「水中振動波発生装置」の学術的意義は①プロペラ形状の羽を回転するこ
とで低周波の振動を発生することができた、②低周波の振動がアオコの成長を抑制することが
できた、③振動波はアオコの細胞内のガス胞を破壊させることが明らかになった。振動波は直
ちにアオコ細胞の膜を破壊せず、成長を抑制させてアオコが急激に成長することを制御でき、
特に細胞内の毒素を細胞外に溶出することも抑制できた。国内外に水源地で発生するアオコを
本研究結果より開発された「水中振動波発生装置と酸素発生装置」を併用して用いることでア
オコの成長抑制と有毒アオコの除去にも役立てることが期待できる。

酸素発生装置(左の図)とアオコ駆除の水中振動波発生装置(右の図)

5.主な発表論文等
〔雑誌論文〕(計1件)
① Jisun Han, Bong-seok Jeon, Katsunori Mizuno, Kenji Yoshida and Ho-Dong Park,“The
influences of small-scale oscillation on growth inhibition and the ultrastructural
changes of Microcystis cells,” Journal of Environmental Science and Health, Part A,
53(13),1-6 (2018). DOI:10.1080/10934529.2018.1530329(査読有)
〔学会発表〕(計 1件)
① 水野勝紀、吉田憲司、Bong -seok Jeon, Jisun Han, Ho Han, Ho-Dong Park,“高周波超
音波によるアオコ細胞の成長抑制効果の試み”,第 38 回超音波エレクトロニクスの基礎と
応用に関するシンポジウム, 2017 年 10 月

6.研究組織
(1)研究分担者

研究分担者氏名:水野 勝紀
ローマ字氏名:
(Katsunori Mizuno)
所属研究機関名:東京大学
部局名:大学院新領域創成科学研究科
職名:助教
研究者番号(8 桁)
:70633494
※科研費による研究は、研究者の自覚と責任において実施するものです。そのため、研究の実施や研究成果の公表等に
ついては、国の要請等に基づくものではなく、その研究成果に関する見解や責任は、研究者個人に帰属されます。 ...

この論文で使われている画像

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る