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On certain central extensions associated to covering spaces

FUJITANI, Takuya 藤谷, 拓哉 名古屋大学

2020.06.01

概要

本論文は大きく分けて3つの内容からなる。第1は被覆空間に付随して現れるある種の幾何的中心拡大を構成したこと、第2は被覆空間に付随する中心拡大が実現する2次群コホモロジー類(拡大類)の幾何的な意味を明らかにしたこと、第3は被覆空間に付随する中心拡大の拡大類のコサイクル表示の構成法を与えたことである。

幾何学において主束やファイバー束は主要な対象であり、特性類を用いた研究はその主要な研究手法のひとつである。特に19540年代に現れたChern-Weil 理論は、曲率と不変多項式から特性類がdeRhamコホモロジー類として統一的に構成する手段を与える。しかし平坦束の研究にChern-Weil 理論は有効ではない。平坦束では曲率が0になるため特性類が直ちに0となってしまい、非自明な特性類を構成できないからである。

平坦束とはその構造群が離散群に退化するような束と言い換えることができ、その分類空間として離散構造群に対するEilenberg-McLane 空間をとることができる。この離散群の分類空間のコホモロジー群は、群のコホモロジー群と同型になることが知られており、離散群の群コホモロジーに関する理解が平坦束の特性類についての理解へとつながる。

一方で幾何的に現れる群(例えばLie 群や微分同相群、写像類群及びその部分群など)の研究ではAbel化やその上の準同型が考えられる。前述の例としては、シンプレクティック多様体のHamilton微分同相群上のフラックス準同型やCalabi準同型、写像類群の正規部分群であるTorelli 群上のJohnson準同型などが挙げられる。これら準同型は群のコホモロジーの視点で1次コホモロジー類と理解することができる。このとき群の短完全列と組み合わせた転入写像を考えることにより、1次コホモロジー群から2次コホモロジー群への写像が定まり、これによって代数的な群の準同型と平坦束の特性類の関係を導くことができる。群の2次コホモロジー群は群の中心拡大の同型類との一対一対応が知られているので、このことから群の準同型と群の中心拡大の間に密接な関連があると期待される。

本学位論文の第1の内容は被覆空間に付随して現れるある種の幾何的中心拡大の構成である。円周の向きを保存する同相群は普遍被覆群としてℤ作用と可換な実直線上の同相群をもつ。これにより同相群の中心拡大0 → ℤ → Homeo(ℝ)ℤ → Homeo+(𝑆1) → 1が得られる。この中心拡大が定める2次群コホモロジー類(拡大類)は普遍平坦円周束のEuler 類に対応することが知られている。この中心拡大の現れるℤは普遍被覆空間ℝ → S1のデック変換群と同一視され、 Homeo(ℝ)ℤやHomeo(𝑆1)は普遍被覆空間に自然に作用する。この見方を一般化して、与えられたCW-複体𝑋上の正規ℤ-被覆空間𝑋̂ → 𝑋に対して、ℤ-被覆空間に付随する𝑋の同相群Homeo𝝰(𝑋)の中心拡大0 → ℤ → Homeo(𝑋̂)ℤ → Homeo𝛼 (𝑋) → 1を定義した。ここで連結 CW-複体𝑋の正規ℤ-被覆空間の同型類は1次コホモロジー群H1(X; ℤ)と1対1に対応し、Homeo𝝰(𝑋)は与えられた正規ℤ-被覆空間に対応するコホモロジー類𝛼 ∈ H1(X; ℤ)を保存する𝑋の同相群である。

第2の内容は正規ℤ-被覆空間に付随する中心拡大の幾何的意味付けである。連結 CW 複体𝑋と1次コホモロジー類𝛼 ∈ H1(X; ℤ)に対して、𝑋をファイバーに、Homeo𝛼(𝑋)を構造群にもつ(平坦とは限らない)ファイバー束を(𝑋, 𝛼)-束と呼ぶ。この(𝑋, 𝛼)-束にはEuler 類と呼ぶ特性類を定義できる。これは有向円周束のEuler 類の一般化に当る。そしてこのファイバー束が平坦のときを考えると、その普遍 Euler 類が先に与えた中心拡大の拡大類と一致することを示した。

第3の内容は正規ℤ-被覆空間に付随する中心拡大の拡大類の群コサイクル表示の構成についてである。Moriyoshiによって導入された接続コチェインを用いることで、群コサイクル表示を与えることができる。また滑らかな多様体𝑀上の正規ℤ-被覆空間𝑀̂ → 𝑀に対しては,同相群の場合と同様に微分同相群の中心拡大0 → ℤ → Diff(𝑀̂)ℤ → Diff𝛼(𝑀) → 1が定義できる。De Rham 複体係数群コチェイン𝐶𝑝(Diff𝝰(𝑀); Ω𝑞(𝑀))を考えることで、拡大類の群コサイクル表示を与えた。さらに境界をもつある種の多様体𝑊の正規 Z-被覆空間𝑊̂ → 𝑊が存在するときを考える。このとき𝑊の体積を保存する相対微分同相群にフラックス準同型Fluxが定義されている。一方で境界をもつ多様体𝑊の境界𝑀は𝑊の正規 Z-被覆空間から誘導される正規 Z-被覆空間𝑀̂ → 𝑀をもち、それに付随する微分同相群の中心拡大が得られる。群の短完全列に関する5項完全列を考えることで、正規 Z-被覆空間𝑀̂ → 𝑀に付随する微分同相群の中心拡大とフラックス準同型の間に密接な関わりがあることを示した。

参考文献

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