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大学・研究所にある論文を検索できる 「Spin-polarized quasi-one-dimensional surface states of Bi/III-V semiconductor(110)-(2×1)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Spin-polarized quasi-one-dimensional surface states of Bi/III-V semiconductor(110)-(2×1)

中村, 拓人 大阪大学

2021.03.24

概要

近年、Rashba効果や物質のトポロジーに起因した、スピン偏極表面電子状態に関する研究が盛んに行われている。このようなスピン偏極表面状態は、Rashba-Edelstein効果によるスピン流-電流変換をはじめ、スピントロニクスへの応用が期待されている。一方、より低次元である (擬)一次元系では、スピン依存した金属絶縁体転移や電子の後方散乱の強い抑制など、低次元性とスピン偏極との協奏による多彩な電子物性が予測されている。これまでもスピン偏極擬一次元系に関する研究は行われてきたが、それらのスピン分裂の大きさは二・三次元系物質と比べると小さなものしか報告されておらず、新奇スピン物性の探索や応用には、大きなスピン分裂を実現することが必要不可欠であった。そこで本研究では、異方的表面原子構造を持つIII-V族半導体InAs及びGaSbの(110)面上に、重元素Biを吸着させることでBi/III-V族半導体(110)-(2× 1)を作製し、角度分解光電子分光(ARPES)及び密度汎関数法(DFT)を用いて、その電子状態を 明らかにし、巨大スピン分裂擬一次元電子状態の実現とスピン物性の解明を目指した。
 Bi/InAs(110)-(2×1)において、放射光を用いたARPES測定により、本表面が擬一次元的な表面電子状態を示すことを明らかにした。また、スピン分解ARPESにより、観測された表面電 子状態がRashba型スピン軌道偏極を持つことを確認した。そして、スピン分裂幅を見積もる と、従来の一次元物質と比べ約5倍にも及ぶ、非常に大きなスピン分裂を有することがわかった。この電子状態についてバンド計算を用いた詳細な解析を行い、Bi原子の軌道混成が巨大スピン分裂の実現に重要であることを明らかにした。
 DFTと可変偏光スピン分解ARPESによって詳細にBi/InAs(110)-(2×1)のスピンテクスチャーを解析した結果、スピン偏極した表面バンドにおいて、波数・エネルギーに応じてスピン偏極方向が回転する、特異なスピン偏極構造を持つことがわかった。また、そのスピン偏極構造は表面原子構造を構成する2つのBi一次元鎖間で大きく異なることを見出し、低対称表面構造に由来した特異なスピン軌道偏極構造を明らかにした。
 BiGaSb(110)-(2×1)においても、スピン偏極擬一次元半導体電子状態が実現していることを確認し、表面科学的手法によりスピン偏極バンドの電気伝導性を制御できることを示した。
 スピン偏極電子状態に影響を与えない新たなスピン伝導層材料として、弱い分子間相互作用によって吸着する有機分子薄膜を提案した。この実証のために、分子吸着がスピン偏極表面電子状態へ与える影響の解明を目的に、Bi/IGaSb(110)-(2×1)上に有機分子C60を吸着させ、その電子状態を観測した。その結果、分子吸着後の電子状態は、吸着前とほぼ変化のないスピン偏極状態が観測され、相互作用の小さい有機分子層がスピン偏極表面上に形成されたことを確認した。
 本研究で得られた結果は、巨大スピン偏極擬一次元系の基礎物性とその応用可能性を示したものであり、低次元スピン物性のさらなる発展つながる重要な成果である。

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