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大学・研究所にある論文を検索できる 「『幼幼家則』にみる疾医が記載する小児の灸・外科治療」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

『幼幼家則』にみる疾医が記載する小児の灸・外科治療

川島, 希 Kawashima, Nozomu 名古屋大学

2020

概要

明治時代の代表的小児漢方医書『幼幼家則』には湯液療法のみならず灸・外科治療が記載されておりその全貌を解明することを目的とした.『幼幼家則』全5巻において「方法」および本文に記載された治療法を全て抽出した.「方法」に記載された湯液療法は重複を含めて387首であったのに対して,灸・外科療法は10方(3%)のみであった.灸・外科療法で本文中にのみ記載された9方を含めた全19方中,先天奇形と歯科口腔外科疾患に対する8方を除いた11方は,いずれも灸療法ないし温罨法であり,毫鍼や接触鍼を用いた鍼療法はなかった.その対象疾患は各種原因による意識障害が7方(64%),泌尿器疾患が2方(18%),消化管疾患が2方(18%)であった.『幼幼家則』に記載された灸・温罨療法は現代小児診療でも実施可能かもしれないが,今後の臨床研究が必要である.

参考文献

ており,その手技も多くは灸療法であることから

低侵襲で容易に実施可能である.古典に記載され

た治療法は必ずしも現代医学的な評価を受けてお

らず,その有効性は現時点では不明であるとはい

え,他の有効な治療法の欠如と治療介入の低侵襲

性を考慮すると,現代小児診療においても併用は

1)江 育仁,田久和義隆.全訳中医小児科学:中医薬

大学全国共通教材.たにぐち書店,東京.2013.

2)井上光貞,関 晃,土田直鎭,他.律令.1976.

3)丹波康頼,槙佐知子.医心方.1993.

4)西村 甲.臨床漢方小児科学.南山堂,2016.

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可能かもしれない.湯液療法あるいは現代医学の

6)内閣官報局.第 8 回帝国議会衆議院議事速記録第

治療に加えて灸療法を併用することが小児診療全

25 号 1885[cited 2018 March 1]. Available from:

般の向上に役立つ可能性はあり,今後の臨床試験

での評価が必要である.

本研究の限界は以下の通りである. 村瀬豆洲

『幼幼家則』に掲載された治療法のみを検討して

おり,当時日本で行われた伝統医学的な小児医療

の眺望を必ずしも反映していない可能性がある.

より多くの小児漢方に関連した歴代医書を検討す

ることで,

『幼幼家則』の歴史的な意義とともに,

日本の伝統小児医療で用いられた非湯液療法の全

体像を理解することが可能となるだろうが,それ

には今後の検討が待たれる.

まとめ

村瀬豆洲『幼幼家則』では湯液療法が主体では

あるが,種々の病態による意識障害に対する灸療

法や泌尿器・消化管疾患への灸・温罨療法が記載

されており,現代小児診療においても応用は可能

かもしれない.その効果の証明には今後の臨床研

究が必要である.

http://teikokugikai-i.ndl.go.jp/SENTAKU/syugi

in/008/0060/0081006002510206.html.

7)日本小児東洋医学会,

崎山武志,

日本小児医事出版社.

小児漢方治療の手引き.第 2 版 ed,日本小児医事

出版社,2015.

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春林軒膏薬と李靖十二辰陣.日本医史学雑誌 59:

以上の内容の一部は, 第 45 回日本小児東洋医

学会学術集会(名古屋,2017 年 9 月)で発表した.

本研究を遂行するにあたり『幼幼家則』原文の

517-532,2013.

17)歴代漢方医書大成電子版.西岡漢字情報工学研究所

新樹社書林(販売),2008.

43

18)手島益雄.愛知縣醫人傳.東京藝備社 中京堂書店

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44

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