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大学・研究所にある論文を検索できる 「Development of a novel method for time-resolved-diffusion detection of protein reactions and its application」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Development of a novel method for time-resolved-diffusion detection of protein reactions and its application

Takaramoto, Shunki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23031

2021.03.23

概要

生体機能の解明にはタンパク質の機能を理解することが重要である。タンパク質は外部刺激や分子間相互作用に伴いその構造を変化させ、機能が発現する。そのため、タンパク質反応を分子レベルで理解し、会合状態の変化や分子内部の立体構造変化を明らかにすることは重要な研究になる。本研究ではタンパク質の拡散係数に着目し、タンパク質反応における拡散係数の変化を時間分解で追跡するための手法開発を行っている。拡散係数は分子サイズの変化に敏感であり、会合状態の変化など構造変化を捉える際に役立つ。拡散を高速で測定し、反応の時間分解検出に適用できる手法として、過渡回折格子 (TG)法が利用されてきた。しかし、本手法は測定対象が光応答するものに限定され、多様なタンパク質反応研究への適用は困難であった。

本研究ではTG法を拡張し、従来のTG法では反応検出が困難な系へと適用できる、新しい時間分解拡散観測手法の開発を行った。まず、光に依存しない様々なタンパク質反応を駆動するために、溶液の高速混合と急速停止によって反応検出を行うストップトフロー (SF)法をTG法と組み合わせた測定系 (SF-TG法)の確立を行った。SF-TG法では二種の反応液の高速混合で反応を駆動し、送液停止時点を基準に遅延時間を設けてTG測定を行う。遅延時間を変えることで反応の様々な時間で対象の拡散係数を測定し、反応に伴う構造変化を拡散係数変化として検出できる。SF-TG法はサンプル消費量が大きいため、これを低減するためのSFシステムを開発した。本システムではサンプル消費量を1回の高速混合において3 μL程度に抑えることに成功した。

測定対象の拡大にはSF-TG法の確立だけでなく、光応答しない分子ではTG測定において拡散信号が検出されない問題を克服しなければならない。多くのタンパク質が光応答性を示さないため、タンパク質を光応答分子でラベルし、本来光反応しない対象に光応答性を付加することでTG測定を可能にした。ここでは spiropyranの誘導体をラベル剤として使用した。 spiropyranは閉環状態と開環状態の二状態を紫外光/可視光励起で切り替えられるフォトクロミック分子である。 spiropyranでラベルしたタンパク質は TG測定において拡散信号を容易に検出でき、信号の解析で得られるタンパク質の拡散係数は他の拡散測定の結果と矛盾がないことを示し、様々なタンパク質において拡散係数を精度よく決定できるようになった。

測定法開発の最終段階として、SF-TG法とタンパク質ラベリング法を組み合わせることで実際にタンパク質反応検出を行った。そこではα-Synuclein (αSyn)を対象とした。αSynは界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム (SDS)との相互作用により構造変化する。本研究ではspiropyranを付加したαSynと、SDS溶液を高速混合し、SF-TG法を用いて会合過程におけるαSynの拡散係数変化を追跡した。更に分子内部の構造変化を追跡する別の反応検出法も利用しながら、会合過程について、多数のSDSモノマーとの会合が先立って中間状態が生じ、中間状態とSDSミセルとの会合が起こる反応として帰属した。以上より新たに確立した手法を用いてタンパク質反応検出を行う段階に至り、今後SF-TG法を様々なタンパク質反応研究に利用できることが期待される。

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