モレー空間やモレー・ローレンツ空間上における双線形分数積分作用素の有界性
概要
私は関数空間論の研究を行っている. その中でも主に Morrey 空間 [9] や Lorentz 空間 [8] を扱っていて, そ
れらの構造を同時に合わせ持った Morrey–Lorentz 空間という関数空間に興味がある. 関数空間を扱ううえで
作用素の有界性の研究は必要不可欠である. ...私は関数空間論の研究を行っている. その中でも主に Morrey 空間 [9] や Lorentz 空間 [8] を扱っていて, それらの構造を同時に合わせ持った Morrey–Lorentz 空間という関数空間に興味がある. 関数空間を扱ううえで作用素の有界性の研究は必要不可欠である. そのため, Hardy–Littlewood の極大関数や Riesz ポテンシャル,Calder´on–Zygmund 特異積分作用素など (半) 線形作用素の有界性は古くから研究がされてきた. その後, 拡張や応用がされ, 現代でも多く研究されている. 特に Riesz ポテンシャル Iα については, パラメーター 0 < α < nと Lebesgue 可測関数 f に対して,
Iαf(x) ≡ZRnf(y)|x − y|n−αdy
で与えられているもので, ラプラシアンを用いて Iαf = C(−∆)− α2 f に書き換えることができ, 調和解析や偏微分方程式論において重要な道具となっている. また, Riesz ポテンシャルの有界性に関しては, Lebesgue 空間上では Hardy–Littlewood–Sobolev の不等式, Morrey 空間上では Adams の定理 [1] としてよく知られている.
本研究では, Morrey 空間上における双線形分数積分作用素 Jα の有界性をテーマに研究を行っていた. 双線形分数積分作用素 Jα は Riesz ポテンシャルの双線形の場合の拡張となっているものとして Grafakos 氏 [4] によって導入された. この課題は, 先行研究として He 氏と Yan 氏 [6] によって一部結果が知られていて残りは未解決となっている. そこで残りの部分について議論をした. その後さらに, その結果を一部 Morrey–Lorentz 空間上の有界性へと拡張した.