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大学・研究所にある論文を検索できる 「Thermodynamic Studies on Effects of Localization and Itinerary of Correlated Electrons in Molecular Charge Transfer Complexes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Thermodynamic Studies on Effects of Localization and Itinerary of Correlated Electrons in Molecular Charge Transfer Complexes

野本, 哲也 大阪大学

2021.03.24

概要

ドナー/アクセプター型の分子性電荷移動塩では、電子間に作用する比較的大きなクーロン反発の効果(強相関効果)により、電荷・スピン・格子振動(フォノン)など、様々な自由度が関わる量子物性が出現する。本学位論文では、強相関効果によって引き起こされる電子の様々な局在状態が、フォノンやスピンの性質にどのような影響を与えるのかを、主に熱力学的手法を用いて議論している。

第一章では、過去に報告されている代表的な有機伝導体の物性や強相関効果に関わる理論的な背景を簡単に紹介し、本学位論文の主要な目的について述べている。
第二章では有機伝導体の微小結晶を用いた自作熱測定装置(熱容量・熱伝導率など)の説明と、実際にそれらの装置を用いて測定した実験例について紹介している。
第三章では、θ型と呼ばれる結晶構造を持つ有機伝導体におけるフォノンの性質と電子状態との関係性につい て、熱伝導率測定を中心とした熱測定を用いて検証した実験について述べている。低温における格子の熱力学的特性は、電子状態の違いにより大きく変化することを示した。特に、電荷密度が不均一な凍結状態となる電荷ガラスを形成する物質では、結晶の周期性を保持しながら非晶質的な熱力学特性を示すという特異な物性が出現することを明らかにした。
第四章では、低温で超伝導転移を示すθ-(BEDT-TTF)2I3に焦点を当て、超伝導転移機構について熱測定を用いて議論を行った。極低温における熱伝導率測定から、本物質がフルギャップの超伝導体であり、電荷の揺らぎが媒介となって出現する”電荷揺らぎ超伝導”であるという実験的な証拠を示した。
第五章では、絶縁層に磁性イオンであるCo2+(S=3/2)を含んだ磁性有機伝導体θ-(BEDT-TTF)2CsCo(SCN)4につい て、π-d相互作用に由来する特異な磁気応答性の発見を目指して行った熱測定および輸送能測定について述べている。磁場下での熱容量測定により、磁気熱容量の異常な温度依存性や磁場印加によって出現する一次相転移を新しく見出した。輸送能や磁化率測定などから、発見された相転移が電荷ガラス状態にあるπ電子内のスピン自由度に由来するものであることを明らかにし、θ型有機伝導体においてもπ-d相互作用が有効に作用していることを実験的に示した。
第六章では、Mott絶縁体であるβ’-X[Pd(dmit)2]2塩について、フォノンの性質と低温で出現するスピン状態との相関性を調べるために行った熱伝導率測定について報告している。低温で反強磁性長距離秩序を示す物質では、通常の結晶に特徴的な数K付近での熱伝導率のピーク構造を示すのに対し、スピン液体物質では高温から低温まで単調に熱伝導率が減少するガラス的な振る舞いを示すことが明らかにしている。類縁体同士の比較から、このガラス的な状態が分子構造や冷却過程の違いによるものではなく、スピン液体物質が持つ本質的な温度依存性であることを示した。
第七章では、六章までの実験結果を総括し、有機伝導体の物性に対して電子の局在と遍歴、揺らぎの効果が与える影響について述べている。
第八章では結論部として、全体の内容を纏めている。

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