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大学・研究所にある論文を検索できる 「自然免疫機構による表皮内のステロイド代謝系の制御」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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自然免疫機構による表皮内のステロイド代謝系の制御

大森 遼子 東北大学

2020.03.25

概要

副腎皮質グルココルチコイドの抗炎症作用は、合成グルココルチコイド・ヒドロコルチゾンの開発に伴って、広く医療に応用されてきた。多くの皮膚炎症性疾患においてステロイド外用薬の恩恵を受けている一方で、ステロイド外用薬によって皮膚炎症症状が増悪する皮膚炎症性疾患が知られており、その代表的皮膚疾患が酒皶 rosacea である。特発性に発症する酒皶の病態として、表皮の Toll 様受容体(TLR)と抗菌ペプチド・カセリサイディンの過剰発現を含む自然免疫機構の過剰反応・異常反応が提唱されている。しかしながら、酒皶の病態における表皮の自然免疫機構の異常反応と、皮膚科診療で観察される外来性ステロイドによる酒皶症状の増悪を結びつける分子病態は解明されていない。一方で、近年表皮角化細胞においてステロイド合成酵素の存在が報告されており、皮膚においてもわずかながらステロイド代謝系を有すると考えられている。そこで本研究では、自然免疫機構が表皮角化細胞のグルココルチコイド合成経路に与える影響を検証した。まず、酒皶皮膚と正常皮膚では、蛍光免疫染色でどちらも顆粒層付近で HSD11B1 の発現が亢進しており、酒皶皮膚でより亢進していた。そこで、自然免疫の関与を確かめるため、培養表皮角化細胞に TLR1~9 のリガンド刺激を加えた結果、TLR3 リガンドの Poly(I:C)は HSD11B1 と CYP11A1 をふくむ複数のグルココルチコイド合成酵素の発現を増加させた。この Poly(I:C)による HSD11B1 の誘導は、TLR3 siRNA の事前処理により消失した。また、TLR3 を組み込んだアデノウイルスベクターを培養表皮角化細胞に transfection したところ、Poly(I:C)刺激による HSD11B1 と CYP11A1 の蛋白発現の増強が見られた。また、培養表皮角化細胞の細胞染色でも同様の条件下で TLR3 を transfection した群で HSD11B1 と CYP11A1 蛋白発現増加が確認できた。これらにより、ヒト表皮角化細胞では、Poly(I:C)刺激で TLR3 signaling を介した pathway で HSD11B1、CYP11A1を含むステロイド合成酵素の発現が増加し、表皮でのコルチゾール発現、または活性化を促進する可能性が示唆された。今回の研究成果は、自然免疫、特に TLR3 pathway を介してのステロイド合成酵素の発現誘導機構検証については初めての報告となる。とくに、HSD11B1 の誘導は、細胞内に貯蔵されている不活型コルチゾンから活性型コルチゾールへの変換誘導を示唆しており、細胞培養上清中のコルチゾール増加に相関するとともに直接的にコルチゾールの誘導に影響を与えるものと考えられるため、自然免疫受容体 TLR の刺激、特に TLR3 刺激が表皮内のステロイド合成酵素誘導因子となりうることを示した。

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