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大学・研究所にある論文を検索できる 「炎症性腸疾患の患者に対しNUDT15遺伝子多型に関連するチオプリン不耐症例をより正確に判別する方法の確立」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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炎症性腸疾患の患者に対しNUDT15遺伝子多型に関連するチオプリン不耐症例をより正確に判別する方法の確立

泉山 泰宏 東北大学

2020.03.25

概要

【背景】免疫調節剤であるチオプリンは炎症性腸疾患や小児血液疾患等の治療において使用されているが、近年チオプリン代謝酵素である NUDT15 の遺伝子多型が重篤な副作用の原因となることが確認され、アジア人で多く認めるコドン 139 多型は日本においてチオプリン服用前に遺伝子検査をすることが本件診療と して行うことが可能である。しかし、NUDT15 遺伝子にはコドン 18 近傍にも一塩基多型、挿入、欠失など複数の多型があり、特に欧米人では欠失と副作用との強い相関が報告された。NUDT15 遺伝子多型にかかわるチオプリン不耐症例を判別するには、コドン 139 の検査に加え、コドン 18 の簡便な遺伝子検査法、あるいは、遺伝子ではなく直接 NUDT15 の機能(酵素活性)を測定する方法の開発が必要である。

【目的】コドン 18 近傍の多型による NUDT15 低活性バリアントを簡便に genotyping する方法を確立し、チオプリン製剤による副作用をより高精度に判定する。さらに NUDT15 の酵素活性を測定する方法の確立を目指す。

【研究方法】HRM(High Resolution Melt)解析の精度確認試験として日本人炎症性腸疾患患者 1245 例を対象に HRM 解析での判定結果と Direct Sequencing 解析の結果を比較する。次に、実証試験として別の 572 症例に対し HRM 解析を行い、実際に測定可能か確認する。コドン 18 の遺伝子型とコドン 139 の遺伝子型の結果から日本人におけるディプロタイプ及びその副作用の頻度を推定する。酵素活性を測定する方法として、基質となる 6-TGTP を付加後インキュベートし、6-TGTP 及び 6-TGMP 量をコドン 139 多型別に比較を行った。さらに、同一検体の複数回の測定や保存方法、測定まで保存時間による測定結果の変化を確認することで、検査系の安定性を確認した。

【結果】主要な遺伝子型である reference/reference(ref/ref)、ref/ p.Val18_Val19insGlyVal (ref/ins)、ref/ p.Val18Ile (ref/V18I)の 1241 例中 1236 例が HRM 法で正しく判定できた。稀な遺伝子型である ins/ins, ins/V18I, ref/ p.Gly17_Val18del の 4 例はいずれも判定不能として識別された。以上から、HRM での正診率は 99.6%であった。実証試験では、ins/ins も HRM による診断対象として解析を行い、570 例が ref/ref、ref/ins、ref/V18I、ins/ins の 4 つの遺伝子型と判定され、判定不能は 2 例であった。全例を対象にハプロタイプの推定を行った結果、コドン 139 が Arg/Arg、Arg/Cys の日本人患者のうち、それぞれ 2.74%, 2.13%にコドン 18 の多型によって酵素活性がより低く、副作用のリスクがより高くなる症例が存在し、これらのほぼすべてはコドン 18 を genotyping することで推定可能であった。酵素活性の測定に関する検討では、コドン 139 が Arg/Arg, Arg/Cys, Cys/Cys の順に 6-TGMP の生成量が大きく、in vitro での酵素活性測定結果に一致した。保存方法や測定まで保存時間を変更して測定したところ、測定値の変動が大きく、検査系としての安定性が確認できなかった。

【結論】HRM 法によって NUDT15 遺伝子のハプロタイプ予測に必要な codon 18 近傍の複雑な多型は簡便に genotyping できることが示された。酵素活性測定法に関しては、6-TGTP と 6-TGMP を測定することにより酵素活性としての機能を検討したものの、測定値が安定せず、さらなる検討が必要であった。

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