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大学・研究所にある論文を検索できる 「miR-4711-5p regulates cancer stemness and cell cycle progression via KLF5, MDM2 and TFDP1 in colon cancer cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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miR-4711-5p regulates cancer stemness and cell cycle progression via KLF5, MDM2 and TFDP1 in colon cancer cells

森本, 祥悠 大阪大学

2020.04.30

概要

〔目的(Purpose)〕
 癌幹細胞は治療抵抗性を示し、再発や転移の原因となるため癌幹細胞を治療標的とすることが癌の根治につながると考えられる。本研究では癌幹細胞ドライバー遺伝子であるKLF5に着目した。KLF5はKLF(Kruppel-like factors)ファミリーに屈する転写因子である。腸管では陰窩底部において活発に分裂している細胞で高く発現しており、分化した腸管上皮細胞では発現が低い。また、KLF5の発現抑制による腫瘍増殖の抑制が大腸癌、膵癌、胃癌などで報告されている。更にKLF5はES細胞の幹細胞性を保つのに必要であると報告されている。一方、microRNA(miRNA)は20·22塩基程度のnon-coding RNAであり、主にターゲット遺伝子の3’非翻訳領域(untranslated region: UTR)に結合することで、その遺伝子の翻訳を抑制する。miRNAは様々な病態に関連しており、miRNAを用いた核酸治療が近年注目を集めている。そこで本研究では、KLF5を標的とした新規核酸治療薬を開発することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 miRBaseとTargetScanという2つのデータべースを用いてKLF5を標的とするmiRNAを41種類抽出し、その中で3種類の大腸癌細胞株に共通して強い腫瘍増殖抑制効果を持つmiRNA: miR-4711-5pを同定した。
 以下、大腸癌細胞株であるDLD-1とHCTI16を用いて実験を進めた。まず、実際にmiR-4711-5pがKLF5の3’UTRに直接結合し、KLF5の発現を抑制することを確認した。次に幹細胞性への影響について検討した。既知の腸管幹細胞マーカーであるLGR5、CD44v9、BMI1の発現が有意に抑制されていることが示された。また、sphere formation assayではmiR-4711-5pの投与によりsphere形成能が有意に抑制された。これらの結果はmiR-4711-5pが大腸癌細胞の幹細胞性を抑えていることを示している。さらに、細胞増殖能、遊走能、浸潤能を抑制し、アポトーシスを誘導することが示された。アポトーシス関連蛋白のwestern blottingにより、アポトーシス蛋白であるcleaved Caspase3の上昇がみられた。
 miR-4711-5pのトランスフェクションで変動する遺伝子を評価するために、RNA sequenceを施行した。Negative controlとの比較データを用いたGene Ontology Analysisの結果から、miR-4711-5pで低下した遺伝子群は細胞周期やDNA複製に関わっていることが示唆された。そのため、細胞周期アッセイを行ったところ、miR-4711-5pのトランスフェクションにより細胞周期におけるG1期の割合が有意に大きくなり、G1期からS期の移行が抑制されること分かった。G1期からS期への移行に関わるタンパク質の発現をwestern blottingで確認したところ、細胞周期の進行に必要なE2F1とTFDP1の発現が抑制されていることが判明した。さらにこのTFDPIの3OTRにmiR-4711-5pが直接結合することが確認された。また、p53野生型のHCT116ではmiR-4711-5pのトランスフェクションによりp53の発現が亢進しており、その原因として、p53の負の制御因子であるMDM2の発現が低下していることが分かった。そして、このMDM2の3‘UTRにも,miR-4711-5pが直接結合することが示された。MDM2の抑制によるp53の活性化はアポトーシスの誘導にも寄与していると考えられた。
 DLD-1を用いた皮下腫瘍マウスモデルでは、ドラッグデリバリーシステムとして無期イオンからなるsuper carbonate apatiteを用いてmiR-4711-5pを投与することで、明らかな副作用なく、腫瘍の増殖を抑制することが示された。さらに臨床検体から初代培養した細胞5種類に対しても、抗腫瘍効果の高いmiRNAと知られるmiR-34aに比べても、更に強い細胞増殖抑制効果を示した。このことから、適切なドラッグデリバリーシステムによりmiR-4711-5pを腫瘍に効果的に集積させることで、臨床応用が可能であると考えられる。

〔総括(Conclusion)〕
 miR-4711-5pはKLF5の発現を抑えることで大腸癌の幹細胞性を抑制し、TFDP1やMDM2の発現を抑えることで細胞周期の進行を弱め、アポトーシスを引き起こすことが示された。このmiRNAが癌幹細胞を標的とした核酸治療薬として使用され、癌の根治につながることが期待される。

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