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Topological properties of magnon excitation in magnetic skyrmion systems

廣澤, 智紀 東京大学 DOI:10.15083/0002006668

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名 廣 澤 智 紀
磁性スカーミオンは、中心対称性の破れた磁性体において見られる、整数のトポロジカル電
荷を持つトポロジカルソリトンである。カイラル磁性体で初めて発見されて以来、スピント
ロニクスへの応用が注目されている。磁性スカーミオンは、トポロジカルに保護されている
ため、孤立した単一のオブジェクトとして安定である。さらに外部磁場により、生成・消駆・
駆動が可能である。これらの特性により、情報のキャリアとしても有力な候補と考えられて
いる。このような背景のもと、本論文では、外場による磁性スカーミオン結晶のトポロジカ
ルな性質の制御に関して、理論的な解析が行われた。
本論文は6つの章から構成されている。
第1章は緒言であり、3つの重要な概念が導入されている。磁性体におけるトポロジカル
状態、多重極モーメントと高次トポロジカル相、磁性スカーミオンの発現とその安定性につ
いて解説されている。
第2章では、磁性スカーミオンが発現する物質の結晶構造と磁気特性について解説され
ている。また、結晶対称性毎に許されるジャロシンスキー・守谷相互作用の形がまとめられ
ている。
第3章から第5章が本論文の主要結果である。第3章では、薄膜結晶におけるスカーミオ
ン結晶の磁場誘起トポロジカル転移が議論されている。スピン波近似に基づく解析により、
スカーミオンのブリージングモードと反時計回転モードのバンド反転による磁場誘起トポ
ロジカル相転移が起こること、さらにそれにともなう磁性カイラルエッジ状態の有無を制
御できることが示されている。これらの低エネルギースピン波モードは、実験でも測定され
ており、磁場誘起トポロジカル相転移は実際の物質においても観測されると期待される。
第4章では、マルチフェロイック絶縁体 Cu2OSeO3 について、スカーミオン結晶のマグ
ノンバンドトポロジーの動的制御可能性が議論されている。フロケ理論のスピン系への拡
張が議論された後、ランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式の数値シミュレーションとフ
ロケ理論の組み合わせにより、円偏光レーザー下でのスカーミオン結晶中のスピンダイナ
ミクスが議論されている。Cu2OSeO3 の磁気電気的特性に由来するスカーミオンのレーザー
駆動ダイナミクスの新しいメカニズムを解明すると同時に、円偏光レーザーによる周期外
場下でのスカーミオンのブリージングモードと反時計回転モードの動的なバンド反転トポ
ロジカル相転移が起こることが示されている。
第5章では、スカーミオン結晶における四重極トポロジカル絶縁体について議論されて
いる。磁性体における多重極モーメントの拡張された定義が導入された後、高次トポロジカ
ル状態と束縛電荷コーナー状態との対応が議論されている。さらに、低磁場において分数ア

ンチスカーミオンが安定することにより、多重極モーメントとそれにともなうコーナー状
態が出現することが明らかにされている。
第6章では、本論文の結論と今後の研究の展望が述べられている。
以上のように、本論文では静的外場や周期外場による磁性スカーミオンのトポロジカル
相の制御可能性が示された。スカーミオン結晶におけるトポロジカル相転移は実験でも観
測可能であり、今後、マグノンスピントロニクスのデバイスへの応用も期待される。よって
本論文は学位論文として十分な内容を持つものと審査委員全員により認められた。
なお、本論文の内容は、Sebastián A. Díaz 氏、Jelena Klinovaja 氏、Daniel Loss 氏と
の共同研究であるが、解析および結果の解析の主たる部分は論文提出者が主体となって行
ったものであり、論文提出者の寄与が十分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

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参考文献

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