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大学・研究所にある論文を検索できる 「シカの食圧により林床植生が衰退したブナ林斜面における各種土壌保全工の長期的な効果と特徴」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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シカの食圧により林床植生が衰退したブナ林斜面における各種土壌保全工の長期的な効果と特徴

孙, 金胜 東京農工大学

2021.05.10

概要

林床植生衰退地における土壌侵食を防止・軽減する手法としては,林床植生を回復する手法(北原,2002),リターなどの被覆物を林床上に設置する手法(村井ら,1973)が有効であると考えられる。また,シカによる林床植生が衰退した丹沢堂平の試験地において,石川ら(2007)はリター堆積量に季節変化があること,若原ら(2008)は林床植生が衰退すると上層木の樹冠から供給されたリターが林床植生により捕捉されずに雨や地表流,風により斜面下方へ流出すること,初ら(2010)は雨量 1mm当たりの土壌侵食量と林床合計被覆率(林床植生被覆率+リター被覆率)には高い負の相関があることを示している。このように土壌侵食に影響を与える要因についてはある程度は明らかになってきている。林床植生を回復させる実験としては,丹沢大山国定公園の植生衰退の著しい特別保護区を中心に 1997年から植生保護柵が設置されてきた。田村(2007)は丹沢山地の高標高域を中心に 1 年未満から 11 年経過した植生保護柵 51 箇所を対象として,柵外と比較した植生回復状況を調査し,林床型に関係なく植生保護柵を設置して 4 年以上経過した箇所で植生被覆率が高くなることを報告した。しかしながら土壌侵食量および堆積リター量の変化について検討していない。

石川・内山(2013)は丹沢堂平地区に土壌保全工の試験プロットを設置して 8 種類の土壌保全工と小面積の植生保護柵工の設置初期の土壌侵食軽減効果を検討したが,長期間の土壌保全工の土壌侵食軽減効果については検討していない。このように既往の研究では長期間にわたる植生保護柵工ならびに土壌保全工の土壌侵食量の軽減,林床植生被覆率の回復,ならびに堆積リター量の増加についての現地観測に基づく報告はされていない。特に,シカの食圧が存在する中での,10 年以上の現地観測により土壌保全工と植生保護柵工が土壌侵食量,堆積リター量,林床植生被覆率の変化に与える効果を検討している例はない。

そこで,本章ではシカにより林床植生が衰退した森林斜面に適した土壌保全工を明らかにするため,植生保護柵工と 8 種類の土壌保全工を設置してこれらの工種の土壌侵食抑制効果を検討し,丹沢堂平地区のシカの食圧により林床植生が衰退したブナ林斜面における約 10~11 年間の観測結果から植生保護柵工と 8 種類の土壌保全工の長期的な土壌侵食量の軽減効果,林床植生の回復効果および堆積リター量の増加効果の実態を明らかにすることを目的とする。これによりシカの食圧により林床植生が衰退したブナ林斜面における最適な土壌侵食対策手法を提示するとともに,シカの食圧により林床植生が衰退した広葉樹林の斜面における適切な土壌侵食対策手法の検討のための基礎資料を提示できると考えている。

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