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大学・研究所にある論文を検索できる 「重心系エネルギー13TeVの陽子陽子衝突における終状態に低運動量ミューオンをもつニュートラリーノ生成過程の探索」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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重心系エネルギー13TeVの陽子陽子衝突における終状態に低運動量ミューオンをもつニュートラリーノ生成過程の探索

日比, 宏明 神戸大学

2022.03.25

概要

本論文では重心系エネルギー13TeVの陽子陽子衝突実験におけるニュートラリーノ探索について報告する。

第1章のIntroductionでは素粒子物理学の現状と、未解決問題を解決し得る最も有力な新物理候補である超対称性理論(SUSY)を簡単に紹介し、本論文の構成について述べる。

第2章のTheoretical BackgroundではSUSYの詳細やモチベーション、本研究で探索するSUSYのシナリオについてまとめた。SUSYでは既に発見されている粒子と対になるようにSUSY粒子が導入されるが、未だにその粒子は発見されていない。しかし、多角的な実験結果を考慮するとSUSY粒子の一つである最も軽いニュートラリーノは500GeV以下の質呈をもち、二番目に軽いニュートラリーノとの質祗差(△m)はo.10GeV)以下であることが示唆されている。本研究ではAmが1から5GeVの領域において陽子衝突によって生成された二番目に軽いニュートラリーノが最も軽いニュートラリーノと二つのミュー粒子に崩壊する事象をLHC-ATLAS実験で得られたデータを用いて探索する。

第3章のLHC-ATLAS experimentでは、ニュートラリーノ探索で用いる陽子加速機(LHC)及び陽子陽子衝突を測定する検出器群(ATLAS detector)についてまとめた。

第4章のData and Monte・calro sampleでは解析に用いる「ATLAS detectorで取得された実データ」と「モンテカルロシミュレーションで生成したデータサンプル」について説明する。本解析では実データとして139fb・l分の重心系エネルギー13TeVの陽子陽子衝突データを用いている。また、モンテカルロで生成したシミュレーションデータは背景事象やSUSY由来の事象を理解するために使用される。

第5章のObject reconstructionでは、ATLAS detectorで観測された信号から再構成されるオプジェクトを定義した。オプジェクトは陽子陽子衝突で生成された粒子の種類や運動蔽などの情報を持ち、それらを解析することによってSUSYの信号を見つけ出すことができる。

第6章のLow pT Muon Identificationでは新たに開発した低運動品ミュー粒子専用のシュー粒子識別アルゴリズムの詳細について述べる。従来のアルゴリズムではミュー粒子検出器を用いてミュー粒子を識別していたが、低運動最ミュー粒子はミュー粒子検出器まで到達できないため識別が困難であった。そこで、ミュー粒子検出器よりも内側に位置するカロリメーターの情報を用いた識別手法を開発することによって、低運動最ミュー粒子に対する識別効率を2から10倍向上できる事を示した。

第7章のEvent SelectionではSUSY由来の事象を残しつつ、徹底的に背景事象を取り除くための事象選別手法について述べる。SUSY由来の事象では大きな消失エネルギー、二つの低運動呆ミュー粒子などの特徴が挙げられるが、それらの値は△mに大きく依存している。従って、全ての△mのシナリオに対して高感度な解析手法を確立することは困難である。この問題を解決するために機械学習手法の一つであるpNNを用いた。本研究で用いたpNNは入力変数に△mをもち、この値をターゲットとする△mにすることによって容易にそのシナリオに最適化された識別変数を得ることができる。これによって幅広い△m領域において高い感度を実現した。

第8章のBackground estimationでは事象選別後の信号領域に残る背景事象の見積もり手法についてまとめる。ATLAS detectorで取得された実データとシミュレーションデータには低運動呈領域で大きな乖離が見られる。従って、背景事象の精密な見積もりにシミュレーションデータを用いることは困難である。そこで、全ての背景事象を実データから見積もる手法を開発した。この手法では第6章で開発した低運動量専用のミュー粒子識別手法を用いてミュー粒子が見つからなかった事象とミュー粒子識別手法の背景事象に対する誤識別率の詳細な理解によって信号領域における背景事象を復元する。これによって信号領域における背景事象数を精密に見積もることが可能となる。

第9章のSystematic UncertaintiesではSUSY由来の事象及び背景事象の数や分布に対する系統的な誤差の見積もり手法や値をまとめた。特に新たに開発した低運動呈ミューオンの識別手法に対する系統誤差の評価についてはtag & probe法を用いており、実データとシミュレーションデータでの識別効率の差は20%以内に収まることを示した。また、背景事象の見積もりに関してはtoy experimentを行うことによって誤差を評価し、15%以下に収まる事を示した。

第10章のStatistical treatmentでは得られた結果から新粒子発見を主張するための検定や、発見されなかった場合に棄却領域を定める検定の手法についてまとめた。

第11章のResultでは解析の結果についてまとめた。本研究では新粒子の発見には至らなかったため、棄却領域を定めた。最も軽いニュートラリーノの質裁では最大125GeVまでを棄却し、△mでは最大1.4GeVまでを棄却した。これは世界最高感度での探索である。この結果をもとに最小のSUSYモデルに実験結果から得られる制限を加えたphenomenological Minimal Supersymmetric Standard Modelのパラメータに対して制限を与えた。

第12章Conclusionで本論文についてまとめた。

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