Macdonald多項式 : アフィンHecke 環からのアプローチ(超幾何学校講義録その3=Lectures on Hypergeometric Functions vol. 3)
概要
神戸大学の野海です.今回は「Macdonald 多項式 –アフィンHecke 環からのアプローチ–」というタイトルで今日と明日 2 回講義をさせてもらいます.この話は去年の超幾何学校 2015 で「Macdonald 多項式とその周辺」というタイトルで話をさせてもらいました.そのときにはMacdonald 多項式(それは q 差分の方程式と関係した直交多項式系なんですけれども)というのはどんなものか, それらはどういう意味で q 直交多項式になってるだとか, あるq 差分作用素の可換族の同時固有函数系になっているとか, そういうMacdonald 多項式に関係する周辺の話を色々しました.もともとはアフィンHecke 環からのアプローチは去年の後半にしようと思ってたんですけど, 前半あまりにゆったりやすぎて, そこまでいかなかったので今回リベンジということで, アフィンHecke 環の理論を中心にしてMacdonald 多項式の理論を紹介しようというのが, 今回の目標です.
前回出ておられるという方ばかりではないと思うので(でも殆どは出てるのかな),一応前回とは独立にMacdonald 多項式の話とそれから今回は q 差分作用素の可換族の話をメインにしたいと思うので, まずSection 1「Macdonald 多項式とq差分作用素の可換族」でその話をします.で, q 差分作用素と関係がある q-Dunkl作用素っていうのがあって, これを経由してq 差分作用素の可換族ができるっていうのが, アフィンHecke 環の理論なんですけど, そういうのをSection 2「アフィン Hecke 環とq-Dunkl 作用素」でやります.それからアフィンHecke 環で理論を組み立てたことにより, Macdonald 多項式って(今日お話しするのはA 型GL 版なんですけど)一般のルート系でも定式化することができて, そういう状況でMacdonald多項式がもっている色々な性質をアフィンHecke 環の代数的な構造論から導くことができるという話があります.その部分の1 つの応用例をSection 3「二重アフィンHecke 環とその応用」で話します.大体, 2 日間でこんなストーリーで話すことを考えています.